おっさんと人外を中心によろずっぽく。凄くフリーダム。
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とりあえず何回か読み直して伯爵≠巖窟王というのは理解できました。伯爵が死ぬとまた巖窟王のところに戻ってくる、という感じなんでしょうか。
全てを理解したわけじゃあないので、それが許せない方は読まない方がいいかと。
自分の中にあるモヤモヤをなんとかしたかったんです。
深く暗い闇の中、一人の男が椅子に座ってうなだれている。両手で顔を覆い、孤独と絶望から逃げ出そうとしている。しかし私は知っているの。全てを投げ出してこの状況から逃れたいと願いながらも、最終的に全てを身に受け、更に絶望を繰り返すのは彼自身が望んだことなのだと。
私は何度、その光景を見てきただろう。何度、彼が狂っていくのを見てきただろう。私はこんなことを望んではいなかった。彼を救うために私は彼に肉体と知性を与えたはずなのだ。しかし結界、彼を苦しめることになっている。それが酷く苦しい。
「友よ・・・」
彼と同じ声、同じ姿で呼びかける。元来、私には特定の姿というものがない。だから今は彼の姿を借りている。
私の声に彼はぴくりとも反応を示さない。しかし届いているということは知っている。たとえ何万kmと離れていても、私達は会話ができる。私は彼で、彼は私だから。しかしいつまで経っても、『本当の』彼には言葉が届かない。
「エドモン・ダンテス」
私は彼の前に膝を付き、もう一度呼んだ。顔を覆っている手を取り、彼を見上げる。
泣きそうな顔をしていた。泣く手前の、それでも涙を流すのを懸命にこらえている子供のよう。しかし彼は心の中ではいつも泣いている。それを思うと私は悲しい。
彼を抱きしめたい衝動にかられる。強く腕に抱いて、なにをそんなに苦しみ、悲しむ必要があるのだと言ってやりたい。自分の心と体を剃り減らしてまで復讐に興じる意味がどこにある。どうして己の中で消化できないほどの憎しみを抱えている。そんなのは辛いだけだろう。悲しいだけだろう。
そんなものは早く捨て去ってしまえばいい。全てを忘れて、新しい人生を、誰もが羨む輝かしい人生を歩めばいい。彼にはそれだけの容姿、金、知恵、そして時間がある。私が与えられるものは全て与えた。あと私にできることは、彼の過去を捨てて封印することだけだ。そしてそれが一番大事なことなのに、なぜ受け入れない。なぜ私を拒む。
「私の名を呼べ、エドモン」
抱きしめるかわりに、その手を強く握った。冷たい、人間のものではない体温。誰も彼を温めることはできない。元々体温という概念のない私も冷やされていくようだった。
「私を受け入れろ。私と一つになれば、苦しみから解放される」
彼はもう十分すぎるほど苦しんだ。だから救われなければならない。
「私の名を呼べ。私を求めろ。私はお前のためなら、なんでもしてやれる」
哀願するように私は言葉をつむいだ。
私の愛するエドモン。どうしてこれ以上、お前がただ苦しんでいるのを見ていられるだろうか。自分の無力さに、何度嘆いただろうか。こんな不毛なことはもう、お互い終わりにしよう。だから言ってほしい。私の名を呼んでほしい。ただ一言、巖窟王、と。
私の言葉に、彼は小さく寂しげに微笑んだ。そして握っている私の手を振りほどくと、今度は私の顎をとらえる。ゆっくりと彼の顔が近づいてきた。そのまま私が言葉をつむぐのをさえぎるように、口付けをしてくる。
……やはり私を拒むのだな、エドモン。
「友よ、私は復讐の鬼だ。たとえ神ですら、私の歩みは止めることはできない」
言ってから、彼は立ち上がる。私の横を通り過ぎて、この暗い部屋から出ていってしまった。
いったい何百、何千、復讐を繰り返せばお前の魂は安らぐのだ。それほどまでに、お前の心は闇に覆われているのか。ならば、いいだろう。お前が狂ったように復讐を繰り返すのなら、私は何度教えられても理解できない子供のようにお前を待ち続けよう。お前の名前を呼び続けよう。私の名前をたった一度でも呼んでくれるのなら、何万回でも、何憶回でも呼ぼう。だから覚えいてほしい。世界中の人間がお前のことを忘れてしまっても、私はお前を、エドモン・ダンテスを決して忘れはしないことを。
お前は孤独なのではなく、私がいつも傍にいるのだということに気が付いてくれたら、私は幸せだ。
END
巖窟王って伯爵のお母さんですよね。
今の伯爵を作ったのは巖窟王だし。
全てを理解したわけじゃあないので、それが許せない方は読まない方がいいかと。
自分の中にあるモヤモヤをなんとかしたかったんです。
深く暗い闇の中、一人の男が椅子に座ってうなだれている。両手で顔を覆い、孤独と絶望から逃げ出そうとしている。しかし私は知っているの。全てを投げ出してこの状況から逃れたいと願いながらも、最終的に全てを身に受け、更に絶望を繰り返すのは彼自身が望んだことなのだと。
私は何度、その光景を見てきただろう。何度、彼が狂っていくのを見てきただろう。私はこんなことを望んではいなかった。彼を救うために私は彼に肉体と知性を与えたはずなのだ。しかし結界、彼を苦しめることになっている。それが酷く苦しい。
「友よ・・・」
彼と同じ声、同じ姿で呼びかける。元来、私には特定の姿というものがない。だから今は彼の姿を借りている。
私の声に彼はぴくりとも反応を示さない。しかし届いているということは知っている。たとえ何万kmと離れていても、私達は会話ができる。私は彼で、彼は私だから。しかしいつまで経っても、『本当の』彼には言葉が届かない。
「エドモン・ダンテス」
私は彼の前に膝を付き、もう一度呼んだ。顔を覆っている手を取り、彼を見上げる。
泣きそうな顔をしていた。泣く手前の、それでも涙を流すのを懸命にこらえている子供のよう。しかし彼は心の中ではいつも泣いている。それを思うと私は悲しい。
彼を抱きしめたい衝動にかられる。強く腕に抱いて、なにをそんなに苦しみ、悲しむ必要があるのだと言ってやりたい。自分の心と体を剃り減らしてまで復讐に興じる意味がどこにある。どうして己の中で消化できないほどの憎しみを抱えている。そんなのは辛いだけだろう。悲しいだけだろう。
そんなものは早く捨て去ってしまえばいい。全てを忘れて、新しい人生を、誰もが羨む輝かしい人生を歩めばいい。彼にはそれだけの容姿、金、知恵、そして時間がある。私が与えられるものは全て与えた。あと私にできることは、彼の過去を捨てて封印することだけだ。そしてそれが一番大事なことなのに、なぜ受け入れない。なぜ私を拒む。
「私の名を呼べ、エドモン」
抱きしめるかわりに、その手を強く握った。冷たい、人間のものではない体温。誰も彼を温めることはできない。元々体温という概念のない私も冷やされていくようだった。
「私を受け入れろ。私と一つになれば、苦しみから解放される」
彼はもう十分すぎるほど苦しんだ。だから救われなければならない。
「私の名を呼べ。私を求めろ。私はお前のためなら、なんでもしてやれる」
哀願するように私は言葉をつむいだ。
私の愛するエドモン。どうしてこれ以上、お前がただ苦しんでいるのを見ていられるだろうか。自分の無力さに、何度嘆いただろうか。こんな不毛なことはもう、お互い終わりにしよう。だから言ってほしい。私の名を呼んでほしい。ただ一言、巖窟王、と。
私の言葉に、彼は小さく寂しげに微笑んだ。そして握っている私の手を振りほどくと、今度は私の顎をとらえる。ゆっくりと彼の顔が近づいてきた。そのまま私が言葉をつむぐのをさえぎるように、口付けをしてくる。
……やはり私を拒むのだな、エドモン。
「友よ、私は復讐の鬼だ。たとえ神ですら、私の歩みは止めることはできない」
言ってから、彼は立ち上がる。私の横を通り過ぎて、この暗い部屋から出ていってしまった。
いったい何百、何千、復讐を繰り返せばお前の魂は安らぐのだ。それほどまでに、お前の心は闇に覆われているのか。ならば、いいだろう。お前が狂ったように復讐を繰り返すのなら、私は何度教えられても理解できない子供のようにお前を待ち続けよう。お前の名前を呼び続けよう。私の名前をたった一度でも呼んでくれるのなら、何万回でも、何憶回でも呼ぼう。だから覚えいてほしい。世界中の人間がお前のことを忘れてしまっても、私はお前を、エドモン・ダンテスを決して忘れはしないことを。
お前は孤独なのではなく、私がいつも傍にいるのだということに気が付いてくれたら、私は幸せだ。
END
巖窟王って伯爵のお母さんですよね。
今の伯爵を作ったのは巖窟王だし。
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