忍者ブログ
おっさんと人外を中心によろずっぽく。凄くフリーダム。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


相互記念にハバネロ様に捧げます。
パラレル、擬獣化。猫ボスと忠犬ではなく駄犬リゾットです。もはやなんの作品だ、状態です。
違うよ、ハバネロ様がそうリクエストをくださったんだよ。カオスなのは私のせいじゃないよ。
ボス猫シリーズとは一切関係ありません。あと、なんか本当にごめんなさい。

 

 

 


 夜の闇にまぎれて一匹の犬が人気のない道を歩いていた。少し道を外れれば人間はたくさんいるが、ここには誰もいない。動物が通るような、いわゆる獣道と呼ばれる場所。そこを黒というよりも、短毛の黒銀に近い毛色を持つ大きな犬が歩く。赤い瞳はなんの感情も浮かんでいなかった。ここになにか用があるわけではない。ただ探している。この街で噂になっている、ピンクと黒の毛色を持つ猫を。
 元々犬はこの街の者ではなかった。隣街で野良犬や野良猫をまとめるリーダーとして生きていた。そんな折、突然現れたという猫の噂を聞いた。やはりこの街の野良犬や野良猫をまとめているらしい。
 傲慢で我がままで、まさに猫らしい性格の猫と聞いている。そんな彼がどうしてみなの反感を買わずにやっていけているのかが気になった。だからわざわざ確かめに来たのだ。
 猫がよく出没するという場所を徹底的に探していた。しかしなかなか見つからない。この辺りの野良達をまとめている存在でありながら、その姿を見た者は少ない。いつも他の犬や猫を介して野良達に命令を送っている。
「そんな猫、本当に存在するのか・・・?」
 立ち止まり、独りごちた。そもそもピンクと黒の毛色という時点で怪しい。いったいどんな新種だ。上手く野良達をまとめるために、そんないもしない猫の象を誰かが考えたんじゃないかと犬は考える。動物の群れにとってボスの存在は大きい。その器のある者が群れのボスになれば影響力は絶大だ。
 リーダーとボスの違いはなにか。それは仲間との距離だと犬は思う。リーダーはただ群れをまとめ、ばらばらにならないようにするだけ。他の者との関係は対等だ。しかしボスは違う。絶対的な権力を持ち、他の者を従わせる。そこの違いだ。
 ここまで来て無駄足というのはつまらない。せめてこの街で高い権力を持つ犬か猫に会えないかと考える。おそらくその辺りが、ピンクと黒の毛色の猫の噂を勝手に流したのだろう。そう考える方が自然だ。それを思って、小さくため息を付く。
「結局、無駄足だったか」
「いや、そうでもないぞ」
「・・・!」
 背後から男の声が聞こえ、反射的に振り返る。そして息を呑んだ。そこには薄闇の中でもわかるくらい鮮やかなピンクと、そして斑の黒の毛色を持つ猫が座っていた。金色の瞳を微妙に細めて犬を見据えている。誰かを従わせることに慣れた目と雰囲気だった。
 近づかれた気配がまったくわからなかった。いったいいつの間にそこにいたんだと思いながら、犬は体ごと振り返る。噂の猫は、確かに存在していた。
「他の街から犬がやってきたと聞いたから会ってみれば、貴様、隣街の野良をまとめてる犬じゃないか」
「俺を知っているのか」
「私の情報網を舐めるなよ」
 ふふん、と楽しげに鼻を鳴らした。縄張りを盗られるとか、荒らされるとかを考えていないのか、その態度は余裕そのものだ。もしくはもし本当に犬がそのつもりだったとしても、自分の方が強いと確信しているのだろう。もちろん、無駄な争いはしたくないので犬にはじめからそのつもりはないが。
「俺はリゾット。あんたの言ったとおり、隣街の野良達のリーダーをしている」
「そうか」
 それきり、猫はなにも言わない。こちらが自己紹介をしたのだから、今度は彼が自己紹介をするのが礼儀ではないだろうか。
「あんたは?名乗らないのか」
「相手が名乗ったからといって、どうして私が名乗る必要がある?」
 なるほど、と犬は内心で思った。話に聞いたとおりの性格だ。この手の者は、こちらが下手に出ないと100年かかっても名乗らないだろう。
 どうするか考えていると、猫はクイと顎を引いた。何事かと、犬はわずかに首をかしげる。
「伏せろ」
 当たり前のように、そう言った。
「私は見下ろされるのが嫌いだ」
 猫は通常のサイズより大きく中型犬ほどだが、それでも大型犬であるこちらの方が大きいので自然と見下ろす形になってしまう。それが気に入らないらしい。傲慢とか我がまま以前に、どこの女王様だと犬は思った。本当によくこれで他の野良達が反発しないものだ。
 しかしここで臍を曲げられても困るので、犬は言われたとおりに伏せの姿勢をとって猫を見上げた。闇にまぎれて猫が笑ったのがわかった。
「変なプライドがなくていいな、それでこそ犬だ」
 満足そうな声だった。
「その素直さに免じて名乗ってやろう。私はディアボロ。他の野良からはボスと呼ばれているがな」
 呼ばれている、ではなく、呼ばせている、の間違いではないだろうか。それにしても大仰な名前だ、と犬は思った。しかし猫がこちらの赤い瞳を覗き込むように顔を近づけてきて、その考えなどすぐに吹っ飛んでしまう。近づいたおかげでよく見えるようになった猫の顔は、ずいぶんと整っていた。美人というほど美人でもないが、どこか人を惹きつける顔をしている。確かに『悪魔』というのは彼にぴったりな名前だった。この顔にみな惑わされているのだろう。彼の金色の瞳で見つめられ、そのよくとおる声を聞くと逆らってはいけないような錯覚に陥ってしまう。
 犬が猫の顔に見惚れていると、彼は再び笑った。どこか人間じみた笑い方だった。
「それで、私に会ってお前はどうする」
 別にどうするということもなかった。犬はただ猫の存在を確かめに来ただけだったから。しかしこのまま帰るというのは後ろ髪引かれる思いがする。それほどまでに犬にとって猫は魅力的だった。
 少し首を伸ばせば触れられる距離に猫はいる。犬の心臓が早鐘のように打った。無意識に犬は首を伸ばす。ちょこんと猫の鼻先に、犬の鼻先が触れた。その瞬間、猫の目がカッと見開かれる。
「なにをする・・・!」
 バリッと鋭い爪で頬を引っかかれてしまった。手加減など一切されておらず、皮膚が裂けて血がしたたる。猫は驚きと怒りで毛を膨らませながらフーフーと鳴いているが、犬の方も自分の無意識の行動に驚いていた。どうしてキスなどしてしまったのだろうか。相手は同じ雄なのに。今まで自分は正常な性癖の持ち主だと思っていたが、そうでもなかったらしい。犬はそれを案外簡単に受け止めた。
「もうこの街から出て行け!そして二度と来るな!」
 猫が興奮を隠さないままに怒鳴る。その姿がなんだか可愛く見えて、犬は小さく笑った。それが更に猫の神経を逆なでする。
「それは困るな」
「あぁ?」
「この街にいないと、あんたに会えない」
 すっくと立ち上がり素早い動きで犬は猫の首根っこに噛み付くと、そのまま地面に押さえつける。暴れようとするので全身でそれを押さえた。体重も体格も犬の方が上なので、猫は抵抗ができない。
 必然的にマウントポジションとなってしまったのに気が付いて、猫が苛立ったような意味のない鳴き声をあげた。他の動物からこんなことをされるのははじめてなのだろう。かなり屈辱的のはずだ。
「退け、駄犬め!」
「断る」
 べろりと耳の後ろを舐めてやった。すると猫の体がびくんと大げさなくらいに揺れる。それが面白くて、何度も同じ動作を繰り返した。猫は体を震わせながら小さく声をあげる。
「んっ・・・ぁ・・・くそ、放せ・・・」
 制止の声を無視して、頬や首筋などにも舌を這わせる。時折耳を甘噛みしてやると、ひときわ大きく声をあげた。そのすぐあとに悔しそうに口を引き結ぶ。後ろから覗き込むようにして彼の顔を見ると、噛み殺さんばかりに睨まれてしまった。それにかすかに笑って応えると、猫は更に目じりをつり上げてくる。そんな彼の目元にキスをした。
 自分でも酷く興奮しているのがわかる。発情期でもないのにこんなふうになるのは、本来の犬ならばありえないことだった。この猫に心を囚われてしまったらしい。
 膠着状態が続いていると、不意に今まで真黒な雲に隠れていた月が二匹を照らした。そういえば今日は満月か、と犬が思った瞬間、猫の体に変化が訪れる。体が大きくなり、前足が人間の手のようになってきた。いや、前足だけでなく体の全てのパーツが人間になってゆく。驚いて犬は体を退けた。その間にも猫は変化し、やがて成人男性の姿になる。
 彼は満月を背にして立ち上がると、不愉快そうに犬を見下ろした。
「・・・どういうことだ?」
「悪魔だからな。普段は猫だが、これが私の本来の姿だ」
 いわく、天使に喧嘩を売ったら返り討ちにあって猫の姿にされてしまったらしい。満月の夜だけは、元の姿に戻れるとか。悪魔だというのに猫の姿にされてもめげず、この街の野良達の頂点に立ったのだからいい根性をしている。
 普段は滅多に姿を見せないという彼が犬の前に現れたのは、今日が満月だと知っていたからなのだろう。はじめから生きて帰すつもりはないということか。先ほどのことも手伝って、彼の目には殺気がこもっている。
 犬は男を見上げたまま動かない。そんな犬に男はふんと鼻を鳴らした。
「どうした、恐怖で声もでないか。この私にあんなことをしたんだ。ただですむとおも・・・」
 思うな、と最後まで男が言い終わる前に犬が動いた。彼に飛びかかり、再び地面に沈めてしまう。仰向けに倒れた男の胸板に前足を置くと、驚いたような顔をしている彼をよそに首筋を舐めた。
「貴様、なにを・・・!」
「すまない。猫の姿の時もそうなのだが、あまりにもあんたが好みすぎて」
「はぁ?!」
 男は犬の顔を押し戻そうとするが、悪魔といえど力は人並みなのか苦戦している。犬もまた、全体重を彼にかけた。
「なぁ、俺の飼い主にならないか?」
「馬鹿なことを言うな・・・!第一、貴様の街はどうする」
「そんなもの、他の奴に譲ってやる」
 勝手なことを言うなと男は声をあげた。しかし犬に喉元を軽く銜えられ、息を呑む。
「あんた、悪魔といっても力や体力は人間並みのようだな。このまま喉に噛みつくとどうなる?」
 男は悔しげに口をつぐんだ。喧嘩を売った天使に能力や力まで制限されているため、今の彼は実質人間と変わりない。犬に本気を出されれば命が危ない。
「この街に犬が一匹増えるだけだ。なんの問題もない」
 犬の言葉に彼は答えない。一度彼の喉から口を離し、見下ろす。
「選択肢をやろう。俺に噛み殺されるか、飼うか、犯されるか。どれがいい」
「・・・ちょっと待て、最後のはなんだ」
「聞きたいか?」
「言ったら殺す」
 男が長く、そして深い深いため息をついた。この選択肢では、どう考えても一つしか選べない。鋭く舌打ちをすると、吐き捨てるように言った。
「しょうがない、貴様を飼ってやる。本当に心底から、不本意だがな」
 退けと言われ、犬は素直に男の上から退いた。体を起こす彼の前にお座りをする。ずいぶんテンションがあがっているのか、尻尾がぶんぶんと千切れんばかりに揺れていた。
「これだけは言っておくぞ。絶対に私に逆らうな、さもないと殺すぞ。今度また先ほどみたいなことをしても殺す」
「善処しよう」
 手を出さないという自信はまったくないが。
 男はしばらく疑わしげに犬をじとりと睨んでいたが、やがて立ち上がった。それから満月に照らされた道を歩き出す。その後ろに自然と犬が続いた。
 この数日後、他の野良犬に自分の後任を任せた犬は、自分についてきた野良達とともにこの街で暮らしはじめた。


END

 

 

 

天使はたぶんジョルノ。
リゾットが駄犬すぎる。うちのリゾットはもうちょっとかっこよくてもバチはあたらないと思います。
リゾットは黒ラブちゃん。ボスは名前忘れたけど豹の血を引く種類のお猫様。実際に中型犬ほどのサイズなんですよ、確か。ともかく普通の猫よりサイズはでかいです。
ハバネロ様、こんなものでよかったらお持ち帰りください。

PR

Comment
Name
Title
Mail
URL
Comment
Pass   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
[327] [326] [325] [324] [323] [322] [321] [320] [319] [318] [317
«  Back :   HOME   : Next  »
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

メール(☆を@に)
リンク
当サイトは同人サイト様のみ、リンクフリーとなってます。
管理人>>シノハ。 または篠葉 零
サイト名>>なんでもない


BKM
Na-2
風人インク
ROAM青
Nonsense
SAVA味噌
Red field
Caucasia
△デルタ▽
Beneath the Surface
Curtain-fall
Ng
無断とか本当にすみません…

その他
なんでもない
管理人の創作サイトです。
おっさん・人外・幼女中心で携帯観覧推薦。
現在こちらをメインに更新中。
プロフィール
HN:
シノハ
性別:
女性
自己紹介:
1月14日生まれの新潟県民。

ジョジョラーでケモナーでおっさん&おじいちゃんスキーでSHK国民。
最近はfkmt作品に手を出してます。
乙一作品と三原ミツカズ作品と藤田和日郎作品も好き。
節操なしの浮気性です。
忍者ブログ [PR]