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おっさんと人外を中心によろずっぽく。凄くフリーダム。
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早人と吉良で短い話。
早人の片思い。





 並んで歩く。僕は登校。彼は出社。彼が乗る駅に着くまで、僕達は毎朝並んで同じ道を歩いている。
 決まって彼は僕の少し後ろを歩く。いつも変わらない神経質そうな革靴の足音が少し後ろから聞こえた。
 彼に悟られないようにしながら、僕は横目でちらりと彼をうかがい見る。黒い目は真直ぐ前を見据えていた。なにを考えているのかよくわからない。
 視線を動かして彼の手を見た。綺麗な肌と、美しく整えられた手と爪。彼のように特殊なフェティッシュを持っていない僕でも、その手は美しいと思う。たぶん彼自身が美しいから、手も必然的にそうなるのだろう。
 手を繋ぎたいな、と思う。手を繋いで、彼と並んで歩きたい。でも目立つのが嫌いな彼はこんな道の真ん中でそんなことをしてくれないだろう。
「つまんない・・・」
 僕の小さな呟きが聞こえたのか、真正面を見据えていた彼の視線が動いた。僕と視線が合う。彼は手も美しいが、この吸い込まれるような真黒な目も美しいと思う。
「なにか言ったか?」
「別に。ただ、いつもあんたは僕の少し後ろを歩くな、と思って」
 僕の言葉に、彼はわずかに表情を変える。それがどういった意味の感情なのか、僕にはわからなかった。
「父親を殺した殺人鬼と、並んで歩きたくはないだろう?」
 それはその言葉通りの意味なのだろうか。それとも僕と並んで歩きたくないからただの口実だろうか。どちらにしても、やはり僕にしてみればつまらない。
「おい、早人・・・?」
 不審げな声で彼が僕の名を呼ぶ。しかし僕はそれを無視したまま歩き続けた。僕の手には、彼のネクタイが握られている。手が握れないのなら、せめてこれだけでも。
「目立つだろうが、やめろ」
「やだよ」
「なにが目的だ?」
「あんたにはわかんないよ、絶対に」
 素直に彼と手が繋げたら、そして好きだと伝えられたらどれだけいいだろう。でもきっと、言ったところで彼に僕の気持ちは伝わらない。なら最初から言うこともないだろう。僕が彼と手を繋げないように、僕と彼の心が繋がることは絶対にない。
 今日も彼は僕の少し後ろを歩く。たぶん明日も明後日もそうなのだろう。


END




うちの吉良は早人は嫌いじゃなくて、むしろ好きです。でもそれは家族的な意味で、恋愛感情になることはありません。
早人はそれがわかってるから、もやもやしてる感じです。
吉良は昔叶わなかった普通に普通の家庭を築きたいんですよ。


拍手お返事は週末にしますすみません。
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1月14日生まれの新潟県民。

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節操なしの浮気性です。
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