忍者ブログ
おっさんと人外を中心によろずっぽく。凄くフリーダム。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


ハバネロ様に捧げます。
フライング気味ですがバレンタインネタで、以前書いたハロウィンネタと繋がってます。
リゾットが崩壊気味です。

 

 

 2月14日。いわゆるバレンタインデーである。しかしそんなことには暗殺者には関係なく……ということもなく、結構意識していたりする。リゾットの意中の相手は間違っても自分からチョコを渡しに来るような人物ではなく、ましてやくれるかどうかも怪しい。そんなわけで、今日も今日とて彼はディアボロの家に上がりこんでいた。人をこれはストーカーという。
「ボス、チョコをもらいに来たんだが」
「懲りないな、貴様も。そしていい加減不法侵入はやめろ」
 玄関ではなく窓から入ってきた暗殺者を睨む。鉄を操るリゾットに鍵がなんの意味も持たないのが腹立たしい。そろそろ本気で彼が家に入ってこられないようなトラップを考えるべきである。
「この間のハロウィンでなにも学習しなかったのか?」
「あれくらいで懲りていては、あんたを愛していられないからな」
「いい心がけだ」
 去年のハロウィンのこと、リゾットはディアボロに騙されてバイオ兵器、もといトリッシュの作ったクッキーを食べさせられた。あの時ほど生死の境をさまよったことはない。
 ちなみにそのトリッシュが作ったクッキーは、彼女の手によって自分のチームのメンバーに配られていた。トリッシュの料理の腕を知っているメンバー達は、家に帰ってからこっそりと焼却するなり、土に還すなり、植物にするなりしていたのだが、それでは悪いとブチャラティのみがクッキーを口にした。そしてリゾットと同じ運命をたどった。人が良すぎるのも考えものである。
「今回こそちゃんと私がチョコを作ったと言ったら、どうする?」
 言われて、驚く。チョコを貰いに来たとは言ったが、しかし期待はしていなかった。最初の台詞はディアボロに会いに来る口実だ。といっても、なにもなくても会いに来たりしているのだが。
 ディアボロが立ち上がりどこかへ消える。だがすぐに戻ってきた。その手には白い皿がある。皿の上には、一口サイズのトリュフチョコが一つだけ。
「トリッシュがチョコを作って、材料が余ったんで私も作ってみた」
 素直に喜びそうになる。が、リゾットは考えた。今トリッシュが作ったと言ったか。彼女はまたハロウィンの惨劇を繰り返すつもりなのか。
「ちなみに今、娘はどこだ?」
「自分で作ったチョコをチームのメンバーに配りに行っている」
 トリッシュはそろそろ、本気で自分の料理の腕を知った方がいい。作っている最中に味見はしないのか。
「なぜあんたが料理を教えてやらないんだ」
「トリッシュが私の言うことを聞くと思うか?」
「なんか、その……すまん」
「いや、いい……」
 聞いてはいけないことを聞いてしまった。ファザコンのくせに素直じゃない娘なのだ。ディアボロが教えようとしたところで反発するだろう。
「それで、これはいらんのか?」
 リゾットは皿の上のチョコを見る。ハロウィンの時は二つクッキーを用意されて、どちらも結局トリッシュが作ったものだった。では今回はどうだろう。本当にディアボロが作ったものなのか、それともまた騙してくるのか。前回のことがトラウマになりすぎてリゾットはほとんど疑心暗鬼に陥っていた。
 相手の表情からは騙しているのかどうかはわからない。チョコの見た目や臭いからでも判断はできない。どうする、とリゾットは究極の選択を迫られていた。少しでもディアボロが作ったという可能性があるのならもらうべきだ。しかしもうトリッシュの作ったものは食べたくない。どうする……。
「リーダーがいらないんなら、俺がもらうぜ」
 その時、背後から声がした。かと思うと、後ろから手が伸びてきて皿の上のチョコを取る。慌てて振り返ると、そこには丁度チョコを口に運んだメローネがいた。
「メローネ?!」
「なぜ貴様がここにいる?!」
 突然現れたもう一人の暗殺者に二人は声を上げる。まったく気が付かなかった。彼もまた玄関じゃないところから入ってきたのだろう。どうしてこうもうちにストーカーと変態が出入りするのだろうと、ディアボロは思わずにはいられない。そろそろ引越しを考えるべきだろうか。
 二人の叫び声にニコリと笑顔で返し、メローネは口の中のチョコを転がす。それを見て、リゾットは本当にディアボロが作ったチョコだったのだと理解した。後悔に体がわなわなと震える。
「すっげぇ美味いぜ、流石ボスだな」
「当たり前だ、誰が作ったと思っている」
「これから毎日、俺のために朝昼晩と料理を作ってくれよ」
「身の程知らずなことを言うな」
 軽口を叩き合ってはいるが、ディアボロは満更でもなさそうだ。褒められて嬉しくないわけがない。
 リゾットの中でなにかが弾けた。
「ボス!もうないのか?!」
 ディアボロの肩を掴んで揺さぶりながらリゾットが叫ぶ。そんな彼の手を煩わしそうに払いのけてから、ディアボロは言った。
「本当はもう少しあったんだが、いつの間にかトリッシュに食べられててな」
 自分で作ったのを喰えよ……!!
 リゾットは内心で絶叫した。それから矛先をメローネに向ける。
「返せ!あれは元々俺のものだぞ!」
「でもまだ手を付けてなかったじゃないか。それに返せって言ったってもう喰っちまったし。それとも俺が戻したのを食べたいのか?リーダーってばヘ、ン、タ、イ」
「メタリカァ!!」
 メローネが剃刀を吐く。剃刀と、それによって口の中を切ったせいで流れ出る血が床を汚した。それを見て、誰が血で汚れた床を掃除するんだとディアボロは眉間に皺を寄せながら思う。すると玄関の開く音がした。どうやらトリッシュが帰ってきたようだ。
「ただいまー。って、うわ……なんでストーカーと変態がここにいるのよ」
 トリッシュはリゾットとメローネを見て眉をひそめ、メローネの血で汚れた床を見て二人を完全に廃棄物を見るような目で見た。
「ははは、リーダー、ストーカーと変態だってさ」
「言っておくが変態はお前の方だからな、メローネ」
「え、マジ?」
 少し冷静になってきたリゾットに突っ込まれ、メローネは心底不思議そうな顔をする。リゾットは冷めた瞳で相手を見た。
「自覚のない変態か、可哀想にな」
「自覚のあるストーカーもどうかと思うぜ」
 その後、リゾットとメローネは潔癖症気味の親子に汚した床の掃除を命じられた。
 二人が掃除をサボらないように見張っていると、ディアボロはトリッシュに肩を軽く叩かれる。何事かと彼女の方を振り向くと、可愛くラッピングされたそれが目に入った。それを差し出してくる。
「これ、余っちゃったからあげるわ。べ、別にあんたのために作ったんじゃないからね!余ってもったいないから、だからあんたにあげるだけよ!」
「トリッシュ……」
 娘よ、これは新手の苛めかなにかですか……?
 喜んでいいのか、恐怖していいのかわからない。しかし見る限りトリッシュに悪意はなさそうだ。娘の好意を無駄にしてはいけない。ディアボロは震える手でトリッシュの作ったチョコを受け取った。
 それから数日間、ディアボロは嘔吐と熱、そしてリゾットとメローネの看病という名のセクハラに悩ませられ続けた。丁度同じ頃、ブチャラティもまた、嘔吐と熱に悩まされていたという。


END

 

 


リクエストは「リゾディア前提で暗殺チームとボスとトリッシュ」だったのですが、消化不良気味ですみません・・・。
一度に大勢の人物を動かすのが苦手な私です。なので大人数は出せません。そしてリゾットとメロン以外にボスに絡める暗チが思い浮かびません。精進します。
こんなものでよかったらお持ち帰りください。
 

PR

Comment
Name
Title
Mail
URL
Comment
Pass   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
[377] [376] [375] [374] [373] [372] [367] [371] [370] [369] [368
«  Back :   HOME   : Next  »
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

メール(☆を@に)
リンク
当サイトは同人サイト様のみ、リンクフリーとなってます。
管理人>>シノハ。 または篠葉 零
サイト名>>なんでもない


BKM
Na-2
風人インク
ROAM青
Nonsense
SAVA味噌
Red field
Caucasia
△デルタ▽
Beneath the Surface
Curtain-fall
Ng
無断とか本当にすみません…

その他
なんでもない
管理人の創作サイトです。
おっさん・人外・幼女中心で携帯観覧推薦。
現在こちらをメインに更新中。
プロフィール
HN:
シノハ
性別:
女性
自己紹介:
1月14日生まれの新潟県民。

ジョジョラーでケモナーでおっさん&おじいちゃんスキーでSHK国民。
最近はfkmt作品に手を出してます。
乙一作品と三原ミツカズ作品と藤田和日郎作品も好き。
節操なしの浮気性です。
忍者ブログ [PR]