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おっさんと人外を中心によろずっぽく。凄くフリーダム。
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なんとか会長とフェンリルが仲良くしている小説を書こうと思って気が付いたらアリス×リーガルになっていた。
後悔はしてないが反省はしている。
別にデクス×アリスファンに喧嘩を売ってるわけじゃないです、本当です。私もデクアリ好きですから。

なんかアリリガって略すとアリシア×リーガルみたいですよね(アリリガ好きですが)
リスリガって略せばいいの?

 

 


 自分の髪と似た色の毛並みをブラッシングしてやると、フェンリルは気持ち良さそうに目を細めた。リーガルはともに戦ってくれる仲間を、丹念にブラシで梳かしてやる。リーガルよりも大きな体をしているので大変な作業だが、毎日していることなのでそれが当たり前になってしまった。最初こそ魔物を仲間にするというのは驚いたが、今では互いの命を預けあう大切な仲間だ。
 エミル達は今、朝食を作るために離れた場所にいる。近くで毛を梳かすと料理に毛が入ると悪いので、リーガル達の方から離れた。たとえ今この状況で魔物に襲われても、フェンリルと一緒にいるので難なく蹴散らせるだろう。
「今日の食事当番はマルタか・・・」
 ブラッシングが終わり、地面に寝転がって腹を出しているフェンリルを撫でてやりながら、リーガルは呟く。最近、微妙に料理が上手くなってきたとはいえ、大丈夫だろうか。エミルが手伝いをしてやればいいのだが、マルタがそれを受け入れるかはわからない。いっそのこと自分が毎回食事を作れたらどれだけいいだろうか。リーガルはそう思う。
 フェンリルは体を反転させると、お座りの姿勢になって鼻先をリーガルの顔に近づけた。それから控えめに頬を舐めてくる。わずかにテンションの下がったリーガルを心配したのだろう。フェンリルのそんな心遣いに気が付いて、リーガルは安心させるように小さく微笑むと相手の豊満な鬣を撫でてやった。くーん、と甘えたような声をあげる。こうやって見ると、少し大きいだけの普通の動物のようだ。
「お前の分の食事は、私が作ってやるから」
 最近もっぱら、リーガルが魔物の育成係りになってしまっている。子供が最初に動物を飼いたいと言い出して、後々世話は母親任せになる、ということはよくあることだ。リーガル本人もそれ自体は苦に思ってはいないし、むしろ楽しんでやっている。流石はにくきうだんでぃ。
 しばらくリーガルに寄り添って甘えていたフェンリルだったが、突然顔を上げると鼻に皺を寄せて低く威嚇するような声を上げた。リーガルもそちらを見上げる。
「あらあら、仲がいいのね」
 見た目にはぴったりだが、年齢にはそぐわない甘ったるい口調。見れば魔物に乗ったアリスが空から近づいてきていた。今まで何度か戦闘になっている敵だ。普通の魔物が襲ってくるのならあまり問題はないが、彼女と彼女の連れている魔物となると別だ。リーガルとフェンリルはとっさに身構える。
「そんなに怖い顔しないでくれるかしら。アリスちゃん、今日は戦いに来たわけじゃないの」
 地面に降り立ったアリスは、やはり甘ったるい口調でそう言った。しかし彼女の場合、子供じみた仕草や外見を裏切って腹の中には狂気が渦巻いているため、どこまでその言葉を信じていいかわからない。だが今回の場合、本当に戦闘をしに来たわけではないのかアリスを連れてきた魔物はすぐに空高く舞い上がってその場で待機していた。彼女からは殺気も敵意も感じない。どうしたものかとリーガルはしばらく逡巡するが、基本的に紳士なのでアリスの言葉を信じることにした。
「手は出すんじゃない」
 今にもアリスに襲い掛かりそうなフェンリルに短く指示を出す。するとフェンリルは一瞬不満そうにリーガルを見たが、やがてその場に座った。だがしっかりと、その目はアリスを見据えている。彼女が変なことをすれば、すぐにでも飛び掛るだろう。
「物分りがいいのね、あなたもその獣も。アリスちゃん、そういうの嫌いじゃないわ」
 機嫌良さそうに、にこりと可愛らしい笑みを浮かべる。普通ならこの笑顔にほだされるのだろうが、彼女の本性を知っているのでリーガルは警戒だけは解かないでおく。
「お互いちゃんとした自己紹介がまだだったわね。私はアリス。アリスちゃん、って呼んでね」
 語尾にハートマークを付けながらアリスが言った。彼女の真意を図りかねながら、リーガルもまた口を開いた。
「私はリーガル・ブライアンだ」
「そう、ならリーくんね」
「リー・・・」
 絶句。産まれてこの方、年下の女の子に、というよりも、誰かにそんなふうに呼ばれたことは当然、なかった。どう反応していいものかとリーガルが考えあぐねていると、アリスがゆるりとした足取りで近づいてくる。相変わらず機嫌が良さそうに、リーガルを見上げた。
「本当はねぇ、今日はそこの魔物を奪っちゃおうかなぁ、って思って来たの」
「なに?」
 突然の告白に、フェンリルはぴんと耳を立て、リーガルは思わずアリスを睨む。しかしアリスはひるまなかった。楽しそうに喉を鳴らしている。
「だって、私が持ってる魔物より全然強いんだもの。でも、やっぱりやめた。他に欲しいものができたから」
 アリスは手に持っているやたらと豪華に装飾された鞭でぺた、とリーガルの胸元を撫でた。それを見てフェンリルは一瞬四肢に力を入れてアリスに襲い掛かりそうになるが、リーガルの言葉を思い出しそれをこらえる。ただ低く唸り声を上げて彼女を威嚇した。それに気が付いたアリスは、フェンリルの方を見ると底冷えするような笑みを浮かべる。
 畜生は飼い主の指示に従ってればいいのよ。
 そう声には出さずに、唇だけを動かして言った。だがリーガルと向き直る頃には、可愛らしい笑みに戻っている。
「アリスちゃんねぇ、あなたが欲しいの。リーくん、私のペットになってくれないかしら」
「ペット・・・?」
 予想外すぎる言葉に、再び絶句。アリスはこちらに尋ねるような口調で言っているが、その雰囲気は絶対に相手を従わせようとしている絶対的な支配者のそれだった。
「だってそこらの魔物よりずっと強いし、かっこいいし、紳士だし。それに・・・丈夫そうだから簡単には壊れなさそうだし」
 最後は低く呟くように言われ、リーガルの背中に冷たいものが走った。いったいなにをする、もしくはさせるつもりだ、と思ったが、怖いので考えるのをやめる。その代わり、これ以上アリスの傍にはいたくなくて、足を一歩引こうとした。しかしその行動を読んでいたのか、アリスの両腕が伸びてくる。背伸びをした彼女が、がっちりとリーガルの両頬を包むようにしてとらえた。ぐいと彼女の方に顔を引き寄せられる。身長差的に、リーガルの体が少し前かがみになった。
「んんっ・・・?!」
 リーガルがくぐもった、素っ頓狂な声を上げる。そりゃそうだ。自分より一回りほども年下の女の子にキスをされたのだから。アリスは強引に舌をリーガルの口腔内にねじ込み、好き勝手に蹂躙していった。反射的に奥に引いた彼の舌を強引に絡める。
 普通ならここでアリスを突き放せばいい。力の差なんて、傍目から見ても明らかだ。しかしやはり紳士ゆえに、リーガルは強く出れない。そしてアリスもそれを十分にわかっていてやっている。
 リーガルは顔を赤くしながら、強く目を瞑ってアリスの肩を掴んだ。精一杯の、離してくれという意思表示。しかしそんな反応が、更にアリスを楽しませる。
「・・・っ!」
 アリスは思い切り、リーガルの舌に噛み付いた。痛みと驚きで目を見開く。口の中に血の味が広がっていった。噛み付かれた舌の傷口にまた歯を立てられたり、舌で撫でられたりして、鈍い痛みが幾度も走る。だがそれだけではなく、確かに快楽も混じっていた。なんでこんなにキスが上手いんだと、リーガルは混乱しながら思った。生理的な涙が目じりにたまる。そろそろ腰が砕けそうになってきた。
 その段階になって、アリスはリーガルを解放する。その瞬間、二人の横から大きな影が飛び掛ってきた。というよりも、アリスに襲い掛かる。ずっと待機していたフェンリルだった。明確な殺気を持って襲い掛かってきたため、アリスはフェンリルが近づいていたことに気が付いていた。だから余裕を残して、フェンリルの鋭い爪をかわす。
「あーあ、もうちょっとだったのにぃ」
 あまり残念ではなさそうな声色で、アリスは言った。リーガルが彼女の手元を見れば、そこにはいつもの鞭ともう一つ、首輪のようなものがあった。ヒュプノスと呼ばれる、魔物を洗脳させるための機械だ。アリスはリーガルにそれをつけようとしていた。
 フェンリルはリーガルの傍に寄り、鼻先を使って器用に彼を自分の背中に乗せるとアリスに背を向けて走り出す。エミル達のもとへ逃げようとしていた。見た限り彼女が連れてきている魔物は上空に待機している一匹だけだし、仲間がいてはアリスも無理には追ってこないと判断したのだろう。
「じゃあねぇ、リーくん。また今度」
 やはり彼女は追ってくる気配はなく、ゆるゆると手を振ってフェンリルとリーガルを見送る。リーガルは未だに赤い顔で一度彼女を振り返ったが、結局なにも言わずにいなくなった。
 リーガル達がいなくなってもしばらくその場を動かずにいたアリスだったが、やがて可愛らしい顔を歪めて舌打ちをする。そして手に持っていたヒュプノスを地面に叩きつけると何度もそれを足で踏み潰した。
「畜生風情が私の邪魔をするなんて・・・!」
 フェンリルに対し呪詛を吐きながら、息が上がるまで同じ動作を繰り返す。やがて自分を落ち着けるように、大きく深呼吸をした。ぱしんと、鞭で軽く自分の手を打つ。
「まぁいいわ。次に会う時は、どっちが上なのかきっちり教えてあげる。そして、リーガルを私のペットにする・・・」
 リーガルの血の味を思い出して、アリスは舌なめずりをしながらにやりと笑う。
 自分のものになったら、どんなことをしてあげようか。壊れるまでずっと、遊んであげよう。
 そう思いながら、上空にに待機させていた魔物に乗り、ヴァンガードのアジトへと戻っていった。

 

END

 

 


フェンリル飼いてー。ラタの育成システムやりてー。
私がラタをやったら本気で戦闘パーティーは会長と魔物だけになるんだと思います(システム的にそれが許されるのなら)
あと、プレイ時間の半分近くは魔物育成に使ってると思う。
Wii・・・なんでWiiなんだ・・・orz

魔物を洗脳するって機械・ヒュプノスってどんな機械なんでしょうか。首輪でいいの?首輪みたいな機械でいいの?違ってたらごめんなさい。

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ラタのラタモードエミルとリーガルで短い話。エミルとマルタの仲違いのあたりです。
ラタモードエミルは不器用なだけで良い子なのにねー。ツンデレなだけなのにねー。

 

 

 

 

「エミル、ちょっといいか」
 リーガルに呼び止められ、エミルはそちらを向いた。手招きをしている。こちらに来いということなのだろう。エミルが近づくと、リーガルは背を向けて歩き出した。それに付いていくと、しいなやマルタ達とはどんどんと離れていく。
 やがて、完全に二人の気配しかしなくなったところで、リーガルは立ち止まった。そしてエミルと向き直る。
「なんだよ、こんなところで。用件なら早く済ませろよな」
 マルタとの件があるので、いつも以上にその口調は冷たい。そんな彼に、リーガルは腕を伸ばした。とっさにエミルは身構える。だが予想に反して、リーガルの手は優しくエミルの頭の上に乗せられた。子供を安心させるように、優しく頭を撫でる。
「思いが伝わらないのは、辛いな」
 まるでリーガルの方が傷付いているような声色だった。見れば、やはり傷付いたような表情をしている。
「な、なんだよ・・・!」
 威嚇するようにエミルが声を上げる。しかし彼の手が振り払えなかった。自分がマルタのことを思っているように、リーガルが自分のことを思ってくれているとわかったから。
「先ほども言ったとおり、これはお前達二人の問題だから私は口を出さないが、それでも無理はするな」
「べ、別に無理なんて・・・」
「私は、エミルが頑張ってるのも、たくさん傷付いているのも知っているから」
 ただ不器用で、素直になれないだけで、本心が他人に伝わりづらい。そのたびに今のこの、ラタトスクモードと呼ばれているエミルは傷付いている。だけどそれを相手に悟らせないように虚勢を張るから、見ていてとても痛々しい。
「もう少し、誰かに弱いところを見せてもいいと、私は思う」
 優しいリーガルの言葉に、エミルはぎゅっと唇を噛み締めた。だがこらえきれない涙が頬をつたう。
「ごめん・・・今だけ、今だけだから・・・」
 エミルはそう言いながら、リーガルに抱きついて彼の胸に顔をうずめる。声も出さずに、静かに嗚咽を漏らしながらエミルは泣いた。優しく背中を撫でてくれる彼の手がとても気持ちいい。もう一人のエミルではなく、自分をちゃんと見てくれる人間がいたことがただただ嬉しくて、とても安心した。


「もう大丈夫か?」
 泣きやんだエミルに、リーガルは尋ねる。すると相手は小さく頷いた。わずかに目元が腫れているが、よく見なければわからないのでマルタ達にエミルが泣いていたとわかることはないだろう。
「それならしいな達のところへ戻るか。なにも言わずに離れたから、きっと心配している」
 リーガルは元来た道を歩き出す。そんな彼を、エミルは呼び止めた。
「お、おい・・・」
「どうした?」
 リーガルが振り返る。すると、エミルはふいと彼から視線を外した。その顔は若干赤くなっている。
「そ、その・・・ありがとう」
 最後の方は消え入るような小さな声だった。しかしちゃんとリーガルの耳に入り、まさか礼を言われるとは思わなかったのでわずかに驚く。だがすぐに、小さく微笑んだ。
「どういたしまして」
 そんな彼の表情を見て、エミルは更に顔を赤くさせた。どういうわけかは知らないが、動悸が早くなる。男相手になにを照れているんだ、と自分に言い聞かせたが、動悸は治まらない。
「エミル?」
 固まっているエミルに、リーガルは近づいてきた。どうかしたのかと、心配そうに顔を覗きこむ。
「なんでもないっ!戻るぞ!」
 照れ隠しに、エミルは声を荒げた。リーガルは不思議そうに首をかしげる。だが、なんとなく彼が元気になったのがわかったので、まぁいいかと思いながら、エミルと並んでみんなのいる場所へ戻った。


END

 

 

 

会長の半分以上は優しさと愛でできています。もう会長に「みんなのお母さん」とかいう称号があってもいいと思います。
ラタの会長は喋り方が本当に優しげで好きだ。惚れる。もう惚れてるけど惚れ直す。

フェンリルと会長が仲良くしてるの書きたい。でも書けない。あああ・・・orz


私はおっさんも好きだけど主夫と筋肉も大好物です。
8話のアイロンがけをしているコガラシを見たら我慢できなくなりました。
メイドガイは久しぶりに私が安定して見れるアニメ。







 リビングキッチンどころか家中に漂ういい匂いに私のお腹が鳴った。どうやったらそんな筋肉の付いたたくましい指先でするのかはわからないけれど、相変わらず料理がお上手のようで。そう思いながら、私はテーブル頭を突っ伏した。いい匂いの元は見なくたってわかる。コガラシさんがお夕飯を作っているのだ。
「コガラシさーん、ご飯まだぁ?」
「見ればわかるだろう。もう少し待っていろ、このハラヘリご主人め」
 この主人を主人と思っていないような態度。でもまぁいい加減慣れましたけどね。初めからこんな態度だったし。日々の騒動はともかく、家事全般を器用に何でもこなしてくれるので文句は言えない。どうしてそんなに家事をこなせるのだとか、数々の超人的な能力が使えるのだとか、もう考えるのも諦めた。コガラシさんだから。全てはその一言に尽きる。
「どうしてあなたはそんなに美味しいお料理を作れるのかしらね。その腕の1割でもわけて欲しいわ」
「全ては世のため人のためご主人のため、それがこの俺メイドガイ」
 まぁ本人もそう言ってることだし、もうメイドガイの生態についてはほとんど質問をしていない。きっと私達一般人とは別の次元に生きている生き物なのだ。それを理解しようたって、無理な話だ。
 今はこの家には私とコガラシさんしかいない。幸助とフブキさんはお買い物。つまり家には花の高校生と若い男しかいないわけだ。それなのに私はまったく相手を意識しないし、たぶん相手も私を女というよりも主人という目でしか見てないだろう。これは健全なのか?それとも不健全なのか?どっちにしても、色気のないことだと思う。だがしかし、私自身がコガラシさんをそういう対象で見れないのだからしょうがない。
 出会った時から、私はどこまでも(あの態度はどうかと思うが)彼のご主人様だったし、不本意だったとはいえ彼は私のメイドだった。何事もやりすぎてしまうとはいえ、家事をこなしている姿だけを見るならば、コガラシさんはずいぶんと優秀なメイドなのだろう。彼とフブキさんが家に着てから、洗濯物や使用済みの茶碗などが溜まっているというのを見たことがないし、それどころか家の中でホコリを見つけるのも難しい。いったいどうやったらそんな徹底してできるのだろうかと思うぐらいだ。
「そういえばさ、コガラシさんっていつ寝てるのよ。寝てるところを見たことがないけど・・・まさか寝てないんじゃ?」
 いやでも、この超人ならありえるかもしれない。だって家にいればいたでずっと家事をこなして動き回っているし、どうやら私が学校に行っている時は付いてきているらしいし、彼が初めて会った時に言っていたようにオハヨウからオヤスミまできっちりご奉仕されている。気絶していた時は別として、まさかマジで寝てないのか?ということはフブキさんも?
「ククク・・・なにを言うかと思えばご主人、人外でもあるまいしそんなわけなかろう」
 いやいや、流石にその回答は疑問が残るぞ。そう突っ込もうと私は頭を上げる。すると先ほどまでキッチン側の方にいたであろうコガラシさんが目の前に立っていた。気配も足音もなかった。本当にいつもいつも心臓に悪い登場の仕方をしてくれる。
 文句を言ってやろうと、私は口を開きかけた。しかし彼の手に持っていたものを見て思いとどまる。
「食事ができてもご主人弟が帰ってくるまで夕食にはできない。それまでこれを喰って我慢していろ」
 言いながらコガラシさんはガラスの器に綺麗に盛り付けられたバニラアイスをテーブルの上に置いた。
「あ、ありがとう」
 いったいいつ用意した。私はそう思いながら礼を言った。
 しかし夕食前にアイスか。食べてもいいのだろうか。いくら剣道で爽やかな汗を流しているとはいえ、これを食べたらカロリーオーバーではないだろうか。いやでもしかし、せっかくコガラシさんが用意してくれたわけだし……。それに私は、このバニラアイスがコガラシさんの手作りで、それがこの世のものとは思えないほど美味しいというのを知っている。あまりにも美味しいので以前食べ過ぎて体重が増えてしまったことがあるほどだ。どのくらいとは言わないが。過去の過ちをまた犯すか、それともこの絶品アイスを食べるかで私は内心で葛藤する。
「どうした、ご主人。喰わないのか?」
 こちらに銀色の小さなスプーンを差し出しながら、コガラシさんがわずかに首をかしげる。きっと彼にはこの乙女の葛藤などわからないのだろう。
「いらないのなら片付けるが」
「い、いります!だから片付けないで」
 結局私は誘惑に負け、コガラシさんの手からひったくるようにしてスプーンをとった。これだけの量だもの。きっと大丈夫よね。うん、太らない。自分に言い聞かせながら、白いそれをスプーンですくって一口食べる。脳みそがとろけそうなぐらい、甘くて美味しかった。こんなに美味しいんだもの。食べるなって言う方が無理よね。
「んー、やっぱコガラシさんの作るアイスは美味しいなぁ」
「当たり前だろう、ご主人。この俺を誰だと思っている」
「メイドガイ、でしょう」
「ククク、わかっているではないか」
 態度こそいつもと同じだったが、その顔はどこか嬉しげだった。自分の作ったものを褒められて嬉しいのか、それとも主人に褒められて嬉しいのかまでは私には判断できない。でもこの人は、いつも嫌な顔せずに自ら進んで私に仕えてくれている。
「一見きつそうだけどさ、コガラシさんって何気に優しいよね」
 たぶん使命感だけじゃ、誰かにあれだけ尽くせないだろう。普段はなにかと騒動を起こしているが、突き詰めればそれはすべて私のために動いているわけだし。それにこの前フブキさんが風邪をひいた時、頼まれて富士山にまで行っていた。結局目当てのものが見つからなかったようだが、フブキさんの風邪が治った後も時間を見つけては探しに行っていたみたいだし。この街に住んでいる人達にも、頼まれれば力になってあげている。今や彼はちょっとしたヒーローだ。
「ほう、なぜそう言える?」
 本当にわからない、というふうにコガラシさんは聞いてくる。自分の善行に気が付いていないらしい。最近気が付いたが、この人は天然というか、鈍い所がある。フブキさんをドジッ娘メイドなどと言っているが、私から言わせればコガラシさんは天然メイドだ。幸助が聞いたら泣き出しそうではあるが。
「だって、いっつも誰かのために動いてるじゃない。コガラシさんぐらい能力があれば、もっと他の仕事もできるだろうに」
「俺は自分のできることをしているだけだ」
「できてもしない人が多い世の中なのよ」
 素でそんな言葉が出るなんて、本当に良い人だなぁ、と思う。これでもうちょっと一般常識があれば私としては大変嬉しいのだが。でもまぁ、あの非常識さも彼の良いところではある。コガラシさんと一緒に住むようになってから、私は退屈なんていう言葉とはおさらばしてしまった。
「人間の慣れって怖いね・・・」
 すでにコガラシさんの起こす騒動に巻き込まれるのが日常となっているし、それに慣れつつある。人間の適応能力というのは本当に凄い。だからこそ、コガラシさんがいなくなった生活というのが想像付かない。いつまで彼が私専属のメイドであるのかはわからないけれど。
 コガラシさんはおじい様が雇っている。これから先、どうなるかなんてわからない。もしかしたら、急にコガラシさんに暇を出して、他のメイドを私の家に送り込むということもあるかもしれない。そう考えると、どこか寂しいと感じた。
「コガラシさんはさ、いつまで私のメイドでいるの?」
 ふと無意識にこぼれた質問に、私は言い終わってからしまった、と思った。こんなことを言っても、しょうがないというのに。今の質問は忘れて、と私は言おうとする。しかしその前に、彼はあの鮫のような歯を見せて笑った。
「なんだご主人、俺では不安か?だが観念するがいい。このメイドガイコガラシは俺の命が尽き果てるまで、貴様富士原なえかのメイドだ」
 彼ははっきりとそう言った。
「・・・あぁ、そうか。うん、そうだよね。私がご主人様だもんね」
 どうもコガラシさんの言葉は説得力があるらしく、私は彼の言葉に満足してしまう。これからどうなるかなんていう保障はまったくないのに、この人なら私が望まなくてもずっと一緒にいてくれるだろうと思った。


END



正直コガラシは本気で良い人だと思う。
この二人は恋愛にまで発展しないからこそ最高です。
本編でもいつまでも主人とメイドという関係でいて欲しいです。


ぶっちゃけフブキさんにドジッ娘要素がいらないと思うのは私だけでしょうか。
1巻のフブキさんは輝いていた。

うしとらのキリオと九印です。
九印は従者として純粋にキリオを愛していたんだと思います。なのであくまでもカプではなくコンビです。









 ずっとずっと、ただひたすらに待ち続けてきた。それこそ私が産み出される前から、ただ一人の人間を、ただ一人の主人を待ち続けていた。
 産み出される前から植え付けられていた忠誠心が私に囁くのだ。はやく主人に会わせろ、と。主人のいない従者になんの意味がある。尽くす者もいない忠誠心になんの意味がある。
 培養液の中にいる人間の形をしたものを毎日眺めながら、私はまだ見ぬ主人を想像した。男なのか女なのか、どんな性格なのか、どんなものが好きなのか、そして嫌いなのか、それすらもわからない。だが焦りはしなかった。私は従者。主人が産まれたら、私は死ぬまでその人間と共にいる。主人のことを知る時間はたくさんあるはずだ。そして私はどんな性格の主人でも心から愛することができるだろう。
「だからはやく産まれてきておくれ、我が主」
 培養液の中で眠っているものを見つめながら、忠誠心と愛しさを持て余して私は呟く。自分で思っていた以上にその声は切実で、私は驚いた。
「ずいぶんと熱心ね」
 突然背後から声が聞こえて、私は振り向く。いつの間にそこにいたのか、髪の長い人間の女がいた。だが果たして、彼女は本当に人間なのだろうか。私はいつも疑問に思う。いくら他のものに気を取られていたとはいえ、人間が私に気が付かれずに背後に立つなどできるのだろうか。これでも私はホムンクルスの最高傑作で、いずれ産まれてくるであろう主人を守るものだ。戦闘能力も誰かの気配を感じ取るのも、他のホムンクルスよりずっと優れている。
 本当に、この女は人間なのだろうか。
「今回はきっと、成功するわ」
 ねっとりとどこか耳にまとわりつくような声で女は言った。私は女のこの声と喋り方が好きではなかった。というよりも、得体の知れない人間だから、喋り方すら鼻につく、といった表現の方が正しいのかもしれない。彼女は私の主人を産み出そうと手を貸してくれているはずなのに、どうしてか私は彼女が将来、主人の障害になるような気がしてならない。それはおそらく、女の持つ独特の雰囲気のせいだろう。女と一緒にいると、私の知らない感情がざわざわと沸き上がってくる。
「なぜ、そう言える?」
 私は女と顔を合わせながらさりげなく後ろに下がり、培養液の入れられたガラスケースにピタリと背中を付けて彼女から培養液の中のものを見えないようにした。女の視界に私の主人になるかもしれない人間を映したくなかった。それすらも嫌悪するほど、私は彼女が苦手だ。ここまでくるともはや、嫌いだといってしまった方がいいのかもしれない。
「今回はね、人間の赤ん坊を使って創っているの」
 私の行動の意図に気が付いていないのか、それとも気が付いたうえで無視をしているのかは知らないが、彼女は意に介したふうはなく、いつもの薄幸そうな笑みを顔に浮かべていた。
「その子が産まれたら、ちゃんと守ってあげてちょうだいね」
「私はそのために存在している」
 私の言葉に、女は口が裂けるのではないかというほど唇と、そして目じりをつり上げて笑った。楽しくて楽しくてしょうがない、という感じの笑みだった。
「そうねぇ、そうだったわねぇ」
 それを見て私は背筋を震わせる。この時初めて、私が今まで女に抱いていた感情に気が付いた。これは恐怖だ。ホムンクルスである私が、人間の女一人に恐怖を抱いている。信じられない思いで、私は女を凝視した。女は常闇を思わせるような陰鬱な目をこちらに向けながら、いつまでもくつくつと喉を鳴らして笑っていた。


 女の言っていた通り、確かに今回は成功の兆しが見えているようだった。日々順調に培養液の中で人間は大きくなってゆき、赤子には見えなくなった。おそらく人間でいうところの10歳程度だろう。色素の薄い髪を液体の中で漂わせながら、膝を抱えて目をつむっていた。
 私は毎日のように彼を眺めながら、今か今かと主人の誕生を待った。この数日間、やけに時が経つのが遅く感じられた。自分でも呆れるほどそわそわして、そして浮かれていた。
 ある日、私はいつものように彼を眺めていた。もういつこの培養液の中から出てきてもおかしくはない状況だと、あの女に聞かされていた。
 はやく、と強く願った。はやく産まれてきて、その瞳に私の姿を映して欲しい、と。
 そして、よくやくその時が来た。いつも閉じられているはずの彼の瞳がゆっくりと開かれる。その瞬間、培養液の入れられているガラスケースに小さなヒビが入った。ヒビは見る見るうちに広がっていき、中の液体が溢れ出てくる。やがて溢れてくる力に負けたのか、派手な音を立ててガラスが割れた。どしゃりと、濡れた音を立てて一人の少年が床に倒れる。彼はゆっくりとした動きで自らの力で体を起こし、ぼんやりとした瞳で辺りを見渡した。
「ここは・・・?」
 自分の状況が飲み込めていないのか、彼は不思議そうに呟く。最後に、目の前に佇んでいる私をとらえた。大きくて綺麗な色をした瞳だった。
 その瞬間、私の中で一つの感情が溢れてくる。それはとどまることを知らず、私の胸を満たした。いったい幾ばく、私はこの時を待っていただろう。多くの失敗作を見ては嘆いてきた。だが私はようやく、この世でただ一人の主人に出会うことができた。この小さな少年が、ただただ愛しくてしょうがなかった。
「はじめまして、我が主」
 私は内心の心の揺れをなんとか押し隠しながら、ようやくそれだけを言った。
「きみは、だれ?」
 私の姿を瞳に焼き付けるようにこちらを熱心に見つめながら主人が尋ねる。
「私はの名は九印」
「くいん?」
「そう。私はあなたの従者であり、護衛であり、家族であり、友人であり・・・私が死ぬまでずっと傍にいて、あなたを愛する者だ」
 彼はしばらく私の言葉をゆっくりと頭の中に入れるように黙っていた。やがて、ふわりと微笑む。
「そっか。これからよろしくね、ぼくのクイン」
 その瞬間、私は愛しさをこらえきれなくなりその体を抱きしめた。
 ようやく産まれてきた小さな主人よ。私はあなたを決して裏切ることはないだろう。私が生きている限り、あなたがこの世で独りになることはないだろう。世界がどんなに酷い仕打をしてあなた見捨てても、私はあなたの傍を離れない。だから憶えていて欲しい。あなたには私がいるということを。私があなたを誰よりも愛しているということを。そうしてくれるのなら、私は誰よりも幸福だ。



END







まさか最後の最後にクインが死ぬとは思ってませんでした。
きっと作者の意図としてはキリオにはもうまゆこがいるから大丈夫、ってことなんだろうけど・・・。
切ないなぁ。

桂先生の描くromanっ子達が本当に素敵すぎると思います。というかおっさんが素敵だと思います(この発言何度目だろう)
おっさんと幼女で、しかも父子で、犬が一緒だなんて私のツボに入らないわけがない。
次はオーギュストを書きたいけど、書けるでしょうか・・・。

 

 

 


 ロレーヌを飲むといつも昔のことを思い出す。軍人だったこと。右腕を奪われて憎しみに取り憑かれていたこと。そしてワロニに暴力をふるっていたということ。誰もが誰も、ろくでもない人生だったと言うだろう。だからこそ、今ある幸せを不思議に思う。
 一人でグラスを傾けていると、娘と一緒に寝ていたはずのプルーがかたわらに座っていた。たまに一人で酒を飲んでいると、いつも気が付けば傍に来ている。たぶん私に付き合っているつもりなのだろう。その姿を見ると、ワロニを思い出してしまう。彼女もまた、私が酒を飲んでいると付き合ってくれた。酒なんて飲めないくせに、ただひたすらに夜遅くまでロレーヌをグラスに注いでくれていた。
「お前も飲んでみるか?」
 飲みかけのワイングラスを差し出してやると、いらない、とでもいうようにプルーは首をそらした。それでも私が動かないでいると、今度は鼻先でグラスを押し戻してくる。その人間じみた動作がおかしくて、私は小さく笑った。
「本当、頭がいいよな」
 グラスをテーブルの上に置いてから、プルーの頭を撫でてやる。すっと目を細め、気持ち良さそうな表情になった。
 時々、本当に人間の言葉がわかるのではないかと思うことがある。おそらく人の細かい心の動きに敏感なのだろう。良い犬をもらえてよかった。エトワールの良き友達でありパートナーになっているし、私の相手にもなってくれている。まるで本当にワロニがそこにいるような錯覚を覚えるときすらあるのだ。
「毛色が黒いのがいけないんだよなぁ」
 手を離してやると、プルーは知性を宿した瞳でこちらを見上げてきた。まるで私の話に耳を傾けているかのようだ。
 ワロニは綺麗な黒髪の持ち主だった。頭を撫でてやると、照れたように頬を赤らめながら笑った。少女のように幼い笑みだった。
「俺にはもったいないぐらい、良い女だったんだ」
 後悔してもしきれないほど、昔は酷いことをしていたと思う。自分を愛し、世話をしてくれていた彼女に暴力をふるっていたのだから。私は確かにワロニを愛していたし、酷いことをしたくはなかった。しかしそれ以上に、私の中にあの赤髪の男に対する憎しみがあり、強い衝動が抑えられなかった。酷いことをした後、泣いて謝ると彼女はいつも少し困ったように笑って私を許してくれた。
 いったい私のどこが良くて、あんなに愛してくれていたのかはわからない。一度彼女が私の元を去ったときも、結局はよりを戻してくれた。
 ワロニと再会を果たしたとき、彼女の腹はもうずいぶんと大きくなっていた。私が最後に彼女を見たときはまだぺしゃんこだったというのに。人間の体の神秘に感動したものだ。昔から多くの科学者や錬金術師がやろうとしてきたことを、女性はたった10ヶ月で、しかも自分の胎内で行ってしまうのだから。
 しかしあと1ヶ月で出産というところで、だんだんとワロニの体調は悪くなっていった。
「子供を産んだら死んでしまうんじゃないかと、みんなそう思った・・・」
 肘をテーブルに付きながら、手で顔を覆ったせいで声がくぐもった。しかしやはりプルーはこちらに耳を傾けている。
 まるで腹の中の子供がワロニの精気を吸い取っているようだった。少なくとも私にはそう見えたし、ワロニもそう感じていた。だからこそ、彼女は痩せた手で毎日愛しげに自分の膨らんだ腹を撫でていた。私はその光景をただなにも出来ずに見守るだけだった。
 結局ワロニはエトワールを産んですぐに亡くなった。その晩はエトワールの産声と、私の泣き声がずっと響いていた。
 違和感に気が付いたのは、エトワールが産まれて1ヶ月ほどしたころからだった。疑惑が確信に変わったのは、エトワールが物心ついたころからだった。彼女は目が悪い。大人になる前にすべてが見えなくなってしまうほどに。私はエトワールがワロニの精気を吸い取っていたのではなくて、すべての元凶は自分にあると知った。
「ずっと後悔してたんだ・・・エトにもワロニにも、いくら謝ってもたりないほど」
 嗚咽が私の口から漏れた。あとからあとから涙が溢れてくる。
 昔に私がワロニに暴力をふるっていたからこうなってしまったのではないかと思うのだ。私があの頃からワロニを大切にしていれば、彼女は死ななくてすんだし、エトワールの目も星を捉えることが出来ていたのではないかと。そう医師に告白してみたことがある。だがそんなはずはないと慰められた。だがしかし、私の中の罪の意識は消えることはない。
 肩を震わせて泣いている私の腿の辺りになにかが当たる。見ればプルーがそこに鼻先をくっつけながらふんふんと鳴いていた。まるで私を慰めようとしているようだ。それでも涙はとどまることを知らず流れ続ける。それに気が付いたプルーは、いったん体を離してからじっと私を見据えた。そして大きく口を開き、ワンッ、と一つ鳴く。別室にいるとはいえ、エトワールが眠っているときにこんなふうにして鳴くのは初めてだった。驚いて顔を上げると、続けざまに声を張り上げる。
「プルー、どうし・・・」
「お父さん?」
 私が言い終わる前に、眠っていたはずのエトワールの眠たげな声が聞こえた。声のした方を見ると、頭に少し寝癖をつけた彼女がいる。気が付くとプルーは吠えるのをやめていた。エトワールを呼んでいたのだと、すぐに気が付く。
「どうしたの、お父さん。泣いているの?」
 こちらに近づいてきた彼女は、私の頬を両手で包むようにしてからずいと顔を近づけてくる。その温かさに安心して、私はまた涙を流した。すがるようにして片腕でエトワールの体を抱きしめる。
「エト、ごめん・・・大切にするから、たくさん愛すから、だから・・・」
 どこにも行かないで欲しい。私の罪を許してもらおうとは思わない。それは許されないものだろうし、その罪さえ私の生きた証なのだから。ただ私の傍にいて欲しいのだ。もうワロニのときのように手放してしまいたくはない。
「お父さん、どうしたら泣き止んでくれるの?私がいるから泣かないで」
「ありがとう・・・」
 小さな腕を伸ばしてエトワールが私の背中をさすってくれる。私は嗚咽の合間に何度もありがとうと繰り返した。ワロニを大切に出来なかった分、この子を大切にしてやらなければと強く思う。目が悪いのが私が原因なら、なおさらだ。
 ふと思い出して、視線をプルーの方に向ける。プルーは優しげな瞳で、私達親子を見つめていた。その様子を見て、やはり私はそこにワロニがいるようだと思って、心の中で何度も礼と謝罪を繰り返した。

 

END

 

 

星屑の時って時代背景的にはどのぐらいの年代なんだろうと思いつつ、錬金術なんて言葉を使ってよかったのだろうかと・・・。

エトワールの母親がワロニという事実にすごく安心します。ちゃんとレイヨンと和解したんですね。
そう考えるとやっぱり星屑ラストのレイヨンは50前後じゃなくて40代ぐらいなんでしょうか。
どちらにしてもすごく良いと思います(^q^)
エトワールの目が悪い原因はレイヨンのせいなんじゃないかとも思えてしょうがない。
妊婦だったワロニを殴ってたせいだとか。たぶん関係ないんでしょうけど、でもレイヨンはそう思いこんでてエトワールに甘いんじゃないでしょうか。

romanを読めば読むほどオーギュストの子供=風車の敵に捕まった女の子なんですが。
まさかね、そんなことないよね。そんな悲しい展開やめてください・・・。


うしとらの威吹とイズナと一鬼で短い話。
GW中に地理の先生が遠野に行ってきたと言っていたので。私も行ってみたいです。

この三人は純粋に仲が良かったらいいと思います。ツンデレ二人をイズナがよくまとめてくれているんです。
妖怪はあんまり仲が良い、って感覚が無さそうだから、誰かに仲が良いね、なんて言われたら威吹と一鬼は否定するんだけど、内心でちょっと喜んでれば可愛い。

 

 

 月が綺麗な夜だった。淡い月明かりに照らされながら、古い屋敷の縁側で三人の妖怪が酒盛りをしている。一人はとても楽しそうに終始にこにことしていたが、他の二人は無表情だった。いや、額に角のようなものがある妖怪にいたっては、不機嫌そうな表情さえしている。
「なんで俺がお前に付き合わなきゃいけねぇんだよ」
「同感だな」
 一気に杯をあおってから、一鬼はやはり不機嫌そうな声色で言った。豪快に飲んでいる彼とは違い、ちびちびと舐めるようにして酒を飲んでいた威吹も、一鬼の言葉にうなづく。
「いいじゃんか。一人で飲むよりも大勢で飲んだ方が旨いだろ?せっかく長がくれたんだから飲まなきゃ」
 ふわふわと浮遊しながら、イズナは一鬼の杯に酒を注ぎ足してやる。なんだかんだで先ほどから一番飲んでいるのは彼だった。
「自分は一人で飲んでも大勢で飲んでも変わらないが」
「俺は一人の方が好きだぜ」
「ひねくれてんなー、お前ら」
 はぁ、とイズナはため息を付く。ひねくれているというよりも、素直ではない、というのが正しいのかもしれない。なんだってそんな、かたくなに仲間は要らないみたいな態度をとるのだろうか。妖怪だから、という根本的なものもあるのかもしれないが、イズナに言わせればそんな考え方は古臭い。長く生きれば時代も多く移り変わる。妖怪同士が仲良くやるという風潮が当たり前になればいいのに、とイズナはもう何十年も前から思っていた。
「俺はさ、威吹も一鬼も好きだから、こうやって一緒に酒盛りしたりするの楽しいぜ」
 好きだなんて恥ずかしげもなく言われ、一鬼はイズナをきつく睨む。しかしそれは彼の照れ隠しだと知っていたため、イズナは気が付かないふりをした。
「お前らだけじゃなくて、うしおもとらも、長も雷信もかがりもこの遠野も、俺の身の回りにあるものみんな大好きなんだ。だから守りたいし、白面なんかにこの日本を壊させたくない」
 お前らはどうよ、とイズナは二人を見た。威吹は顔をそらさないまま何度か瞬きをし、一鬼はあからさまに顔を逸らす。やはりそれは照れ隠しだと、イズナは知っていた。
「イズナのことは嫌いじゃないから、こうやって一緒に居るのも悪くはない。それに自分は長についていくだけだ。長が日本を守るために他の妖怪と仲良くしろと言うのなら、それに従う」
「俺だって別に嫌ってわけじゃねぇし、白面の野郎をぶっ潰してやりてぇから、他の妖怪どもと協力してやってもいい・・・」
 やはり、二人は素直じゃないと思う。でも、彼らの言葉を聞けてイズナは嬉しかった。先ほどよりもずっと極上の笑みをイズナは顔に浮かべる。協調性もあまりないし、素直ではないこの妖怪達が好きだと思う。だから白面の者の勝手で失いたくはない。昔から一緒に生きてきたように、これからもそうしていきたいのだ。
「これから頑張ろうぜ。みんなのためにも、俺達のためにも」
 そう言って、イズナは杯を掲げる。一鬼と威吹はその掲げられた杯に自分の杯をかちんと合わせた。


END

 


一鬼ととらのツンデレっぷりは美味。
威吹はお酒は弱くないけどあんまり飲まないイメージ。たぶんなにかあったらすぐに対応できるようにです。あと名前の出てる遠野組では(多分)最年少だから(私が萌えるってだけですね)
一鬼は豪快に飲んでるといいよ。たまに潰れてればいい。
イズナは潰れない程度にけっこう飲んでる。
でもそれ依然に妖怪は酔うのでしょうか・・・。

時々、うしとら関係のワードで検索してこのブログに辿り着いている方がいらっしゃるのですが、そういうのを見るともう何年も前に連載の終わった作品なのに愛されてるんだなぁ、と思って嬉しくなります。
うしとらはジョジョとはまたちがった熱さがあって面白いですよね。今誰かに一番勧めたい漫画です。
その前に早く28巻を見つけろという話なんですが。28巻、見つからないよ・・・。
今更コミック版で集め始めたのを後悔してます。買い始めたときは文庫版とワイド版が出てるって知らなかったんです。
もうちょっとでラストなのに読めないのが口惜しい。いっそのこと文庫版かワイド版買っちゃおうかな、とか思う今日この頃です。

藤田はもうサンデーで新しい連載を始めてるんですね。コミックが出たら買う。
スプリンガルドを読んで藤田漫画に外れはないと確信しました。話自体は短いのに面白すぎる。
個人的にはマザア・グウスの方が好みです。べ、別に良い歳のとり方をしたウォルターにドキドキしてるわけじゃないよ・・・!


仔猫とハスキー犬が戦ってるというか、仔猫がハスキー犬相手にじゃれついてハスキー犬がやんわり相手をしている動画をみてキュンキュンしました。
なので触発されて短い話を。
仔猫と大型犬のセットはいいものです。


外国の大型犬を見るとどうしても老紳士をイメージするのは私だけでしょうか。ハスキー犬が擬人化したらきっと灰色の髪と蒼い目の少し天然な老紳士。










 仔猫は姿勢を低くすると、伏せの姿勢をとっている私を少し睨むようにして見上げてきた。金色の瞳を私の蒼い瞳で見返す。視界の端で仔猫の白い尻尾がピコピコと揺れていた。
 私は相手の出方を見る。もう何度も同じようなことを続けていた。
 ぴくんと仔猫のヒゲが揺れる。すると仔猫は爪と牙を剥き出しにするとこちらに跳びかかってきた。私はそれを大きく口を開いて迎え打つ。
 仔猫は私の口元に何度か猫パンチをしてきた。鼻先でそれを押し戻すと、今度はそこを噛みつかれてしまう。といっても、本当にまだまだ未熟な爪と牙なので怪我はしない。痛くないといえば嘘になるが、痛みよりも仔猫を本気で噛んでしまわないように意識がいくのであまり気にはならない。
 仔猫が私にじゃれついてくる時は、本当に気をつけなけなければいけない。私のような大型犬に手加減なく噛まれてしまえば、仔猫の白く柔らかい体はひとたまりもないだろう。だから甘噛みをする。いや、どちらかといえばくわえるという表現の方が正しいのかもしれない。
 私は鼻先に噛みついている仔猫を振り払うと、相手の動きを封じるように首根っこに噛みついた。もちろん、顎に力を入れないようにする。
「いたっ・・・!」
 しかし仔猫の小さな口から発っせられたのは、悲鳴のような声だった。私は驚き、急いで口を離すと相手を見る。仔猫は痛みのためかその場にうずくまると、小さく体を揺らした。
「だ、大丈夫かい?」
 牙を立ててしまったのだろうかと、私は慌てて仔猫の首根っこを舐める。見たところ怪我はしていないようだが、なかなかうずくまったまま顔を上げようとはしないので不安がつのってゆく。
「本当に、ごめん。手加減をしていたつもりだったのだけれど・・・」
 反応をしめさない仔猫に私は何度も謝る。すると、先程よりも仔猫の体が大きく揺れはじめた。痛みに嗚咽をもらしているのだろうかと思ったが、しかし耳をすませればそれが間違いだということに気がつく。仔猫は、体を小刻に震わせながらくすくすと楽しそうに喉を鳴らしていた。
 仔猫は顔を上げ、私の方を見る。金色の目を細くさせ、口元をいつもよりつり上げながら笑っていた。
「うっそ、だよぅ。びっくりした?」
 目を丸くする私に、仔猫はなおも機嫌よさそうに笑いながら自分の鼻先を私の鼻先にすり寄せてきた。
「おじさんがいっつもてかげんしてくれてるって、知ってるよ。だから安心してあそべるの」
「・・・私はてっきり、強く噛んでしまったのかと」
「だいじょうぶ、今までそんなこと、一度もなかったよ」
 仔猫は先程自分で噛んだ私の鼻先を労るように舐めてくる。ざらざらとしたそれは、少しくすぐったかった。お返しにと仔猫の頬や額を舐めてやると、相手は気持ち良さそうに喉を鳴らす。
「これからもいっぱいあそぼうね、おじさん」
「私でよければ、いつでも」
 二人で約束を交わす。この約束がいつまでも有効なら、私は嬉しい。



END




仔猫はロリでもショタでもどっちでも美味しいです。
ところでこのたまに書いてる動物話は需要はあるんでしょうか。
TOPに人外多めって書いてあるし、いいですよね、書いても。

うちのインコをモデルに短い話を。





 朝、目を覚ますと、いつも寄り添って眠っているはずの彼女がいなくて、僕は首をかしげた。狭いカゴの中を見渡すと、彼女を見つける。彼女は止まり木にではなく、どうしてか直接床に横たわって眠っていた。
 彼女の傍までおりると、おはよう、と一声鳴く。しかし反応を示さない。不思議に思って、もう一度鳴いた。しかし、やはり彼女は反応を示さない。ただ硬く目を閉じて、動かないでいた。
 いつものように毛づくろいをしてあげようと、クチバシで彼女の体に触れる。そして驚いた。彼女の体は硬くなり、そしてぞっとするぐらい冷たくなっていた。そういえば、少し前からずっと体調が悪そうだった。今日は特に、体調が悪いのかもしれない。そう思って、僕は餌の置かれている場所にまで来ると、何度か餌を啄ばんだ。また彼女の元まで戻り、口移しで餌を与えようと彼女のクチバシに自分のクチバシを押し付ける。しかしクチバシは閉ざされたままで、ただ噛み砕かれた餌が彼女の口元を汚した。
 それから、僕はなかなか起きない彼女に何度も何度も声をかけた。それこそ、しつこいぐらいに。いつもなら、うるさいとすぐに怒りだすはずなのだ。彼女はあまり気の長い方ではなく、すぐ怒ってしまう。そしてよく僕に噛み付いた。でも僕は彼女が大好きだったから、そんなことは気にならなかった。だから早く起きて、僕に挨拶を返して欲しかった。名前を呼んだら、少しめんどくさそうに、でもどこか嬉しげに、なに、とこちらを振り向いて欲しかった。
 僕はやはり何度も彼女の名前を呼んだが、起き上がる気配がない。産まれたときから一緒に生きてきたが、今までそんなことはなかった。僕達は同じ父親と母親から産まれて、それからずっと同じカゴの中で生きてきた。僕は母親に似て緑色にほんの少し青を混ぜたような羽を持っていたが、彼女はたぶん、父親に似たのだと思う。たぶん、というのは、僕の父親は白い羽と赤い目を持っていたが、彼女は明るい黄色の羽を持っていた。おかしな話だが、インコだけどカナリア色、という形容の方が正しいのかもしれない。しかし尾羽のところに数本白い羽が混じっていたし、なによりその瞳は父と同じ綺麗な赤色だった。彼女はそんな自分の羽と瞳を凄く気に入っていたし、僕も大好きだった。しかしいつも艶があったはずの彼女のカナリア色の羽は、今はずいぶんとくすんでいた。
 彼女の周りを飛びながら声をかけ続けていると、カゴの前に誰かが立った気配がした。見れば、ご主人がこちらを見下ろしていた。ご主人は横たわっている彼女を見て、どこか悲しそうな顔をする。そして無言でカゴに手を入れてくると、彼女の体を鷲づかみにした。僕は驚いて、なにをするのかとご主人に抗議をする。しかし僕の言葉がわからないご主人は、結局カゴの外へ彼女を出すと、どこかへ行ってしまった。
 一人ぽつんと残された僕は、しばらく唖然としていたが、やがて思い出したように鳴き声を上げる。それはいつも彼女を呼ぶときの声だった。何度も高い声で鳴きながら、そういえば、と思う。そういえば、おおぜいいた僕の他の兄弟達も、父も母も、僕の知らないうちにいなくなっていた、ということがあった。僕達は雄と雌で二羽ずつそれぞれのカゴに入れられていたからあまり意識はしなかったけど、今日改めて意識をしてカゴの外を見渡した。気が付けば、僕の入れられているカゴ以外、他のカゴはなくなっていた。他の兄弟達の声もしない。この場にいるのは、僕だけになった。
 彼女も、父や母、そして兄弟達と同じところに連れて行かれたのだろうか。ならば、どうして僕だけ置いていくのだろう。僕の小さな脳みそでは、そんなことはわからなかった。
 僕もみんなと同じところに連れて行って欲しい。そうでなければ、彼女だけでも僕のところに戻して欲しい。そう思いながら、僕はただただ彼女を呼んで鳴き続けた。しかし結局、彼女の返事が返ってくることはなかった。

 

END

 

 

昨日の朝、雌のインコが死んじゃったんです。
でも今日になっても一緒のカゴに飼ってた雄がずっと雌を呼んで鳴いてるんです。それを見てたら切なくなってきて・・・。


もて王を全部読み返したし亜門たんもブログをはじめたし某方の素敵な悠と丘イラストを見たしで今なら書けるッ!と思って悠丘を。
私にしては珍しく丘が悠を振り回してる感じです。




 

 後ろ髪を片手で上げると白いうなじが覗いた。生え際を舌でなぞるようにして舐めると、相手はわずかに体を揺らす。しかしそれ以上の反応は見せなかった。なにをしてもあまり動じないのはいつものことだが、やはり面白いものを日々求めている身としてはつまらない。
 どうしたものかとしばらく考える。そして一度丘の髪から手を離すと軽く目を瞑った。すると見る見るうちに、悠の体に変化がおとずれる。人間のものではない色の肌と鱗が浮かび上がり、目には見えないが口の中には細長い先の割れた舌と牙が生える。
「なんだ、いきなり」
 悠を取り巻いている空気が変わったのに勘付いて、丘は振り向こうとした。だが背後から伸ばされた手で顎を捕らえられ、頭を動かすことができない。
「そのままでいろ」
 言いながらやはり背後から顔を突き出してきた悠の鮮やかな色をした目と視線が合う。かと思えば、すぐに首を引っ込めてしまった。
 なにをされるのかと顎を捕らえられながらも振り向こうとしてくる彼を抑えながら、悠はもう一度片方の手で丘の後ろ髪を上げる。そこに顔を近づけ、口を開くと今度は舌を出さずに牙をむき出しにした。そのまま丘のうなじに自らの牙の先端を突き立てる。
「・・・!」
 まさか噛まれるとは思っていなかったのか、彼が息を呑んだのがわかった。後ろに回された丘の手が悠の服を引っ張りやめろという意思表示をする。しかしそれを無視して、悠はゆっくりと牙を丘の皮膚に埋め込んでいった。犬や猫の牙よりも先端が細く尖っているため、わりと簡単に埋まってゆく。痛くないはずがない。
 皮膚が裂ける感覚に、丘は小さく痛みに呻く。血が流れ、服が汚れた。その段階になって、悠はようやく丘のうなじから顔を離す。噛み付いたところにぽっかりと小さな穴が二つ開いていた。多くはないがそれでも血が流れ続けている。
「お前はいつから吸血鬼になった」
 捕らえていた顎も解放してやると、丘は片手で噛まれた所を押さえながら振り向きざまに言った。動揺が隠しきれていないのか、声が震えている。しかしそれもよく聞いていないとわからないほどで、思ったような反応が得られずに悠は内心で落胆する。
「別に吸血鬼になったつもりはない。だが八十一がそういうプレイを望むなら、血を飲んでやってもいい」
「誰がいつそんなプレイを望んだ」
「最近、牙の生え変わりの時期で歯茎がうずいてな」
「犬猫じゃないんだからそんなすぐばれる嘘をつくな」
 軽く悠を睨んでから、丘は噛まれたところに当てていた手を目の前に持ってくる。そして見なければよかったと後悔した。怪我をしているので当然といえば当然なのだが、血が付いている。この分ではまだ傷口から血が流れていることだろう。
「傷口、舐めてやろうか」
「やってみろ、根性焼きするぞ」
「それだけで舐めていいのなら安いものだ」
「やめろ、変態」
 迫ってくる悠を血が付いていない方の手で押し戻しながら、汚れた手を自分の服で拭う。どうせ血が流れて後ろの方も汚れているに違いないだろうから、これ以上汚れても同じだろう。
「傷が深いせいか、止まらないな」
 結局、間界人の力には敵わず、悠に傷口を覗き込まれてしまった。
「八十一なら、すぐに傷が塞がると思ったのだが」
 こちらの様子をうかがうような声色で言われ、丘は方眉を上げる。そしてなにもせずに離れていった悠を見た。いまだに間界人の姿のままで、毒々しい肌の色と鮮やかな目の色をしている。
「なにが言いたい?」
「お前も俺と同じナーガなんじゃないかと、思っているだけだ」
 いくらドキ高の教師とはいえ、間界のことについて詳しすぎる。そのうえ、ナーガラージャやその階級までも知っていた。以前から丘が間界人なのではないかと疑っていたが、最近では更にその疑いが強くなっている。本人はいくら聞いても曖昧な言葉ではぐらかしているが。
「ずいぶんとこだわるな。俺が実界人だろうが間界人だろうが、どうだっていいだろう」
「どうでもよくない。とても大きな問題だ」
 丘の血で汚れた方の手首をつかみ、その人差し指を口に含む。そのまま相手をうかがったが、相変わらず動じていない。こんな感情の起伏が浅いところを見ても、ナーガなんじゃないかと思ってしまう。
「実界人は脆いが、間界人は丈夫だ。多少のことをしても壊れない。それに、寿命がまったく違う。大きな問題だろう?」
「多少のことって、なにをするつもりなんだ」
「聞きたいか?」
「・・・いや、いい」
 今度は怪我をさせない程度に、銜えている指を甘噛みする。
「それで、お前はどっちがいいんだ?俺が間界人なのがいいのか、実界人なのがいいのか」
 悠の口から指を引き抜きながら、丘はどこか挑発するような口調で尋ねた。その問いに、悠は考える間もなく口を開く。
「もちろん、間界人の方がいいに決まっているだろう。実界人よりもはるかに一緒にいられる時間が多くなるからな」
 真直ぐと丘を見つめながら、いつもの淡々としたものではなくどこか熱のこもった声で悠は言った。この男はこんなふうに喋れるのかと、丘ははじめて見る彼の一面に感心してしまう。だからといって、ほだされることはないのだが。
「じゃあ実界人ってことで」
 立ち上がりながらもう一度、先ほど悠に噛まれたところに手を当てた。どうやら血は止まったようだ。しかし背中は血だらけだろうから、シャワーを浴びてこなければいけない。服はもう諦めて捨てることにする。
「待て、じゃあ、とはどういうことだ」
「どっちだっていいだろうが」
「よくないとさっき言ったはずだ」
「俺にしてみればどっちだっていいんだよ。それよりも付いてくんな、風呂に入ってくるんだから」
 立ち上がってこちらを追いかけてこようとする悠に制止をかける。じとりと、納得がいかないような目で見据えられた。
「傷は治ったか?間界人なら、その程度の怪我ならすぐに治るだろう」
「血は止まった」
「見せてみろ」
「やだね」
「傷口がどこにあったかわからないぐらい、綺麗に治ったから?」
「さぁ、自分じゃ見えないところだからなんとも言えんな」
 なおもなにか言いたげな悠を部屋に残して、丘は脱衣所へ向かう。そんな彼の背中を見送りながら、わからないな、と悠は小さく呟いた。もう何度もこのような問答を繰り返しているが、いまだに彼が間界人なのか実界人なのか判断が付かない。本当に実界人なのかもしれないし、間界人なのを隠しているだけかもしれない。だが彼が間界人だとしても、それを隠している理由もない。…いや、悠をからかって楽しんでいるという理由があった。
「いいだろう、ならば最後まで付き合ってやる」
 実界人の姿に戻りながら言う。真実を知るまで、そして知ってからも、これまで以上に付きまとってやる。
 そう決心しながら、とりあえず据え膳をそのままにしておくこともないと思い、悠は立ち上がって丘のあとを追った。
 

END







書いてないけど一応丘の家です。うちの悠は丘を構いたくてしょうがないのでしょっちゅう家に押しかけてます。

悠は噛むよ。なんの根拠もないけど。
噛むのは良い。ドキドキする。
そして悠の元の姿もドキドキします。蛇とか鱗とか大好きです。

いまだに私の中で丘の間界人疑惑があります。というかそうだったらいいな、と。
なにに対してもあの冷静な態度、悠と同じで丘もナーガでいいと思います。でもやっぱり実界人でも、間界人と実界人のハーフでもいい。
どう転んでも美味しいです。

 

もて王関係ないんですが、ジョジョの奇妙なファンタCMを見て盛大に噴いてしまいました。何度見てもブチャラティのところで笑ってしまう。
ボスは愛妻家。そしてシマシマの服のせいでラストのあたり縛られてるように見える。


某大型掲示板のスレに影響されて短いのを書いてみました。
猫と鼠のお話。ホモじゃないです。
版権じゃないから本当は創作サイトの方に載せればいいんだろうけど、創作サイトの方からこのブログ繋いでるしいいか、と思って・・・。
元スレを知っている方は雰囲気を壊すと悪いので読まないほうがいいです。




 少し前にわたしに新しい家族ができた。といっても血が繋がっているわけではないし、それどころか種族もちがう。白と黒の毛がいりまじった、少しぽっちゃりとした鼠だ。ご主人はその生き物を『ハムスター』と呼んでいたが、きっと種族の総称で彼の名前ではないのだと思う。なのでわたしはいつまでも彼を鼠と呼んでいた。
 彼は鼠だがずいぶんとわたしと気が合い、イソガシイご主人とかわってわたしのよき話相手となってくれた。しかし猫と鼠という間柄のせいか、ご主人はわたしと彼が仲良くしているとなにか勘違いをしてわたしを怒ってくる。ご主人、わたしはこの鼠を食べたりはしないよ。大切な家族なのだから。そうご主人に伝えたいが、人間であるご主人にわたしの言葉はつうじなかった。
 だからわたしと鼠はご主人の見ていないところでこっそりと仲良くする。鼠は夜行性で昼間はほとんど寝ているため、それはご主人の寝静まった夜遅くに行われる。
「鼠、夜だ。まだ寝ているのか、鼠」
 ご主人が寝息を立てているのを確認してから、わたしは鼠の入れられている檻の前にきて呼びかける。
「鼠、鼠」
 何度か呼びかけると、彼が自身でティッシュなどを細かく引き裂いて作ったベッドの中から顔を出した。寝起きなのかどこかぼんやりとした表情をしている。だがやがてわたしに気が付いたのか、こちらを見た。くりくりとした真っ黒な瞳がわたしを見据える。
「おはよう、鼠。もう夜だ」
「にこ」
 鼠がわたしに笑いかける。
 今夜もわたしと鼠の秘密の夜がはじまった。


END





鼠はジャンガリアンハムスター、猫は茶トラのイメージです。
本当は猫は三毛が一番好きなので三毛がいいんだけど、そうすると必然的にメスになるので。
茶トラも好きです。日本猫ってみんな可愛い顔してますよね。
気が向いたらまた書きたいと思いつつ、(そんなことはないと思いつつ)スレ主にばれるのが怖いのでどうなるか・・・。

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管理人の創作サイトです。
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プロフィール
HN:
シノハ
性別:
女性
自己紹介:
1月14日生まれの新潟県民。

ジョジョラーでケモナーでおっさん&おじいちゃんスキーでSHK国民。
最近はfkmt作品に手を出してます。
乙一作品と三原ミツカズ作品と藤田和日郎作品も好き。
節操なしの浮気性です。
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