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おっさんと人外を中心によろずっぽく。凄くフリーダム。
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リンゴォとシュガーはセットで出てくると、思っていた時期が私にもありました。
正直本気で8巻を読むまではそう思ってましたよ。悔しいのでシュガー+リンゴォを。
リンゴォはSBRで一番かっこいいキャラにして可愛いキャラ。シュガーは女性キャラで一番可愛い。つまり可愛い+可愛い=もっと可愛いということ。

読んでると私が二人のキャラをつかめてないのがよくわかります。というかリンゴォの口調がわりません。
絶賛捏造中。

 

 

 

 断続的に聞こえる銃声で目をさました。長くこの場所で過ごしてきて気が付いたことの一つに、この森にはあまり人がこない、というものがある。実際、もう少し人が多く訪れていればシュガーはとっくにこの巨木の絶対的なルールから解放されていたことだろう。
 何事かと思い、眠い目をこすりながら巨木にできた洞穴の中から顔を覗かせる。その時、また一つ銃声が聞こえた。それ以外はいつもの通り、森は静かだ。
 なにかを狙って撃っているというよりも、ただ銃の調子を確かめるために撃っているような印象を受ける。シュガーはしばらく思案してから、杖を手に持って外へ出た。銃声からしてそれを扱っている人間とはあまり距離は離れていない。まさかいきなりこちらに向かって撃ってくることはないだろうから、少しぐらい見に行っても大丈夫だろうと考える。それに、今度こそ自分を解放してくれるかもしれない。
 雪を踏む音と、時折聞こえる銃声を耳にしながら歩く。目はほとんど見えていないはずだが、もう何十年もこの森をこうやって杖一つを頼りに歩いているのでシュガーの足取りに危なげはない。
「誰だ?」
 少し離れた所から男性の声がした。そちらに目を向けると、ぼんやりとした輪郭の人間がいる。はっきりとは見えないが、こちらに銃を向けているのが雰囲気でわかった。思っていたとおり、いきなり発砲はしてこなかったのでシュガーは安心する。
「邪魔をしてしまってすみません。銃声が聞こえて、気になったものですから」
「お前、目が見えないのか?」
 銃を向けられているのにまったく動揺しなかったせいか、それともシュガーの持っている杖を見てそう思ったのかはわからないが、男はそう尋ねてきた。シュガーはうなずいて肯定を示しながら、どちらかというと自分と対峙している相手の方が動揺しているように感じられた。それもそうだろう。こんな雪の積もっている森に、女の子が一人で現れたのだから。
「あなたは旅人さんですか?どこから来て、どこへ行くんですか?」
 数歩男に近づく。すると、相手は銃を持つ手に力を込めた。それに不穏なものを感じて、シュガーはいったん止まる。
「近づくな」
「どうして?」
「警戒しているからだ。お前は俺の傍に来た瞬間、襲ってくるかもしれない」
 その言い方に、なんとなくムッとしてしまう。女の子に向かって襲ってくるかもしれないだなんて、失礼もいいところだ。
「失礼な人ですね。あたしは人は襲いません。だからあなたも撃ってこないでくださいね」
「俺は自分を殺しにかかってくる人間にしか撃たない」
 男の言葉を聞いて、シュガーはにこりと笑みを浮かべる。
「じゃあ、いいじゃないですか。あたしはあなたを襲わないし、だからあなたもあたしを襲わない」
 止めていた歩をまた進める。男の前に立ち、彼を見上げた。やはりぼんやりとにしか見えないので、どんな顔立ちをしているのかはわからない。しかし悪い人ではないと思う。彼がもし悪人なら、自分はとっくに死んでいるはずだから。
 男が緊張しているのが雰囲気でわかった。自分はそんなに、不審な女に見えるだろうか。それとももともとの彼の性格だろうか。シュガーはしばらく考えてから、杖を地面に置いた。手を伸ばし、銃を持っている男の手を包み込むようにしてとる。
「なっ?」
「震えてますね」
 先ほどまでは気が付かなかったが、男の手は小刻みに震えていた。寒さで震えているわけではないというのにすぐに気が付く。この寒さの中、緊張のせいか彼の手は少し汗ばんでいた。
 ならば怖いのだろうか。なににだろう。自分が攻撃されることか。それとも誰かを撃つことか。どちらにしても、それならば銃なんて持たなければいいのにとシュガーは思う。
「お腹、すきませんか?」
「なに?」
 脈絡もない言葉に、男は間抜けな声を上げる。そんな彼を見上げながら、シュガーはにこりと笑った。
「震えながら襲われるのを待つよりも、向かい合って温かい食事を一緒にとったほうがずっと健康的です」
 男は答えない。だがしばらくして、体の緊張を解くように一つ息を吐いた。
「・・・そうかもしれないな」
「えぇ、絶対にそうです」
 ぴたりと男の手の震えが止まる。それに気が付いて、シュガーは彼の手を解放してやった。男はしばらく自分の手をじっと眺めていたが、やがて腰につけているホルダーに銃をしまう。
 その間にシュガーはしゃがみこむと手探りで地面に置いた杖を探した。白い雪の上にブラウン色の杖なので、すぐに見つけることができる。
「あなた、なにか食事は持っていますか?簡単なものでいいんですけど」
「持っているが」
「なら、あたしが朝食をご馳走しますわ。すぐそこにあたしの住んでいる巨木があります。付いてきてください」
 なぜ最初に食事を持っているか聞いたのか、その意図がわからないようだったが男はうなづいた。少し離れたところにいた馬の手綱を引いて、シュガーの横にくる。その時になって初めて、シュガーは近くに馬がいたことを知った。確かによく考えれば、こんな辺鄙なところは馬がいないとこれないだろう。この森の近くに街はないから、荷物も運んでもらわなくてはならない。
「よく、転ばないものだな」
 危なげのない足取りで普通の人間とかわらないように歩くシュガーを見て、男が感心したように言った。
「慣れてますもの。もう50年、この森を歩いてる」
「50年?なにかの冗談か?」
「さぁ、どうでしょう」
 楽しげに喉を鳴らして笑うシュガーを男は不思議なものを見るような目で見る。どう考えても、目の前にいる女の子は10代半ばほどにしか見えない。結局、なにを聞いても曖昧な言葉しか返さないシュガーに、男は諦めたようだった。
 そうしているうちに、巨木の元に辿り着く。見たこともないような大きな木に、男は圧倒されたようにそれを見上げた。そんな彼を残し、シュガーは駆け出すとやはり危なげのない足取りで木を登り、洞穴の中に入っていく。男はそれに気が付き、馬を止めるとその後を追った。
 大きな木にある大きな洞穴の中を覗き込むと、そこには地面に膝と両手をつけたシュガーがいた。男と目が合うと、シュガーは深々と頭を垂れる。
「改めまして、わたくし、シュガー・マウンテンと申しまする。シュガーとお呼びください」
 予期せず丁重に挨拶されてしまったため、男は慌てて洞穴の中に入るとシュガーのように膝と両手を地面に付き、頭を垂れた。
「リンゴォ・ロードアゲインです。よろしくお願い申し上げます」
 シュガーの方もまた、同じように挨拶を返されるとは思っていなかったため、一瞬面食らってしまう。そして次の瞬間には笑い声を上げてしまった。どうやらこのリンゴォという男、なかなか面白い性格をしているようだ。しかし本人はいたって真面目だったのか、笑い転げているシュガーを見て不思議そうな顔をする。
「リンゴォは面白い人ですね。こんなに笑ったのは久しぶりだわ」
「そんなことはないと思うが」
「あ、そこ寝室なので踏まないよう気をつけてください」
「す、すまない・・・」
 シュガーの言うところの『寝室』から足をどけたリンゴォを満足げに見てから、彼女はなにか食べ物を巨木の近くにある水溜りに投げ入れるよう頼んだ。突拍子もない彼女の願い出に、リンゴォは不思議がる。先ほどから不思議に思うことばかりだ。変な女だな、と思ってしまう。
「いいから、早く投げ入れてきてください。あたし、お腹がすいてるんです」
 半ば追い立てられるように再び洞穴の外に出たリンゴォは、言われたとおりに馬に積んでいた食料を水溜りというには少し大きな穴に投げ込む。食料が水溜りの底に落ちたのを確認してから、シュガーの元に戻った。そして、先ほどとは違う光景に驚いてしまう。洞穴の中には、シュガーと先ほどまではなかった豪華な料理が並べられていた。
 何事かと思っていると、リンゴォはシュガーにあのお決まりの質問をされる。そしてその質問に正直に答えた。すると彼女は嬉しそうに笑う。
「正直に答えたあなたには、ここにある食事すべてをあげましょう」
「すごいな、スタンドか?」
「スタンド?」
 耳慣れない言葉にシュガーは鸚鵡返しする。彼女が本気でスタンドというものを知らなそうだったので、リンゴォはなんでもない、と呟くように言った。
「さぁ、朝食にしましょう。すべて食べてくださいね。すべて、ですよ」
 念を押すように言われる。先ほどまで嬉しそうな表情とは違い、それは真剣そのものだった。やはり、この少女は不思議だとリンゴォは思う。
 促されるまま、リンゴォは料理に手をつけた。どのような能力のスタンドなのかはまったくわからないが、それは出来立てのように温かい。リンゴォが一口目を嚥下したのを見て、シュガーも料理に手を伸ばした。
「うまいな」
「それはよかったわ。やはり同じ料理でも、一人で食べるのと誰か他の方と一緒に食べるのとでは違いますものね」
 それは暗にシュガーがいつもこのような豪勢な料理を食べているということを示していた。どうやって用意しているのだろうか。彼女いわく50年もこの森に居るというし、しかも両親らしい人物も見当たらない。他にもまだまだ気になることはたくさんあったが、リンゴォはもはや突っ込んで尋ねない。この少女は自分の理解できない世界に身を置いているのだ。そう自分に言い聞かせながら、食事を続ける。
「リンゴォはこれからどこへ行くんですか?まさか、ただ銃を撃つためにここへ来たわけではないでしょう?」
 シュガーの問いに、リンゴォは言ってもいいのか、それとも言わない方がいいのか考える。だが結局、この少女は50年この森にいると言うし、これからもたぶんそうなのだろうから、言ってもなんら問題はないだろうと思った。まさか彼女が聖人の遺体を持っているわけがないだろう。
「仕事があるんだ。ここからまた、何日間か馬で走らなくてはいけない」
「お仕事、ですか?」
「あぁ。神聖で、とても大切な仕事だ」
 相槌を打ちながらシュガーは彼の話を聞く。仕事の内容までは教えてくれなかったが、彼の話し方からとても大きく、そして大切な仕事なのだろうということがわかった。大変ね、とシュガーは他人事のように思う。シュガーもシュガーで、ある意味大変な仕事をしているのだが。
 リンゴォはあまり自分から進んで喋るような男ではなかったが、シュガーがなにか尋ねると他愛のないことでも丁重に答えてくれた。この洞窟の中で挨拶をされ返した時に気が付いていたが、改めて真面目な男だと感心する。きっとこういうタイプの人間は、仕事も完璧にこなさないと満足できないのだろう。きっと自分が納得するまで、命を顧みずに遂行するのだ。
 真面目だが、不器用そうだ、と思った。手先とかではなく、生き方が。しかしそれゆえに、美しく見えることもある。自分の信念を曲げずに、ただひたすらに生きている。かっこいいなぁ、と思った。
 しかしそれはシュガーが勝手にそう思っているだけで、実際そうとは限らない。ましてや、出会ったばかりの男なのだ。彼のことをもっとよく知りたいと思う。これからどこへ行くのだとか、彼の性格だとか、いったいどうして、銃を持ちながらもあんなに不安そうに震えていたのだ、とか。今はまだ巨木から解放されてはいないが、もし近いうち解放されるのなら、彼と一緒に旅をしてみたい。
「仕事が終わってからは、なにか予定はあるんですか?」
 料理を全て食べ終わってから、シュガーは尋ねた。
「予定はないが、いつ終わるのかわからないし、もしかしたら終える前に俺が死ぬかもしれない」
 どうして、とは尋ねなかった。ただなんとなく、彼が死ぬかもしれないというのを当たり前にとらえてしまった。きっと昔からそういう生き方をしてきたのだ。シュガーがなにかを言う義理も権限もない。
 リンゴォが立ち上がったのが気配でわかる。出発するのだと思い、見送ろうとシュガーも立ち上がった。洞窟の外へ出て向かい合う。
「あたしは今、この森を出ることは出来ません。しかしもしも出れたのなら、どこへ行けばリンゴォに会えるかしら?」
「すまない、それすらもわからないんだ。俺に定住している家はない」
 本当に申し訳なさそうに言われる。リンゴォの回答に、シュガーは少し落胆した。しかしそれが彼の生き方ならしょうがない。
「なら、もう運命に任せるしかないのですね」
 シュガーは再び、腕を伸ばしてリンゴォの手を両手で取った。それを自分の胸元へ引き寄せ、少しうつむいて目を瞑る。
「あたしとリンゴォの運命が、再び交わりますように・・・」
 祈るように、厳かな声で呟いた。するとわずかに相手が息を呑んだのが伝わる。どこか戸惑っているような雰囲気だった。何事かと、シュガーは彼の手を解放してやりながら顔を上げた。
「どうしました?」
「いや・・・。ただ、ずいぶんとあなたに気に入られてしまったな、と思って」
「迷惑でした?」
 リンゴォは軽く頭を左右に振ってシュガーの言葉を否定する。
「嬉しい、かもしれない」
 予想外の彼の言葉に、シュガーは一瞬固まってしまう。だが次の瞬間には、顔に笑みが浮かんだ。
「もし仕事が終わったら、もう一度この森に、あたしのところに来てください。その時にもしあたしがいなかったら、あたしはこのアメリカのどこかであなたを探していることでしょう」
「わかった、約束しよう」
 リンゴォが外に待たせていた馬に跨る。出発の時間だった。シュガーはこの森に50年いて初めて、人と別れるのが寂しいと感じる。でもきっとまたどこかで会えると、心の中で自分に言い聞かせた。大丈夫、お互いが死なない限り、また会えるだろう。彼は自分が死んでしまうかもしれないみたいなことを言っていたが、今までこうして生きてこれたのだ。今回に限って、死ぬなんてことはないはずだ。ほとんど祈るようにして、シュガーは思う。
「さようなら、リンゴォ。またどこかで会いましょう」
「あぁ、またどこかで・・・」
 リンゴォが馬の腹を軽く蹴る。すると馬は一ついなないて、軽く雪の積もった大地を駆け出した。シュガーはぼんやりとした視界でそれを見送る。蹄の音が聞こえなくなるまで、手を振っていた。

 

END

 

 

リンゴォはあんまり人に懐かなそうだけど、シュガーには懐いてたら可愛いよね、ということです。というかシュガーが懐いて、ほだされてる感じ。私はどれだけリンゴォを可愛い存在だと思っているんでしょうか。
ジャイロ×リンゴォでもいいのですが、ジャイリンを考えるとジャイロに迫られて少年時代のトラウマのスイッチが入って持病を再発させてるリンゴォしか頭に浮かびません。
キスなんてされたらきっと口の中切れまくりで呼吸ができなくなると思う。
ところで書き終わってから気が付いたんですが、リンゴォが全てを使い切る、っていう条件をクリアしたのにシュガーたち解放されてませんね。ナンテコッタイ・・・。
でも遺体を守ってる巨木で、それを回収してないわけだからいいかな・・・駄目?
もうパラレルでいいからもっとシュガリン書きたいです。カプでもコンビでも可。見るのも良い。シュガリンに飢えてます。
ジョジョは女の子もおっさんも足りないから見つけると全力で追いかけます。

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プロフィール
HN:
シノハ
性別:
女性
自己紹介:
1月14日生まれの新潟県民。

ジョジョラーでケモナーでおっさん&おじいちゃんスキーでSHK国民。
最近はfkmt作品に手を出してます。
乙一作品と三原ミツカズ作品と藤田和日郎作品も好き。
節操なしの浮気性です。
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