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おっさんと人外を中心によろずっぽく。凄くフリーダム。
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G様に捧げます。
私が本当にドッピオが書けないということがよくわかる作品となりました。本当に申しわけないです・・・。
ナルシストボスと片思いなドッピオ話。ドッピオ独白。







「私の可愛いドッピオ……」
 何回も何回も、繰り返し聞かされた言葉。それこそ僕の脳に刷り込みをするみたいに、甘い声で囁かれた。
 その言葉を聞くたびに、僕がどれほど喜んでいるかわかりますか?幸せに体を震わせているかわかりますか?反面、どれほど苦しいかわかりますか?
 ボスは僕を可愛がってくれる。好きだと言ってくれる。でもそれは、僕が彼のもう一つの人格だからだ。そんなこと、もうずっと前から気が付いている。
 だって彼が愛しているのは自分自身と、僕がまだ生み出される前に出会った一人の女性だけだから。彼女との記憶はボスの心の奥底に、誰にも触れられないように大事に大事にしまってある。でもごめんなさい、ボス。僕は無断であなたの記憶を覗いてしまった。今はとても後悔している。僕以外と楽しそうにしているボスの姿なんて、見たくはなかった。
 ボスは何度も僕に好きだというけれど、それは僕がヴィネガー・ドッピオだからではない。自分に都合のいい人格である僕が好きなのだ。彼は何度もドッピオという自分自身に可愛いと、好きだと囁く。酷い話だ。膨れ上がるのは僕に対する愛ではなく自愛だけ。本当に、酷い男だ。
 僕はボスを愛している。僕を生み出してくれたからだとか、主人格だからだとかじゃない。一人の人間としてだ。
 でも僕はボスに触れることができない。僕達の繋がりは一本の電話だけ。それがどれほどつらいかわかりますか、ボス。あなたは僕に囁くだけで満足かもしれないけど、僕はそうじゃない。この手であなたを抱きしめることができたらどれほどいいだろう。
 なんで僕は人格でしかないんだろう。人間としてこの世に産まれてきたかった。でも僕が他人になったら、ボスはもう僕に好きとすら言ってくれなくなるだろう。
 じゃあ僕はどうすればいいんですか、ボス。どうすればあなたは自分自身じゃなくて僕を見てくれるんですか。いっそのこと、生み出されなければよかった。そうじゃなきゃ、あなたに触れたいと願うこともなかったし、愛してくれと切望することもなかった。
 苦しいんですよ、ボス。でもボスは自分に夢中だから、そんな僕には気が付かない。一方的に好きと言うだけ。耳を塞ぎたくなる。でももっと言って欲しい。そうじゃなきゃ、僕はきっと消えてしまう。たとえ自愛の囁きでも、好きと言ってくれなければ僕は生きていく意味がない。
 あぁそうだ。ボス、知ってますか?自分自身を愛する者は、最終的には身の破滅しかないんですよ。自分で自分の身を滅ぼすんです。そうなる前に自分じゃなくて僕を愛してください。そうしてくれたら、僕はあなたか破滅しそうになった時、助けてあげる。でも最後まであなたがあなたを愛するなら、一緒に死にましょうね。


END








自分の副人格だからボスはドッピオが好きなんだよ、っていう話。
お互いに病んでますね。
もうなにも言うまい。

G様、こんなものでよかったらお持ち帰りください。

ちなみにナルシストの起源はギリシャ神話のナルキッソス。自分しか愛せなくなって水に映った自分を見ながら死んだ美少年です。
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ジョルディアをリクエストしてくださった匿名の方に捧げます。
微妙に以前書いたジョルノとジョルノ母の話の続きっぽい。








 午後の穏やかな一時。そんな平和なパッショーネアジトに、珍しい来訪者がやってきた。
「ジョルノ、どういうつもりなんだ!」
 買い物帰りらしく、腕に紙袋を抱えたまま部屋に入ってくるなりディアボロが怒鳴る。いつもなら引きずってでもしないとジョルノのところにはやってこないというのに、自らやってくるとは珍しい。
 なんの前置きもなく怒鳴られ、ジョルノはソファに座ったまま小さく首を傾げた。向かいのソファに座っているトリッシュは、父親が乱入してきたにも関わらず反応を示さないままファッション雑誌に目を落としている。
「なんなんですか、いきなり」
「貴様、いったい自分の母親になんと言って私のことを紹介しているんだ」
 ジョルノは自分の若い母親を思い出す。親子というよりは、友達感覚で接している彼女。当然、自分の好きな人、つまりディアボロのことも話している。
「さっき買い物をしていたら、貴様の母親だという女に声をかけられたぞ」
 知らない日本人女性からいきなりハイテンションで、しかも親しげに話しかけれれば誰でも驚く。
 ねぇ、あなたもしかしてディアボロじゃない?……あぁ、やっぱりそうだわ。写真で見るよりずっと美人さんねぇ。ハルノも人を見る目があるわ。ハルノとは仲良くしてる?今度、娘さんも連れてうちに遊びに来なさいな。ゆっくりとお話しもしたいし……。ねぇ、絶対よ。あ、別にとって食べるようなことはしないから安心して。ただ、どんなふうにあなたとハルノが出会ったのかを聞きたいの。
 ジョルノの母親はそうやって好きなだけまくしたてると、笑顔で去っていった。
「別に母には変なことは言ってませんよ。ただ、あなたが僕の彼女だと紹介したんです」
 本当は好きな人、とだけ言ったのだが、どんな反応をするかと思い嘘をついてみる。
「誰が彼女だ!貴様とそんな関係になるんなら死に続けていた方がましだ」
「そんなつれないこと言わないでくださいよ。僕とボスの仲じゃないですか」
 気の長い方ではないディアボロは、付き合っていられない、ときびすを返して部屋から出て行こうとする。しかしジョルノは素早く立ち上がり、彼に近付くと手首を掴んだ。
 心底嫌悪した顔で睨まれるが、それを笑顔でかわす。
「なんなら家族に許可を取りましょうか?」
「あぁ?」
 なんのことだ、と問う前に、いきなりジョルノのスタンドでグイと引っ張られてしまう。突然の力に抵抗できず、ディアボロの体が前のめりになった。手を離してしまい、支えの無くなった紙袋が床に落ち、中身が散らばる。
 そんなことなど気にせずにジョルノはディアボロをトリッシュの前にまで引きずって行くと、床に手と膝を付いて彼女を見上げた。ディアボロはうつ伏せに倒れ、G・Eによって床に頭を押し付けられている。
「娘さん、お父さんを僕にください」
 男らしく、ジョルノはそう言った。
 雑誌から顔をあげたトリッシュは、冷めた目でジョルノを見る。
「なにそれ」
 ジョルノの言葉はスルーしつつ、そのポーズはなんだと尋ねた。
「土下座です。日本人が最大限の誠意を見せる時に使う奥義ですよ」
 意気揚々とジョルノが説明をする。奥義ってなんだ、奥義って。
 なにかを考えるようにトリッシュは無言でジョルノを見つめた。だがやがてつまらなそうに言う。
「そのわりには、あなたから一欠片の誠意も伝わらないんだけど」
 むしろなんか余計に腹が立つ。土下座をしているにも関わらず、尊大さが見え隠れしている。これでいいんだろ、的な。
「もっと哀れっぽくできないの?なんか余計に腹が立つわ」
「すみません、これぐらいで砕けるような、やわなプライドは持ち合わせていないので無理です」
 土下座をしてもジョルノには痛くも痒くもないのだろう。むしろ痛いのは頭を床に押し付けられているディアボロの体と心だ。
「ジョルノ……貴様いい加減に手を退けろ」
 くぐもった声でディアボロが怒りを滲ませながら言う。しかしジョルノはゆるく首を振った。
「僕はもう手を離してますよ」
 そう言うが、確かにまだ頭を押さえつけられている感覚がある。そんなはずはあるか、とディアボロは言おうとして、ようやく気が付いた。この頭を押さえているものは、手の感じではない。もっと堅いなにかだ。一部に出っ張りがある。この感覚は……。
「……トリッシュ?」
 恐る恐る娘の名前を呼ぶ。すると彼女は今気がついた、というようにハイヒールを履いた足をディアボロの頭から退けた。最初に頭を押さえ付けたのはジョルノで、あとはずっとトリッシュが足で踏みつけていたのだ。
 まさか自分の娘に踏みつけられると思っていなかったディアボロは、体を起こすと若干青ざめた顔でトリッシュを見る。
「私はお前になにかしてしまったか……?」
「いいえ、ごめんなさい。無意識だったわ」
 いったいどこの世に、自分の父親を無意識に踏みつける娘がいるというのだ。我が娘ながら怖い、とディアボロは思った。
「……それで、ボスは今日から僕がもらいますが、よろしいですね?」
 親子のプチSMには興味がないとばかりに、ジョルノは話を元に戻す。トリッシュはそんな彼を一瞥した。
「却下」
 それだけで一蹴してしまう。断られるつもりではなかったジョルノは、わずかにムッとしたような顔をした。
「なぜですか。僕はこんなにボスが好きなのに」
「ジョルノが誰を好きだろうと、私には関係ないわ。だからあの人以外なら誰とでも付き合ってちょうだい」
 ジョルノもトリッシュもお互いに引く気はないらしく、二人は睨み合う。
「嫌ですね、その歳でファザコンって。いい加減父離れしないと気持ち悪いですよ」
「ホモになにを言われようと、なんとも思わないわね」
 その後延々とジョルノとトリッシュの罵り合いは続いた。
 一方ディアボロは地味に白熱している二人に気が付かれないよう、こっそりと立ち上がる。そして亀の中に逃げこんだ。
「あの二人がなにを考えているのかがわからない……」
「わからない方が身のためということもあるんじゃないのか?」
 ポルナレフとそんな会話をしていたという。


END





ジョルディア・・・?
ジョルノとトリッシュは悪友にしてSコンビ。
ボスとポルナレフは仲良しさんです。

匿名様、こんなものでよかったらお持ち帰りください。

ハバネロ様に捧げます。
フライング気味ですがバレンタインネタで、以前書いたハロウィンネタと繋がってます。
リゾットが崩壊気味です。

 

 

 2月14日。いわゆるバレンタインデーである。しかしそんなことには暗殺者には関係なく……ということもなく、結構意識していたりする。リゾットの意中の相手は間違っても自分からチョコを渡しに来るような人物ではなく、ましてやくれるかどうかも怪しい。そんなわけで、今日も今日とて彼はディアボロの家に上がりこんでいた。人をこれはストーカーという。
「ボス、チョコをもらいに来たんだが」
「懲りないな、貴様も。そしていい加減不法侵入はやめろ」
 玄関ではなく窓から入ってきた暗殺者を睨む。鉄を操るリゾットに鍵がなんの意味も持たないのが腹立たしい。そろそろ本気で彼が家に入ってこられないようなトラップを考えるべきである。
「この間のハロウィンでなにも学習しなかったのか?」
「あれくらいで懲りていては、あんたを愛していられないからな」
「いい心がけだ」
 去年のハロウィンのこと、リゾットはディアボロに騙されてバイオ兵器、もといトリッシュの作ったクッキーを食べさせられた。あの時ほど生死の境をさまよったことはない。
 ちなみにそのトリッシュが作ったクッキーは、彼女の手によって自分のチームのメンバーに配られていた。トリッシュの料理の腕を知っているメンバー達は、家に帰ってからこっそりと焼却するなり、土に還すなり、植物にするなりしていたのだが、それでは悪いとブチャラティのみがクッキーを口にした。そしてリゾットと同じ運命をたどった。人が良すぎるのも考えものである。
「今回こそちゃんと私がチョコを作ったと言ったら、どうする?」
 言われて、驚く。チョコを貰いに来たとは言ったが、しかし期待はしていなかった。最初の台詞はディアボロに会いに来る口実だ。といっても、なにもなくても会いに来たりしているのだが。
 ディアボロが立ち上がりどこかへ消える。だがすぐに戻ってきた。その手には白い皿がある。皿の上には、一口サイズのトリュフチョコが一つだけ。
「トリッシュがチョコを作って、材料が余ったんで私も作ってみた」
 素直に喜びそうになる。が、リゾットは考えた。今トリッシュが作ったと言ったか。彼女はまたハロウィンの惨劇を繰り返すつもりなのか。
「ちなみに今、娘はどこだ?」
「自分で作ったチョコをチームのメンバーに配りに行っている」
 トリッシュはそろそろ、本気で自分の料理の腕を知った方がいい。作っている最中に味見はしないのか。
「なぜあんたが料理を教えてやらないんだ」
「トリッシュが私の言うことを聞くと思うか?」
「なんか、その……すまん」
「いや、いい……」
 聞いてはいけないことを聞いてしまった。ファザコンのくせに素直じゃない娘なのだ。ディアボロが教えようとしたところで反発するだろう。
「それで、これはいらんのか?」
 リゾットは皿の上のチョコを見る。ハロウィンの時は二つクッキーを用意されて、どちらも結局トリッシュが作ったものだった。では今回はどうだろう。本当にディアボロが作ったものなのか、それともまた騙してくるのか。前回のことがトラウマになりすぎてリゾットはほとんど疑心暗鬼に陥っていた。
 相手の表情からは騙しているのかどうかはわからない。チョコの見た目や臭いからでも判断はできない。どうする、とリゾットは究極の選択を迫られていた。少しでもディアボロが作ったという可能性があるのならもらうべきだ。しかしもうトリッシュの作ったものは食べたくない。どうする……。
「リーダーがいらないんなら、俺がもらうぜ」
 その時、背後から声がした。かと思うと、後ろから手が伸びてきて皿の上のチョコを取る。慌てて振り返ると、そこには丁度チョコを口に運んだメローネがいた。
「メローネ?!」
「なぜ貴様がここにいる?!」
 突然現れたもう一人の暗殺者に二人は声を上げる。まったく気が付かなかった。彼もまた玄関じゃないところから入ってきたのだろう。どうしてこうもうちにストーカーと変態が出入りするのだろうと、ディアボロは思わずにはいられない。そろそろ引越しを考えるべきだろうか。
 二人の叫び声にニコリと笑顔で返し、メローネは口の中のチョコを転がす。それを見て、リゾットは本当にディアボロが作ったチョコだったのだと理解した。後悔に体がわなわなと震える。
「すっげぇ美味いぜ、流石ボスだな」
「当たり前だ、誰が作ったと思っている」
「これから毎日、俺のために朝昼晩と料理を作ってくれよ」
「身の程知らずなことを言うな」
 軽口を叩き合ってはいるが、ディアボロは満更でもなさそうだ。褒められて嬉しくないわけがない。
 リゾットの中でなにかが弾けた。
「ボス!もうないのか?!」
 ディアボロの肩を掴んで揺さぶりながらリゾットが叫ぶ。そんな彼の手を煩わしそうに払いのけてから、ディアボロは言った。
「本当はもう少しあったんだが、いつの間にかトリッシュに食べられててな」
 自分で作ったのを喰えよ……!!
 リゾットは内心で絶叫した。それから矛先をメローネに向ける。
「返せ!あれは元々俺のものだぞ!」
「でもまだ手を付けてなかったじゃないか。それに返せって言ったってもう喰っちまったし。それとも俺が戻したのを食べたいのか?リーダーってばヘ、ン、タ、イ」
「メタリカァ!!」
 メローネが剃刀を吐く。剃刀と、それによって口の中を切ったせいで流れ出る血が床を汚した。それを見て、誰が血で汚れた床を掃除するんだとディアボロは眉間に皺を寄せながら思う。すると玄関の開く音がした。どうやらトリッシュが帰ってきたようだ。
「ただいまー。って、うわ……なんでストーカーと変態がここにいるのよ」
 トリッシュはリゾットとメローネを見て眉をひそめ、メローネの血で汚れた床を見て二人を完全に廃棄物を見るような目で見た。
「ははは、リーダー、ストーカーと変態だってさ」
「言っておくが変態はお前の方だからな、メローネ」
「え、マジ?」
 少し冷静になってきたリゾットに突っ込まれ、メローネは心底不思議そうな顔をする。リゾットは冷めた瞳で相手を見た。
「自覚のない変態か、可哀想にな」
「自覚のあるストーカーもどうかと思うぜ」
 その後、リゾットとメローネは潔癖症気味の親子に汚した床の掃除を命じられた。
 二人が掃除をサボらないように見張っていると、ディアボロはトリッシュに肩を軽く叩かれる。何事かと彼女の方を振り向くと、可愛くラッピングされたそれが目に入った。それを差し出してくる。
「これ、余っちゃったからあげるわ。べ、別にあんたのために作ったんじゃないからね!余ってもったいないから、だからあんたにあげるだけよ!」
「トリッシュ……」
 娘よ、これは新手の苛めかなにかですか……?
 喜んでいいのか、恐怖していいのかわからない。しかし見る限りトリッシュに悪意はなさそうだ。娘の好意を無駄にしてはいけない。ディアボロは震える手でトリッシュの作ったチョコを受け取った。
 それから数日間、ディアボロは嘔吐と熱、そしてリゾットとメローネの看病という名のセクハラに悩ませられ続けた。丁度同じ頃、ブチャラティもまた、嘔吐と熱に悩まされていたという。


END

 

 


リクエストは「リゾディア前提で暗殺チームとボスとトリッシュ」だったのですが、消化不良気味ですみません・・・。
一度に大勢の人物を動かすのが苦手な私です。なので大人数は出せません。そしてリゾットとメロン以外にボスに絡める暗チが思い浮かびません。精進します。
こんなものでよかったらお持ち帰りください。
 


短い話でリゾディアを。ギャング達もお正月です。

 

 


「ボス、お年玉をくれないか」
 出会って新年最初の言葉がそれだった。どの口がそんなことを抜かすのかとディアボロはスタンドで殴りそうになるが、新年早々怒ることもないと思い、なんとか思いとどまる。
「なぜ私が三十路一歩手前の貴様にやらねばならん」
「一歩じゃない、二歩だ」
 そこは譲れないとばかりにリゾットが間髪入れずにつっこむ。しかしディアボロにしてみれば同じことだった。28歳になってしまえば時の流れなんて一瞬だ。あっという間に二年なんて過ぎてしまう。それを身をもって体験している。
「ギアッチョがたかってくるんだ。俺と同じほどの月収のくせにな」
 まだ未成年だからといって、お年玉をせがんでくる。普段は子供扱いをするとぶち切れるくせに、こんな時だけちゃっかりしていた。だからその前に、リゾットはディアボロから金をもらっておこうと思っていた。
「一人くらいケチらずにやっておけ。私なんてトリッシュとジョルノだぞ。しかもとんでもない額を要求してくる」
 普通の子供がもらう額の桁が一つも二つも違う金を要求してくる。トリッシュならばいい。まだ自分の娘だ。目に入れても痛くないといえるほどの。しかしジョルノに要求されるというのがわけがわからない。
「あんたこそケチるなよ、金持ち」
「確かに私は金を持っているが、守銭奴だ」
 自覚していたのか、とリゾットは思った。
「じゃあもうお年玉はいいからヒメハジメをさせてくれ」
「なんで上から目線なんだ、殺すぞ」
 そもそも最初からそのつもりだっただろうとか、どうしてそんな姫はじめなんて日本の言葉を知っているんだとか思い、ディアボロは深いため息をついた。
「でもよかったな、私は金よりもずっと価値がある」
 最初から期待なんてしていなかったのか、リゾットの目が驚いたように見開かれる。そんな彼を見てディアボロは目を細めて笑った。


END

 

 

ちなみにギアッチョはホルマジオにもたかります。
マジオはなんだかんだ言ってもお年玉くれるよ。おかんだから。


クリスマスフリー小説です。
サイトなどに展示するさいは、私が書いたのだとわかるように表記して載せてください。




 クリスマス・イヴを3日後に控えた今日、リゾットはディアボロに会いに来ていた。目的はただ一つ。来たる聖夜を一緒に過ごすという約束をとりつけるため。
 普通の恋人同士ならなんの問題もないのだが、残念ながら二人はそんな関係ではなく、今のところリゾットは数いるディアボロのセックスフレンドの中の一人だ。しかもリゾットの片想いときている。なのでなんとかディアボロを口説き落とさなくてはいけない。クリスマス云々の話をする前から、彼の嫌そうな顔が頭に浮かんでいるが、それくらいで諦め、くじけていてはディアボロに片想いなんてしていられない。
「ボス、イヴの日は一緒に過ごしてくれ」
 なんの飾りも付けず、直球に言う。案の定、彼は嫌そうな顔をした。
「わかった。24日の日は貴様に仕事を入れておこう」
「ついさっき、任務を終えて帰ってきたばかりだが」
 そうなのだ。リゾットはつい先ほど任務を終えたばかりで、その足でディアボロのところへ来た。
 元々ディアボロは、今年一杯はかかる任務を押し付けたはずだった。こうやって自分を誘いにくるとわかっていたから。しかし予定が狂ってしまった。予想よりも一週間ほど早く、リゾットは任務を終らせてきた。手を抜いたわけではなく、いつものように完璧な暗殺だったので文句も言えない。愛の力というのは恐ろしい。
「その様子じゃあまだ元気だろう、遠慮するな。報酬ははずんでやる」
「知っているか?クリスマスの日は自殺者が多いそうだ。そんな日にわざわざ死体を増やすこともない」
 だからどうした、というふうにディアボロが鼻を鳴らす。彼にとって自分の知らない人間が生きようが死のうが、どうでもいいことだった。リゾットだってそんなことはどうでもいい。ただもし本当に仕事を入れられたら、ストライキをするつもりでいた。
「どうせ24日に会ったって、ヤるだけだろ」
「最終的な目的はそうだな」
 今更隠すこともないので、素直に頷く。
「私にしてみれば、相手がお前である必要はない。他のセフレでいい」
「そうしたら死体が一つ増えることになるな」
「さっき自分が言った言葉も忘れるくらいボケたか?」
 ディアボロは呆れたようにため息をつく。能力は高い、顔も好み、そのうえ従順でセックスも上手い。リゾットはディアボロにとって申し分ない相手だ。しかしこういうところが物凄く煩わしい。
「なんにしても、24日は無理だ。先約がある」
 この言葉に、リゾットの眼光が鋭くなった。犬モードから、暗殺者モードへ。
「相手の男は誰だ?今から先約を破棄させてくる」
 力ずくで、という言葉は飲み込んだ。
「違う、そっちじゃない。相手はトリッシュだ」
 意外な人物の名前をあげられて、リゾットは一瞬面食らったような顔をした。
「いくらボスでも娘相手というのは引くぞ」
「ぶち殺されたいのか?貴様の尺度でものを考えるな。夕食を一緒にとるだけだ、二人でな」
 最後の一言を殊更強調していう。そこには邪魔をしたら本気で殺すぞ、という凄みがあった。
「ボスから誘ったのか?よく彼女が承諾したな」
「私も意外だった。言ってみるものだな」
 リゾットもまさかあのファザコンでありながら素直ではないトリッシュが、自分の前に立ちはだかるとは思わなかった。いつもならディアボロに誘われたら突き放すだろうに。まさか自分対策なんじゃないか、とか考えてしまう。イヴの日に父親と自分を会わせないための。
「そういうわけだから、24日は邪魔をするなよ」
 そう言われ、リゾットはもうくいさがらなかった。彼がなによりもトリッシュを優先させるということを知っているから。
 結局この日、リゾットはこれ以上はなにも言わずにディアボロの前から立ち去った。


 24日の夜、ディアボロは無事にトリッシュと夕食をともにした。全てディアボロの手作りでありながら、そこら辺の店にまったく見劣りしない豪華なメニューに彼女も満足をしていたようなので安心する。たまには家族らしいことができてよかった。
 しかしここまで無事にことが運ぶと、逆にリゾットが気がかりだ。絶対に邪魔をしてくると思っていたというのに。まぁ来たら来たで、容赦なくスタンドで殴りつけていたが。
 そんなことを考えながら食器などの後片付けをしたり、風呂に入ったりをしているうちに、23時近くになってしまった。トリッシュの方はすでに自室で休んでいる。ディアボロもドライヤーで長い髪を乾かしてから、2階の自室に向かった。
 部屋に灯りを付け、これからどうするか考える。このまま一人で寝るか、それとも誰かを呼ぶか。リゾット辺りなら、こんな時間だろうが呼べば喜んでやって来そうだ。元々来たがっていたわけだし。そんなふうに思うくらい、今のディアボロは機嫌が良かった。邪魔をしにこなかったことだし、少しくらいは褒美をやってもいいだろうとすら考える。
 携帯電話に手を伸ばそうとした瞬間、窓にコツンとなにかが当たる音がした。そちらに目をやると、もう一度音がする。どうやら石がぶつかったようだ。ディアボロの部屋は2階なので、当然誰かが当てようとする明確な意志がなければ石はここまで飛んでこない。
 窓の傍まで歩みより、開け放つ。冷たい空気を肌に感じながら下を見た。そこにいた黒い影に、思わず苦笑してしまう。
「変質者か」
「あながち間違いではないな」
 白い息を吐きながら言うディアボロに、黒いコートを羽織ったリゾットは同じく白い息を吐きながら答えた。
「いつからそこにいる?」
「3時間前くらいだな」
「よかったな、警察を呼ばれなくて」
「まったくだ」
 全身黒ずくめの男が3時間も家の前にいれば、端から見れば完全に変質者だ。おそらくずっとこの寒空の下、ディアボロとトリッシュの食事会が終るのを待っていたのだろう。
 ディアボロは一旦窓を閉めると、コートを羽織って下に降りた。近くでリゾットを見れば、普段から白い顔を更に白くさせていた。だが本人は気にしていないらしい。元々、暑さや寒さには無頓着な男だった。それでも、3時間も外にいれば体は芯から冷えるだろう。
「他の暗殺チームのメンバーとクリスマスパーティーでもしていると思っていたが」
「していたが、途中で抜け出してきた」
 相変わらず暗殺チームは仲が良いな、とディアボロは思った。抜け出す際に、散々リゾットがメンバー達から彼女のところへ行くのかとはやしたてられていたことを、彼は知らない。そしてそんなメンバー達に、リゾットが意気揚々と頷いたことも。
「ボス、手を出してくれ」
 なんの脈絡もない言葉に、ディアボロは若干警戒を孕んだ目でリゾットを見る。自分はそんなに信用がないのかと軽くショックを受けながら、リゾットはいいから、と促した。
 渋々といった様子で手を差し出してくる彼の手に、リゾットはずっとコートのポケットに入れておいたものを渡す。
「メリークリスマス」
 それは銀の指輪だった。シンプルながらも控え目に模様が彫られていて、一見で特注だというのがわかる。しばらくそれを眺めていたディアボロは、やがてリゾットを見た。
「これをはめてお前を殴れと?」
「一応メリケンサックじゃなくて、指輪のつもりなんだがな」
「普通、こういうのはラッピングをして渡さないか?」
「そうしたらあんたは中身を見ずに捨てるだろ」
 リゾットの言うとおりだったので、ディアボロはそれ以上は言わなかった。
 流石なもので、ちゃんとリゾットはディアボロの好みを熟知していてこの指輪も嫌じゃない。ただ一つ不満があるとすれば、
「どうして内側に『ディアボロ・ネエロ』と彫られている」
「ちょっとした茶目っ気だ」
 眉間に皺を寄せて言うと、リゾットは微かに笑った。
「気に入らなかったら捨ててくれてもかまわない。ボスに渡せることに意味があるんだからな。まぁ、ただの自己満足だ」
「最初から捨てられる覚悟で来たか。いい心がけだ」
 ディアボロもまた、微かに笑う。
「それに免じて、内側の文字を削ってから使ってやろう」
 まったく予想をしていなかった言葉に、リゾットが目を丸くしながらフリーズする。普段はあまりそんな表情をしない男なので、ディアボロはそれを見ておかしげに喉を震わせて笑った。
 やがて衝撃から回復したリゾットは、ディアボロの顎を捕えると間を置かずにいつもより冷たい唇でキスをした。ここが外だというのも忘れて、舌を絡める。だが顔を離した瞬間に、思い切り殴られてしまった。キスをされている最中にはめたのか、人差し指にプレゼントした指輪がはめられていたため頬にひっかき傷のようなものができてしまう。腫れて熱を持ったそこに手をそえると、ディアボロがつまらなそうに鼻を鳴らした。
「場をわきまえろ、馬鹿め」
「本当に指輪をはめて殴るなよ。いい雰囲気がぶち壊しじゃないか」
「貴様と雰囲気なんて出してどうする」
 照れているのではなく、本気でそう思っているのだからタチが悪い。時折、リゾットどうしてこんな人間に惚れてしまったのか自分でもわからなくなる。恋は盲目とはこのことか。
「それじゃあ、雰囲気の出るところに行くか」
 言って、リゾットはディアボロの手を取った。
「どこへ?」
「ホテルを予約してある」
「私の家でもいいのに」
 暗に行くのが面倒臭いと言っていた。だがリゾットもここは譲れない。勘付いたトリッシュに、最中にデバガメをされては興ざめだ。子供はもう寝る時間。せっかくの聖夜を邪魔させはしない。
 ブツブツと文句を言いながらも、リゾットが手を引くとディアボロはついてきた。どうやら今夜は付き合ってくれるらしい。嬉しさに頬がゆるみそうになったが、なんとかこらえる。あんまりゆるんだ顔を見せると、彼も呆れるだろうから。
 美しいイルミネーションのほどこされた街を二人で歩く。ふと、ディアボロが思い出したように口を開いた。
「私がホテルに行かない、もしくは一人で寝ると言ったら、どうするつもりだったんだ?」
「メタリカであんたを弱らせてからホテルへ運ぶつもりだった」
「最低だな」
「結果オーライなんだからいいだろ」
 聖夜に無理矢理というのもいいだろう。だって性夜だし。そんなことを言ったら今度はスタンドで殴られるだろうから、あえて言わない。
「明日、ペットショップに行くからついてこい」
「動物でも飼うのか?」
「指輪のお礼に、お前に首輪を買ってやろうと思ってな」
「それは楽しみだ」
「いや、冗談だしそこは断るところだろ」
 はたして本当に首輪を買うかどうかは、その時になってみないとわからない。


END
 


相互記念にハバネロ様に捧げます。
パラレル、擬獣化。猫ボスと忠犬ではなく駄犬リゾットです。もはやなんの作品だ、状態です。
違うよ、ハバネロ様がそうリクエストをくださったんだよ。カオスなのは私のせいじゃないよ。
ボス猫シリーズとは一切関係ありません。あと、なんか本当にごめんなさい。

 

 

 


 夜の闇にまぎれて一匹の犬が人気のない道を歩いていた。少し道を外れれば人間はたくさんいるが、ここには誰もいない。動物が通るような、いわゆる獣道と呼ばれる場所。そこを黒というよりも、短毛の黒銀に近い毛色を持つ大きな犬が歩く。赤い瞳はなんの感情も浮かんでいなかった。ここになにか用があるわけではない。ただ探している。この街で噂になっている、ピンクと黒の毛色を持つ猫を。
 元々犬はこの街の者ではなかった。隣街で野良犬や野良猫をまとめるリーダーとして生きていた。そんな折、突然現れたという猫の噂を聞いた。やはりこの街の野良犬や野良猫をまとめているらしい。
 傲慢で我がままで、まさに猫らしい性格の猫と聞いている。そんな彼がどうしてみなの反感を買わずにやっていけているのかが気になった。だからわざわざ確かめに来たのだ。
 猫がよく出没するという場所を徹底的に探していた。しかしなかなか見つからない。この辺りの野良達をまとめている存在でありながら、その姿を見た者は少ない。いつも他の犬や猫を介して野良達に命令を送っている。
「そんな猫、本当に存在するのか・・・?」
 立ち止まり、独りごちた。そもそもピンクと黒の毛色という時点で怪しい。いったいどんな新種だ。上手く野良達をまとめるために、そんないもしない猫の象を誰かが考えたんじゃないかと犬は考える。動物の群れにとってボスの存在は大きい。その器のある者が群れのボスになれば影響力は絶大だ。
 リーダーとボスの違いはなにか。それは仲間との距離だと犬は思う。リーダーはただ群れをまとめ、ばらばらにならないようにするだけ。他の者との関係は対等だ。しかしボスは違う。絶対的な権力を持ち、他の者を従わせる。そこの違いだ。
 ここまで来て無駄足というのはつまらない。せめてこの街で高い権力を持つ犬か猫に会えないかと考える。おそらくその辺りが、ピンクと黒の毛色の猫の噂を勝手に流したのだろう。そう考える方が自然だ。それを思って、小さくため息を付く。
「結局、無駄足だったか」
「いや、そうでもないぞ」
「・・・!」
 背後から男の声が聞こえ、反射的に振り返る。そして息を呑んだ。そこには薄闇の中でもわかるくらい鮮やかなピンクと、そして斑の黒の毛色を持つ猫が座っていた。金色の瞳を微妙に細めて犬を見据えている。誰かを従わせることに慣れた目と雰囲気だった。
 近づかれた気配がまったくわからなかった。いったいいつの間にそこにいたんだと思いながら、犬は体ごと振り返る。噂の猫は、確かに存在していた。
「他の街から犬がやってきたと聞いたから会ってみれば、貴様、隣街の野良をまとめてる犬じゃないか」
「俺を知っているのか」
「私の情報網を舐めるなよ」
 ふふん、と楽しげに鼻を鳴らした。縄張りを盗られるとか、荒らされるとかを考えていないのか、その態度は余裕そのものだ。もしくはもし本当に犬がそのつもりだったとしても、自分の方が強いと確信しているのだろう。もちろん、無駄な争いはしたくないので犬にはじめからそのつもりはないが。
「俺はリゾット。あんたの言ったとおり、隣街の野良達のリーダーをしている」
「そうか」
 それきり、猫はなにも言わない。こちらが自己紹介をしたのだから、今度は彼が自己紹介をするのが礼儀ではないだろうか。
「あんたは?名乗らないのか」
「相手が名乗ったからといって、どうして私が名乗る必要がある?」
 なるほど、と犬は内心で思った。話に聞いたとおりの性格だ。この手の者は、こちらが下手に出ないと100年かかっても名乗らないだろう。
 どうするか考えていると、猫はクイと顎を引いた。何事かと、犬はわずかに首をかしげる。
「伏せろ」
 当たり前のように、そう言った。
「私は見下ろされるのが嫌いだ」
 猫は通常のサイズより大きく中型犬ほどだが、それでも大型犬であるこちらの方が大きいので自然と見下ろす形になってしまう。それが気に入らないらしい。傲慢とか我がまま以前に、どこの女王様だと犬は思った。本当によくこれで他の野良達が反発しないものだ。
 しかしここで臍を曲げられても困るので、犬は言われたとおりに伏せの姿勢をとって猫を見上げた。闇にまぎれて猫が笑ったのがわかった。
「変なプライドがなくていいな、それでこそ犬だ」
 満足そうな声だった。
「その素直さに免じて名乗ってやろう。私はディアボロ。他の野良からはボスと呼ばれているがな」
 呼ばれている、ではなく、呼ばせている、の間違いではないだろうか。それにしても大仰な名前だ、と犬は思った。しかし猫がこちらの赤い瞳を覗き込むように顔を近づけてきて、その考えなどすぐに吹っ飛んでしまう。近づいたおかげでよく見えるようになった猫の顔は、ずいぶんと整っていた。美人というほど美人でもないが、どこか人を惹きつける顔をしている。確かに『悪魔』というのは彼にぴったりな名前だった。この顔にみな惑わされているのだろう。彼の金色の瞳で見つめられ、そのよくとおる声を聞くと逆らってはいけないような錯覚に陥ってしまう。
 犬が猫の顔に見惚れていると、彼は再び笑った。どこか人間じみた笑い方だった。
「それで、私に会ってお前はどうする」
 別にどうするということもなかった。犬はただ猫の存在を確かめに来ただけだったから。しかしこのまま帰るというのは後ろ髪引かれる思いがする。それほどまでに犬にとって猫は魅力的だった。
 少し首を伸ばせば触れられる距離に猫はいる。犬の心臓が早鐘のように打った。無意識に犬は首を伸ばす。ちょこんと猫の鼻先に、犬の鼻先が触れた。その瞬間、猫の目がカッと見開かれる。
「なにをする・・・!」
 バリッと鋭い爪で頬を引っかかれてしまった。手加減など一切されておらず、皮膚が裂けて血がしたたる。猫は驚きと怒りで毛を膨らませながらフーフーと鳴いているが、犬の方も自分の無意識の行動に驚いていた。どうしてキスなどしてしまったのだろうか。相手は同じ雄なのに。今まで自分は正常な性癖の持ち主だと思っていたが、そうでもなかったらしい。犬はそれを案外簡単に受け止めた。
「もうこの街から出て行け!そして二度と来るな!」
 猫が興奮を隠さないままに怒鳴る。その姿がなんだか可愛く見えて、犬は小さく笑った。それが更に猫の神経を逆なでする。
「それは困るな」
「あぁ?」
「この街にいないと、あんたに会えない」
 すっくと立ち上がり素早い動きで犬は猫の首根っこに噛み付くと、そのまま地面に押さえつける。暴れようとするので全身でそれを押さえた。体重も体格も犬の方が上なので、猫は抵抗ができない。
 必然的にマウントポジションとなってしまったのに気が付いて、猫が苛立ったような意味のない鳴き声をあげた。他の動物からこんなことをされるのははじめてなのだろう。かなり屈辱的のはずだ。
「退け、駄犬め!」
「断る」
 べろりと耳の後ろを舐めてやった。すると猫の体がびくんと大げさなくらいに揺れる。それが面白くて、何度も同じ動作を繰り返した。猫は体を震わせながら小さく声をあげる。
「んっ・・・ぁ・・・くそ、放せ・・・」
 制止の声を無視して、頬や首筋などにも舌を這わせる。時折耳を甘噛みしてやると、ひときわ大きく声をあげた。そのすぐあとに悔しそうに口を引き結ぶ。後ろから覗き込むようにして彼の顔を見ると、噛み殺さんばかりに睨まれてしまった。それにかすかに笑って応えると、猫は更に目じりをつり上げてくる。そんな彼の目元にキスをした。
 自分でも酷く興奮しているのがわかる。発情期でもないのにこんなふうになるのは、本来の犬ならばありえないことだった。この猫に心を囚われてしまったらしい。
 膠着状態が続いていると、不意に今まで真黒な雲に隠れていた月が二匹を照らした。そういえば今日は満月か、と犬が思った瞬間、猫の体に変化が訪れる。体が大きくなり、前足が人間の手のようになってきた。いや、前足だけでなく体の全てのパーツが人間になってゆく。驚いて犬は体を退けた。その間にも猫は変化し、やがて成人男性の姿になる。
 彼は満月を背にして立ち上がると、不愉快そうに犬を見下ろした。
「・・・どういうことだ?」
「悪魔だからな。普段は猫だが、これが私の本来の姿だ」
 いわく、天使に喧嘩を売ったら返り討ちにあって猫の姿にされてしまったらしい。満月の夜だけは、元の姿に戻れるとか。悪魔だというのに猫の姿にされてもめげず、この街の野良達の頂点に立ったのだからいい根性をしている。
 普段は滅多に姿を見せないという彼が犬の前に現れたのは、今日が満月だと知っていたからなのだろう。はじめから生きて帰すつもりはないということか。先ほどのことも手伝って、彼の目には殺気がこもっている。
 犬は男を見上げたまま動かない。そんな犬に男はふんと鼻を鳴らした。
「どうした、恐怖で声もでないか。この私にあんなことをしたんだ。ただですむとおも・・・」
 思うな、と最後まで男が言い終わる前に犬が動いた。彼に飛びかかり、再び地面に沈めてしまう。仰向けに倒れた男の胸板に前足を置くと、驚いたような顔をしている彼をよそに首筋を舐めた。
「貴様、なにを・・・!」
「すまない。猫の姿の時もそうなのだが、あまりにもあんたが好みすぎて」
「はぁ?!」
 男は犬の顔を押し戻そうとするが、悪魔といえど力は人並みなのか苦戦している。犬もまた、全体重を彼にかけた。
「なぁ、俺の飼い主にならないか?」
「馬鹿なことを言うな・・・!第一、貴様の街はどうする」
「そんなもの、他の奴に譲ってやる」
 勝手なことを言うなと男は声をあげた。しかし犬に喉元を軽く銜えられ、息を呑む。
「あんた、悪魔といっても力や体力は人間並みのようだな。このまま喉に噛みつくとどうなる?」
 男は悔しげに口をつぐんだ。喧嘩を売った天使に能力や力まで制限されているため、今の彼は実質人間と変わりない。犬に本気を出されれば命が危ない。
「この街に犬が一匹増えるだけだ。なんの問題もない」
 犬の言葉に彼は答えない。一度彼の喉から口を離し、見下ろす。
「選択肢をやろう。俺に噛み殺されるか、飼うか、犯されるか。どれがいい」
「・・・ちょっと待て、最後のはなんだ」
「聞きたいか?」
「言ったら殺す」
 男が長く、そして深い深いため息をついた。この選択肢では、どう考えても一つしか選べない。鋭く舌打ちをすると、吐き捨てるように言った。
「しょうがない、貴様を飼ってやる。本当に心底から、不本意だがな」
 退けと言われ、犬は素直に男の上から退いた。体を起こす彼の前にお座りをする。ずいぶんテンションがあがっているのか、尻尾がぶんぶんと千切れんばかりに揺れていた。
「これだけは言っておくぞ。絶対に私に逆らうな、さもないと殺すぞ。今度また先ほどみたいなことをしても殺す」
「善処しよう」
 手を出さないという自信はまったくないが。
 男はしばらく疑わしげに犬をじとりと睨んでいたが、やがて立ち上がった。それから満月に照らされた道を歩き出す。その後ろに自然と犬が続いた。
 この数日後、他の野良犬に自分の後任を任せた犬は、自分についてきた野良達とともにこの街で暮らしはじめた。


END

 

 

 

天使はたぶんジョルノ。
リゾットが駄犬すぎる。うちのリゾットはもうちょっとかっこよくてもバチはあたらないと思います。
リゾットは黒ラブちゃん。ボスは名前忘れたけど豹の血を引く種類のお猫様。実際に中型犬ほどのサイズなんですよ、確か。ともかく普通の猫よりサイズはでかいです。
ハバネロ様、こんなものでよかったらお持ち帰りください。


たまには殺伐としたリゾディアを書こうぜ、と思ったら方向性を間違えました。
ディアリゾに見えるのは間違いなく気のせいです。ほら、うちのボスはリゾットには女王様だから。今回は襲い受けだから。M×Sもいいよね。

ぬるいですが、一応義務教育中の方は観覧をご遠慮ください。
恥ずかしいので続きに収納。


 


パラレルな男と猫な話の続き。
たまにはボスもデレるよ。そしてリゾットは頑張る。

 

 

 


 猫は人間の姿で一人街を歩いていた。敏感な者なら、猫からほんのわずかに血の臭いがしていることに気が付いたかもしれない。
 つい先ほど、人間を一人殺してきた。男に頼まれてのことだった。こうやって時々、猫は男に暗殺を頼まれる。人間を殺すのは抵抗がないからいいのだが、その間は男の血が飲めなくなるのがつらい。彼が欲求不満になって別の人間のところへ行っていないかも不安だ。
 そう思うと、自然と速足になる。早く男の元へ帰り、あの白い首筋に噛み付きたかった。血をもらいながら、彼を抱きたい。
 仕事は終ったと男にはもう連絡をしてあるから、彼も待っていることだろう。彼に頼まれて誰かを殺した日は、いつもよりほんの少し、男は猫に甘い。おそらくは彼なりのご褒美のつもりなのだろう。もしくは単純に自分の邪魔者が減って嬉しいか。
「お兄さん、そんなに急いでどこに行くの?」
 まぁ後者だろうな、と思いながら歩を進めていると、妙に甘ったるい声の女に尋ねられた。無視をしようとしたが、腕を掴まれてしまう。眉をひそめながらそちらを見ると、やけに肌を露出した若い女が媚びるように猫を見上げていた。すぐに彼女が娼婦だということに気が付く。確かに、今は彼女達が仕事をするような時間帯だった。
 猫は舌打ちをしかけるが、すんでのところでこらえる。人間の姿でいると、なにもしなくてもこうやって女が寄ってきた。おかげで以前は血肉には不自由していなかったが、今では邪魔者以外の何者でもない。
「急いでいる。その手を放せ」
「そんな怖い顔をしないで。綺麗な顔が台無しよ」
 甘えるように、女は猫の腕に胸を押し付けるようにして密着してくる。きつい香水の匂いが酷く不快だった。暗殺の任務のせいでしばらく血を飲んでいないのも手伝って、胃がむかむかとしてくる。反面、猫に寄生しているムシは宿主の意思に反してすぐにでも血肉を欲しがっていた。
 悪食め、と猫は内心で笑う。お前らは美味かろうが不味かろうが、血肉ならなんでもいいのか。猫としてはこんな香水のきつい女の血よりも、美味い男の血がいい。しかしここでお預けをして、ムシ達に自分の血肉を喰われるのも困る。
 しょうがない、と猫は小さくため息をついた。少しこの女を喰ってから帰ろう。
「いいだろう。お前を買ってやる」
 猫の言葉に、女は嬉しそうに笑った。
 女に連れられて、猫は近くのボロいホテルに入る。娼婦がよく利用するホテルなのだろうと猫は思った。全体的に精の臭いがこびり付いているようで、気分が良くない。鼻がよすぎるのも考えものだ。猫は早速、安易に女について来たことを後悔した。
 早いところ終わらせてしまおうと、猫は部屋に入った途端に女をベッドに押し倒し服を脱がせていく。
「もう、せっかちね」
 女はそう言いながらも、楽しそうに笑っているだけだった。どうして猫が性急にことを行おうとしているか、その真意を知らないのだからしょうがない。
 女の白く柔らかな体を抱きながら、そういえば男以外を抱くのは久しぶりだということに気が付いた。高い声で喘ぐ女を見ても、猫は酷く冷静だった。彼が相手ならもっと興奮するというのに。自制がきかなくなるくらい、行為に没頭するというのに。
 それくらい彼とは体の相性がいいのかと猫は考えながら、女の首筋に舌を這わせた。早く血を飲んで、終わらせて帰ろう。そう思いながら、猫は女の首筋に噛み付いた。容赦なく皮膚に牙を突き立てると、血が溢れてくる。それを嚥下しながら、やはり彼の血以外は不味いと思った。
「な、なに・・・?!」
 女が困惑したように言い、視線だけを動かして猫を見る。自分の血を飲んでいるその姿を目にして、女は悲鳴をあげた。泣き喚きながら暴れ始める。猫は一度彼女の首筋から口を離すと、顔をあげて相手を見下ろした。女は恐怖に震えながら顔を蒼白にさせている。そして一言、言った。
「化け物・・・!」
 不思議な言葉を聞くように、猫はそれを聞いた。一瞬、なぜ自分がそんなふうに言われたのかがわからなかった。だが次第に、これが普通の反応だということを思い出し始める。男を相手にしてばかりだったから、忘れていた。これが普通だった。400年間、人間が猫に向けてきた言葉と表情だった。
 自分はもう普通の猫ではない。人間に可愛いがられることもない。ずっと男と一緒にいたから、そんなことすら忘れてしまっていた。
 思わず猫は喉を鳴らして笑ってしまう。そして自分の下から抜け出して逃げようとしている女の髪を鷲掴みにした。
「ありがとう、思い出させてくれて」
 恐怖に染まった目で、女は猫を見る。その目が不愉快だった。男はそんな目で猫を見ない。
「人間に優しくする必要は、どこにもなかったんだったな」
 猫は大きく口を開き、女の喉に噛み付く。彼女は渾身の力で抵抗したが、それを押さえることは造作もないことだった。やがてゴキンとなにかが折れる音がする。猫が女から口を離すと、その体は力なくベッドに沈んだ。もう彼女が動くことはないだろう。
 最初は殺すつもりなどなかった。しかし男を優しく扱うことに慣れたからといって、彼女にまで優しくする必要はなかったのだ。男に出会う前までは、これが普通だった。人間は殺してから喰っていた。
 とはいえ、猫はもうこの女を喰らう気はなくなっていた。先ほど彼女が声をあげたから、もしかしたらそれを聞き付けて人がやってくるかもしれない。それに早いところ男の元に戻りたかった。自分と同類の男の元へ。
 猫は急いで服を着ると、部屋の窓に手をかけて開け放つ。夜の冷たい風が頬を撫でた。ここは3階だが、問題はない。猫は窓枠に足をかけると、なんのためらいもなくそこから飛び下りた。


 これ以上人間に声をかけられないように猫の姿に戻って走っていると、雨が降ってきた。最初はまばらに降っていたが、すぐに土砂降りに変わった。銀色の毛は瞬く間にずぶ濡れになった。あの女にかまわなければ雨が降りはじめる前に帰れていたと思うと、猫は歯噛みしたくなった。
 やっとの思いで、猫は男の家までたどり着く。外から寝室であろう部屋を見上げれば、意外にもまだ明かりがともっていた。普段なら彼は寝ているはずの時間帯だった。
 猫は玄関にあがり、一度体を震わせて大雑把に毛に含まれた水気を飛ばす。それでもまた体から水をしたたらせながら、男のいる寝室に向かった。廊下を汚すなと怒られるだろうが、それでも早く会いたかった。
 自分でも不思議なくらい焦っているのがわかる。そんなに化け物呼ばわりされたのが堪えたのか。なにを今更、と鼻で笑おうとしたが、猫の足は止まらなかった。
「今、戻った」
 言うと、ベッドサイドに腰をかけて本を読んでいた男は顔をあげた。ずぶ濡れな猫を見てわずかに驚いたような顔をしたが、すぐに本を閉じて小さく笑う。怒られると思っていたので、彼のその反応は意外だった。
「ずいぶんと遅かったじゃないか。途中で車に弾かれたんじゃないかと思っていたぞ」
 いつもと同じ皮肉っぽい調子だが、どこかニュアンスが違う。違和感の正体を探して猫は、まさか、と思った。しかしどうしても、そんな都合のいい解釈をしてしまう。まさか彼が自分の帰りが遅いのを心配していたのではないかと、思ってしまう。
 実際のところはどうなのかはわからない。違和感を感じるのは猫の気にしすぎなのかもしれないし、直接男に確かめようにも彼は素直に真実を言う性格ではなかった。だから猫はあえて男には聞かない。自分の都合のいい解釈で十分だ。たとえそれが真実じゃなくても、男が心配をしてくれていたと思うと嬉しい。
「ずぶ濡れだな。後で廊下を綺麗にしておけ」
 誘うように男がこちらに手を伸ばす。後で、ということは、今はしなくてもいいということだ。猫はそう考ながら彼に近づき、伸ばされた指先を舐める。すると体を抱き上げられた。男が自分も濡れるのを気にしていないように抱きしめてきて、猫は冷えていた体が急に熱を持ちはじめてきたことを自覚する。どうしようもないほど、興奮した。こちらも人間の姿になって、男を抱き返したいと思う。そしてこのまま彼をベッドに押し倒したかった。
 だが不意に、男の体が強張る。何事かと思い、猫は彼を見上げた。しばらくなにかを吟味するように黙っていた男だったが、やがて小さく呟く。
「なぜお前から、女ものの香水の匂いがする?」
 それを聞いた瞬間、しまったと猫は思った。先ほど抱いた女の香水が、体について残っていたらしい。雨でびしょ濡れになっても匂いが落ちなかったということは、それほど相手と体を密着させていたという結論に達するのは容易だ。
「ここへ来る前、女を抱いたな」
 抑揚のない声で男は言う。
「しかも、血を飲んできた」
 普段から血を流し、猫に与えているから男は血の臭いに敏感だ。だから気が付かないはずがない。
 猫は一気に興奮が冷めてくるのを感じた。それと同時に焦りを覚える。やはり安易な行動はとるべきではなかったのだ。確かめるまでもなく、男が怒っているのがわかる。彼のここまでの怒気を感じるのははじめてだった。
「貴様、何様のつもりだ?」
 声を荒げないで、淡々とした口調なのが逆に男の怒りを如実に物語っているようだった。
「私には他の者に抱かれるなと言っておきながら、自分は女を抱くだと?以前、貴様が私の物になると言ったのは嘘だったのか」
「それは・・・」
 嘘じゃない、と言おうとしたがすぐに無駄だと思い口をつぐむ。今は言い訳をするべき時ではない。ひたすらに、男に謝らなければいけない。
 再び口を開こうとした瞬間、男にきつく睨まれた。
「ふざけるな・・・!」
 男は猫の首根っこを掴むと立ち上がった。そのまま大股で窓の方へ歩く。
「なにを・・・」
「貴様などもう知らん。他の人間の元へ行くなり、野垂れ死ぬなりしてしまえ!」
 窓が開け放たれ、まだ雨が降り続けている外へ放り投げられた。男の寝室は2階だ。当然、猫の体は落下していく。いきなりのことに猫は目を白黒させたが、なんとか地面に着地した。すぐに顔をあげて寝室の方を見る。ピシャリと音を立てて、窓は閉められた。人影が離れてゆく。
 今のことは完全に、自分が悪い。その場に座り込み、うなだれながら猫は思った。それがわからないほど、猫も馬鹿ではない。
 男が怒るというのは、少し考えればわかることだった。人に言っておきながら、自分が実行をしないというのを彼のような性格の男が許すはずもない。先ほどの様子では、猫がいない間も男は他の人間のところへ行ったようではなかった。それが余計に彼の怒りを助長させているのだろう。
「俺は、なにをしているんだ」
 知らず知らずのうちに、浮かれていたのかもしれない。男は自分だけには甘いと、心のどこかで思っていた。だから普段なら簡単に見極められるような、レッドゾーンに気付けなかった。
 男にもう知らないと言われてしまった。他の人間の元へ行け、と。ありえない、と思った。他に誰の元に行けというのだ。誰も化け物である自分を受け付けない。唯一傍に置いてくれたのが、男だったのに。
 男に会ってから、猫は弱くなってしまった。今までなら一人でいようが、化け物呼ばわりされようがなんとも思わなかった。しかし男と会ってから、元は自分が普通の飼い猫であったことを思い出してしまった。人間に撫でられる気持ちよさなんて、400年も忘れていた。男は昔の飼い主のように、普通の猫にするように体を撫でてくれるから嬉しかった。
「・・・飼い主、か」
 そういえば、と思う。どうやって、自分と飼い主は別れたのだろうか。400年前、猫は道を歩いていたら地面から突き出していた突起物に足を引っ掛けて怪我をしてしまった。気になってそれを前足で掘り返してみると、矢のような形をしていたのを覚えている。
 怪我は大したものではなかった。しかし傷口からばい菌が入ったのか、次の日に高熱を出してしまい一週間も苦しんだ。それからだ、ムシに寄生をされたのは。あの矢のようなものが、直接的な原因だったのかはわからない。しかしあの時から、他人の血肉を取り込まなくては生きていけない体になった。
 ここまではいい。ちゃんと覚えている。しかしその後、自分がどういう行動に出たのか猫は詳しく思い出せないでいた。飼い主の記憶もそこで途切れているから、飼い主の前から姿を消したのだろうが。
 その場から一歩も動かないまま、猫は雨に打たれ続けていた。雨足は衰えない。体も冷えていく。どこか雨をしのげる場所に移動すればいいのに、動けなかった。
 どのくらいの時間、そうやっていたのかはわからない。寒さで体が痺れてきた頃、視界に靴を履いた人間の爪先が映りこんだ。
「なにをしてるんだ、お前は」
 心底から呆れたような声だった。猫が顔をあげると、そこには傘もささずにこちらを見下ろしている男がいた。声同様にその表情は呆れかえっていて、怒っている様子はない。
 まさか彼が自分の前にやってくると思っていなかったので、猫は驚いて声が出せなかった。
「馬鹿みたいにそんなところに座りこんで。どこにでも行けばいいだろう」
 この場から立ち去れと言われた気がして、猫は胸が苦しくなった。
「行き場がない」
「それでも、雨のあたらない場所なんていくらでもある」
「ここを動いたら、もうあんたには会えないと思った」
 男がわずかに眉間に皺を寄せる。雨に濡れて長いピンク色の髪から水がしたたった。
「そんなに私の血は美味いか。もう口にできないのが惜しいほどに」
「違う、そうじゃない」
 はっきりとした口調で、男の言葉を否定する。
 男の血は美味い。それは事実だ。きっとこれから先、彼ほど美味い人間なんていないだろう。顔も猫好みだし、体の相性も抜群だ。しかし性格が悪い。横暴で意地悪で、他人のことを道具のようにしか思っていない。すぐに拗ねるしわがまま。出会ってまもなかった頃は、何度喰い殺してやろうと思ったことだろう。
 でも男は猫を畏れなかった。それどころか、自分の手足のように使ってくる。猫使いが荒くて、口を開けば文句ばっかり言ってくるくせに、時折優しく体を撫でてきた。それが気持ちよくて額や体を彼の手に擦り寄せると、やはり猫だな、と苦笑しながら言った。
「俺はあんたと一緒にいたいんだ」
 それが今更になってようやく気が付いた本心だった。
 男は表情を変えないまま、しばらく猫を見る。猫もまた、男から視線を外さなかった。
「私はそんなふうには思っていない」
「わかってる」
「家に居座っているから置いているだけだし、抱かれるのも貴様の顔と体が好きなだけで、そこに心は一切ない」
「それも、わかっている」
 ただ猫が勝手に男の傍にいたいだけだから。
「だから、俺を飼ってくれ」
 猫の言葉に、男はゆるく目を伏せて深くため息をついた。そのままなにかを考えるように、瞼を開けない。互いに動かず声も発さないまま、雨に打たれ続けた。
 やがて男は瞼を開けると、呟くように言った。
「人間の姿になれ」
 言葉の意図がわからずに、猫はわずかに首をかしげる。なぜこの話の流れで、その言葉が出てくるのだろうか。しかし早くしろと男に促されて、猫はわけもわからないまま人間の姿になる。その瞬間、男の拳が綺麗に猫の左頬に決まった。
「・・・ッ!」
 まったく予想をしていなかったので、まともにダメージを受けてしまう。なんとか持ち堪えて地面に崩れることはなかったが、口の中が切れたのがわかった。
「流石に猫の姿のままじゃあ殴りにくいからな」
 右手を開いたり握ったりしながら男が言う。未だに状況が把握しきれないまま猫が男を見た。目が合うと、彼はフッと口端をつり上げて笑った。それからこちらに背を向けて歩き出す。家の中に戻るらしい。
 猫がどうすればいいのかわからずにその場に立ちすくんでいると、彼は振り返った。
「来ないのか?」
 先ほどの一発とこの言葉で、全てが許された気がした。
 猫は男に駆け寄り、その体を抱きかかえる。軽々と持ち上げられた男は一瞬面食らったような顔をしたが、すぐに降ろせと声をあげた。猫はそれを無視して家にあがると、一直線に寝室まで男を運ぶ。抱いたまま体を横たえらせてから、強く男を抱きしめた。
「俺が悪かった。もう他の人間は抱かないし、血ももらわない」
「当たり前だ、馬鹿」
 猫は冷えきってしまった男の体に何度も口付けをする。いつもならうっとうしいと怒られるが、今日はなにも言われなかった。
「寒い」
「温めてやろうか」
「どうやって?」
「わかってるくせに」
 ゆるく笑うと、彼も挑発をするように艶やかに笑う。
「精々飼い主には、誠心誠意尽くすんだな」
「それだといつもと変わらない気もするが」
 軽口を叩きながら、猫は誘われるまま男に深く口付けをした。


END

 

 

猫なのに言動が犬、ふしぎ!
ここで完結してもいいような感じですが、あと2話くらいあります。
最近この二人が怖いぐらいラブラブすぎて逆に殺伐としたものが書きたくなってきますね。
 


パラレルな男と猫の話の続きです。折り返し地点。イチャイチャのターン。

 

 

 

 ぺたりと、男が猫の裸の肌に触れた。人間の姿の時に彼から触れてくるのは珍しい。そしてセックスの後に、ベタベタとしてくるのも珍しい。普段ならば、終わってしまえば一人でシャワーを浴びに行ってしまうか、あまりにも疲れた時はさっさと寝てしまうというのに。
 こちらから触ると怒るくせに、と思いながら、猫は男の好きなようにさせてやった。彼は腕を指先で撫で、それから胸元、腹を撫でる。なにかを確認するような手つきだった。
 緩い刺激を受け続けながら、向こうから触ってくるというのも問題だな、と猫は思った。また彼を抱きたくなってしまう。猫は自身で性欲には淡白な方だと思っていたが、どうやら男に対してのみ違っていたらしい。
「なんだ、さっきから」
 これ以上触れられると手を出してしまいそうなので、猫は男に問いかける。男は手を止め、猫の顔を見た。不満そうにわずかに眉間に皺が寄っている。なんなんだ、と猫は思った。
 なにが不満だ。ちゃんとあんたが満足するくらい、奉仕をしてやっただろう。
「猫のくせに鍛えられた体をしている、と思ってな」
 それはお前も一緒だろう、と猫は思う。男は基本引きこもりのくせに、素晴らしくバランスの取れた体をしている。いったいいつ鍛えているのだろうか。この体系を維持するには、定期的に体を動かしていないと駄目だろう。この家の地下にでもトレーニングルームでもあるのかと、猫は疑っていた。
 面白くなさそうに、男はまた猫の肌を撫でる。なにが面白いのか、それとも面白くないからやっているのか、何度も腹筋の割れ目を撫でていた。猫は彼の手首を掴んでそれをやめさせる。すると金色の瞳で睨まれてしまった。
「気に入らん。普段は外をふらふら出歩いているか、ベッドでごろごろしているだけのくせに」
 悪かったな、暇で。
 とは、声に出しては言わなかった。実際、やることがないのだからしょうがない。自由に猫や人間になれるのと、体内に寄生しているムシのおかげで鉄分を操れる能力を買われて彼に敵対する者の暗殺を任される時があるが、それ以外は普通の猫と同じように時間を潰すしかない。彼以外の人間と関わり合うつもりもなかった。
「いいだろう。あんただって、十分見れる体をしてるじゃないか」
 むしろどちらかといえば、細身の猫よりもいい体をしている。モデルとかをやればいいのに、と猫は思っていた。彼は全力で嫌がるだろうが。
 猫の言葉に、男はつまらなそうに鼻を鳴らす。
「鍛えているんだ、当たり前だろう。だが貴様は、なにもしていないのにそれだ」
 彼は変なところで拗ねることがあるから困る。そんな時、猫は男のご機嫌取りに頭を使わなくてはいけない。なにも言葉を返さなくても不機嫌になるし、当然下手なことを言っても不機嫌になる。
 なぜ自分が人間に気を使わなければいけないのか、と思うが、そろそろこれが当たり前になってきたのでもう諦めた。彼はそういう男なのだ。考えてもしょうがない。
 男は世の中はある程度の我侭が通るということを知っている。そしてその我侭を通すだけの力を持っている。力と知恵、権力と富、そして男にしては整った顔立ちを持っていて、どのようにすれば一番自分の都合のいいように物事が進むのかを彼はよく理解していた。だから猫はたとえ相手が人間であれ、彼に逆らえなくてもしょうがないと思っている。
 ただたんに飼い慣らされてしまっているだけ、というのを、猫はいつまでも否定し続けていた。
「化物特権だ。諦めろ」
「煩い、黙れ。男として納得がいかん」
 そんなことを言われても困るのだが。自分が言葉を誤ったことに気が付き、猫は小さくため息を付く。
「・・・お前は『女』、だろう」
 思わず漏れた言葉に、すぐにしまった、と思った。猫の言わんとしていることに気が付いたのか、男は不愉快そうに目を細める。だがすぐに口端をつり上げて笑った。嫌な予感。
 男は猫の手を振り解くと、そのまま腕を伸ばして猫の顎を取る。まずい、と猫は思った。男は完全に捕食者の目をしている。背中を嫌な汗がつたった。
「ずいぶんな物言いだな、畜生の分際で。なんなら私が貴様を『女』にしてやろうか」
 この男はどちらもいけるのか、と場違いな感想を持つ。だが今はそんなことを考えている場合ではない。間違いなく貞操の危機に直面している。
「遠慮しておこう」
「この私が言っているのだぞ。遠慮するな」
 赤い舌で下唇を舐められながら言われる。普段からそれだけ積極的なら嬉しいが、今はまったく嬉しくはない。
「・・・俺が悪かった。先ほどの言葉は撤回するから、本当に止してくれ」
 受け手に回ったことがないので無理だ。未知の扉を開ける気もまったくない。
 猫が必死に謝ると、男は再びつまらなそうに鼻を鳴らしてから手を離した。なにも言わずにベッドから立ち上がり、部屋から出て行こうとする。シャワーを浴びに行くのだろうと猫は思った。彼の背中からは、あからさまに不機嫌だというオーラが放たれていた。
 どうしたものか、と思い、猫も立ち上がって男に並ぶ。すると睨まれてしまった。
「ついてくるな。畜生と一緒に風呂に入る趣味はない」
「初めて会った時は入っただろう」
 黙殺された。そんな彼に後ろから抱き付く。互いに足を止め、首だけ振り返った彼の目を覗き込む。
「頼むから機嫌を直してくれ」
 長い髪を掻き分けて白い首筋を露出させると、そこにざらざらとした舌を這わせる。牙がうずいたが、噛み付くのは我慢した。ただ許しがもらえるように、優しく舐める。
 愛撫をするように舌を使われて、ひくりと男の喉が動いた。
「おい・・・っ、やめろ」
 小さく抵抗してきたが、力はこちらの方が上なので全身で彼を抑え付ける。
「女なんかと言って悪かった。あんたはそこらの女よりも、ずっと最高だ」
 その体も、血肉の味も。
 男の体が熱を持ってくる。このままなし崩しに許してくれればいいと、猫は思った。もっと言えば、再びベッドかバスルームで二回目に持ち込めるといい。そんな期待を込めて、猫は男に口付けをする。彼の口腔内を犯しながら、先ほど自分がされていたように男の肌を撫でた。男の体が小さく震え、鼻にかかったような声を上げる。
 いける、と猫は思った。このまま男を崩せる。しかしそう思った瞬間、みぞおち辺りに鈍い痛みを感じた。男から口を離し、小さく呻く。どうやら男に肘打ちをされたらしい。完全に油断をしていたので、まともに喰らってしまった。痛みのために体が猫の姿に戻ってしまう。
 そんな猫を、男は冷たい目で見下ろした。
「私がそんなことで丸め込めると思ったか、馬鹿め」
 同じく冷たい声で言い捨てると、部屋から出て行ってしまった。床に爪を立てて痛みに耐えていた猫は、やがて一つ深呼吸をする。
 ままならない。あの男だけは、ままならない。今までどんな人間も、自分の容姿にほだされて甘い顔をしたというのに。まったく、厄介だ。思いどおりにならない男にはまってしまっている自分が、酷く厄介だ。
 鈍い痛みを抱えたまま、猫は小さく喉を鳴らして笑う。まぁそれもいいだろう、と思った。たまには人間に振り回されるのも悪くはない。むしろ彼のああいうところを気に入っている。化物である自分を恐れずに、手駒にしてしまった男。楽しいではないか。あの男も、今のこの関係も。
 ひとしきり笑ってから、猫はその姿のまま歩き出す。そしてもう一度男にちょっかいを出すために、彼がいるであろうバスルームに向かった。


END

 

 

 


ボスは実は筋肉の付きづらい体質で、あの体系を維持するのに結構苦労してるんじゃないかなぁ、と思って。

あと、3話で終わる・・・はずです。私が途中で挫折しなければ。
リゾットには女王様なボスに萌えて仕方がない今日この頃です。


そんなわけでトリッシュとリゾットを絡ませてみる。
この二人がどんな会話をするのか想像がつきません。
なんかあんまりトリッシュに優しくない話になってしまいました。基本女の子は優遇してあげたいんだけどなぁ。
うちのリゾットはボスの前以外ではSだったようです。










 なぜかボスの娘と居合わせてしまった。名前はボスの口からよく聞かされるが、実際に面と向かって会話をしたことはほとんどない。ましてや、ボスが彼女に俺のことを話しているとも思えないから、トリッシュは俺のことなどまったく知らないといっていいだろう。精々知っているのは、暗殺チームのリーダーをやっていて、時折こうやって家にやって来るということくらいか。
 なので当然、二人きりになっても会話は発生しない。お互いに沈黙を苦痛に感じるほど、繊細な神経を持ち合わせてはいなかった。
 ボスが家にいなかったのは予想外だ。なにか用事があったのだろう。別に特別に彼に会いたかったというわけではないため、帰ろうかと考える。すると意外にも、トリッシュは俺に声をかけてきた。
「あなたって、父と付き合ってるの?」
 うかがうような、それでいてどこか棘が含まれている声だった。
 付き合うとはつまり、恋人同士かということか。頷きたいところだが、ボスに限ってそれはない。どちらかといえば彼に気に入られているという自覚はあるが、そこまで甘い関係でもない。上司と部下。主人とペット。そしてセックスフレンド。そんなところだろう。しかしそんなこと、はっきりとトリッシュに言うこともできない。道徳的に考えて。下手なことを言って、後でボスの機嫌を損ねるのも避けたい。
「お前が思っているような関係じゃない」
「別に私は、あなたと父が恋人同士だなんて思ったことはないわ」
「・・・そうか」
 じゃあいったいなんなんだ。ボスもそうだが、彼女も彼女で気難しい性格をしている。
「ただ、あなたはどう思っているのかと思って」
 そんなことを聞いてどうする、と思ったが、口に出しては言わなかった。言ったらたぶん、彼女は不機嫌になるはずだから。ボスとの付き合いが長いおかげで、この手の性格の人物の思考パターンがなんとなくわかる。
 しかし本当に、そんなことを聞いてどうするつもりなのだろうか。聞いたって、なんの得にもならないはずだ。父親の周りにいる人間が気になるのだろうか。しかし普段から彼女はボスに興味がないような素振りを見せている。というか、トリッシュはボスが嫌いなのだと思っていた。案外、そうでもないのかもしれない。素直になれないだけか。ここら辺、非常にボスと性格が似ている。
「俺はボスが好きだ。あんな性格でも、愛している」
 本人が聞いていたら、絶対に嫌な顔をするであろう台詞だ。そしてトリッシュもまた、嫌な顔をしている。この顔、ボスにそっくりだ。流石親子。だからといって、彼女にときめいたりはしないが。
「ホモなのね」
「そういうお前の父親はバイだがな。そして正確にいえば、男が好きなんじゃなくボスが好きなだけだ」
「どっちだって結果的には一緒よ」
 そうかもしれない。だがやはり、ホモ扱いは納得がいかない。
「よくあの人なんて好きでいられるわね」
 正直なところ、自分でもそう思う。よくあの女王様に付いていけているものだ。でもボスは普段からそこまで我が侭というわけではない。それなりにわきまえているところもある。特にあんな我が侭な態度を示すのは、俺の前でだけということを知っているから、どうしても甘やかしてしまうのだ。
 ボスは酷い男だと思う。俺の前でだけ我が侭を言われたら、自分が特別なのではないかと思ってしまうではないか。本人は俺が逆らえないと知って、わかってやっているのだろうけど。本当に、酷い男だ。甘やかしている俺も悪いのだろうけど。惚れた弱みだからしょうがない。
「あなた、実はマゾなんじゃない?」
「ボスに関しては、そうかもな」
 決して報われないと知っていながら、それでも傍にいたいと思うのだから。
「ホモでマゾなんて、最低ね」
 汚らわしいものを見るような目で、トリッシュは俺を見る。その顔は、やはりボスに似ていた。
 俺は小さく笑う。彼女は不機嫌そうに眉間に皺を寄せた。
「なによ」
「いや。ただ、ファザコン娘に言われたくない、と思ってな」
 結局のところ、彼女は父親を誰かに取られたくないから、俺に冷たくあたるのだろう。本人がそれを自覚していないだろうが。しかしそうでなければ15年間音沙汰もなく、最近になってようやく会ったばかりの名前だけの父親にまとわりついている男のことなど気にしないだろう。少なくとも、ここまで冷たくすることはない。自分には関係がないと、無視をしていればいい。
「誰がファザコンですって?あんな奴のこと、なんとも思ってないわ!」
「お前は自分がこの世で一番ボスから愛されていると自覚しているはずだ。だからって、ボスは自分のものだと思ってないか?自分以外に関心を向けていると、苛立ちを覚えないか?そういうのを、世間じゃファザコンというんだ」
 怒りのためか、トリッシュの頬がカッと赤くなった。
「私はあの人に愛してくれなんて頼んでいない!」
 俺だって、ボスに愛してくれなんて頼まれてはいない。それでも見返りを求めずに愛している。ボスだってそうだろう。
「ボスも酷い男だが、お前も相当だな。口では突き放しておきながら、自分から離れていくと怒る。そのくせ相手が近寄ってくると、また突き放す。相手はたまったものじゃないな」
 図星なのか、トリッシュは唇を噛み締めて悔しそうな顔をした。それを見て、少し気分がよくなる。
「確かにあんたは誰よりもボスに愛されてるさ。だが娘のあんたより、俺の方がボスとは付き合いが長い。ボスのことは俺の方がよりよく知っている」
 癖や仕草。食の好み。好きなワイン、季節、本、音楽。そしてベッドでどんな乱れ方をするのかも、知っている。
 そこまで言うと、顔面に拳が飛んできた。俺はその細い手首を難なく捕らえる。怒りのせいでトリッシュの体はわずかに震えていた。
 流石にスタンドを出されると厄介なので、俺はもうなにも言わずに退散する。元よりボスのいないこの家に長居をするつもりはなかった。
 背後からなにかが破壊されるような音が聞こえる。トリッシュが怒り任せに暴れているのだろう。あれでいて気性の激しい女性だから。口より先に手が出るところまで、ボスにそっくりだ。15年会わなくても、親子というのはここまで似るものなのか。
 そう思うと面白くなくて、俺はもう少し追い討ちをかけてやればよかったな、と歩きながら思った。
 その日の夜に、ボスからトリッシュの機嫌がめちゃくちゃ悪いがなにかしたのかと電話があった。声の様子では、八つ当たりをされている感じだ。真実を言うと今度は俺がボスになにをされるかわからないため、俺はさぁな、と白を切ってから、早々に電話を切った。


END









仲が悪いというよりは、大人と子供という感じですね。
やっぱりトリッシュはジョルノ相手にわーわー言ってた方がいい。

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