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おっさんと人外を中心によろずっぽく。凄くフリーダム。
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高校生早人×吉良です。なんかもうパラレルでいいや、と思いました。
普通に吉良とか生きてます。
吉良受けと謳いつつカプっぽくはないです。ここから進展させていければいい・・・な。

 

 

 

 実父を殺した殺人鬼と一緒に住み始めて、数年が経った。その間、何事もなく僕と母が過ごせたことが奇跡のように思う。いや、よく考えたら必然か。あの男は、殺人の衝動を抑えきれない時があるくせに、普通の人間よりも平穏に暮らしたいと願っている奴だから。だから僕達に手を出して世間から騒がれるようなことがあっては困るのだろう。
 僕の家族は誰から見ても幸せそうに映るはずだ。しかしそれは表面上だけにすぎない。母はあの男と一緒にいられて本当に幸せそうだけど、僕と彼の関係はぎくしゃくしている。当然といえば当然なんだけど。相手は父の仮面をかぶった他人だし、父を殺した張本人だし。常にお互いにお互いを探りあいながら、この数年間生きてきた。そろそろそんな関係にも慣れてきた僕は、いつまでこんな関係が続くのだということも考えなくなった。むしろ、彼とのこの関係を楽しんでいる自分がいることも、事実だ。
 この春、僕は高校生になった。エスカレーター式の学校をそのまま進み、ぶどうヶ丘高校の生徒となった。
 いまだに屋根裏部屋で飼っている猫草にキャットフードを与える。数年も育ててやればこの生き物も人間に懐くようで、日に当てても僕とあの男には攻撃をしなくなった。それどころか、喉と思われる部分を撫でてくれと甘えてくることもたびたびある。こうやってみればなかなか可愛いので、猫好きの母さんにこの生き物の存在を明かせないのが残念だった。
 屋根裏部屋から降りてきながら、腕時計を確認する。これは、高校の入学祝にとあの男が僕にくれたものだ。まるで体の一部のように、僕の手首に馴染んでいる。
『あぁ、やはりよく似合っているな。そのまま切り落として、飾っておきたいぐらいだ』
 満足げにそう呟く彼の台詞を、僕はきっと一生忘れないだろう。本当に、頭のおかしい奴だと思う。
 あと5分ほどで午前7時となる。母はもう起きて、朝食の準備をしているはずだ。ここ数年で、母は飛躍的に料理の腕を上げた。嬉しいことは嬉しいのだが、あの男のためだと思うとどこか切ない。父に申し訳ない気がした。
 一度軽くノックをしてから、返事を待たずに父母の寝室へ入る。そこには、ちょうどネクタイをつけようとしている彼がいた。
「残念、起きてたんだ。寝首をかいてやろうと思ったのに」
「ストレイ・キャットはどうした?」
「ちゃんと餌をやってきたよ。最近、運動不足なんじゃないの?肌の艶が足りない気がする」
「そうか」
 僕の言葉をスルーされたが、別に僕自身も本気で言っているわけではないので気にしない。これは最早、挨拶のようなものだった。そして、僕が彼に対して殺す気があるのだと示すためでもある。
 彼の持っている趣味の悪い柄のネクタイを奪うようにして取り、首に撒きつける。なにも言われなかったので、ゆっくりとした動きでネクタイを結び始めた。手に彼の視線を感じる。手が綺麗なら、男でも女でも関係がないということは、ずいぶんと前から知っていた。きっと僕が彼の息子ということになっていなかったら、今頃殺されているのではないかと思う。
「昨夜は、ずいぶんと楽しそうだったね。今度は、どんな子から手を奪ってきたの?」
 僕が言うと、彼はわかるかわからないか程度に眉をあげた。そして苦虫を噛み潰したような顔をする。
「また隠し撮りか?カメラは全て破壊したと思っていたが」
「あんた最近、爪が伸びるスピードが速かったから、また仕掛けておいたんだよ」
 爪の伸びるスピードが異常に速い時、彼は殺人の衝動を抑えきれなくなるというのも、もうずいぶんと前から知っていることだった。
 玄関とこの寝室に、最低限の数の隠しカメラを仕掛けた。ちょうどその次の日の晩に、彼は懐に手を隠して会社から帰宅した。母が眠ってしまった後で、わずかな時間、その手と戯れていた。どんな風に、とは、ちょっと口からは言えないが。その後に、あの例の爆発の能力で手を跡形もなく消していた。これで、証拠隠滅になる。しかし僕がその光景を撮っていたから、あまり意味はないのだが。
「この前ので、人を殺したのは何人目だった?そろそろ裁かれる覚悟をしておいた方が、いいんじゃない?」
「誰が裁くんだ?法か?もしお前が撮り溜めているテープを警察に渡そうとするのなら、私はお前を殺すぞ。もちろん、事故死に見せかけてな」
「法じゃあ、無理だろうね。あんたのスタンドとかいう能力は、理解されないだろうから」
 言いながら、結んでいたネクタイをきつく締める。首を絞められて、彼は苦しそうに小さく息を漏らした。そんな彼を真正面から見据える。彼もまた、こちらを見返してきた。その顔に怯えはない。余裕げだ。そうだろう。彼にはスタンド能力があるのだから。どう考えたって、殺されるのは僕の方だ。でも。
「裁くのは法でもなく、他の誰でもない。僕だ」
 ネクタイを締め上げている僕の手を彼がつかむ。その上から、宝石を触るような手つきで自分の手を重ねた。彼は僕をみながら、おかしそうに唇を歪めて笑う。
「お前が、私を?馬鹿げてる。もし私を殺そうとするのなら、すぐにでも返り討ちにしてやろう。だが安心して欲しい。この美しい手だけは、腕時計をつけたまま綺麗に残しておいてやるから」
 詠うように言う彼に、僕は彼とまったく同じ笑みを向けた。歳を重ねるたびに、僕の顔は父に似てきている。笑い顔が一緒だと、母がよく言っていた。
「覚悟をしておくといいよ。僕はただたんに数年間、あんたとともに暮らしてきたわけじゃない。ずっと、観察してたんだ。僕はあんたの行動パターンを知っている。あんたが自分ですら気が付いていないような癖を知っている。あんたがどんな時に、一番気を緩めるのかを知っている・・・。僕の前で少しでも油断をしてみろ。その時、僕はあんたを殺すだろう」
 彼の笑みが引きつった。そして、小さくため息を付く。
「私の平穏な日々はどこに行ってしまったんだ・・・」
「殺人鬼に平穏なんて、まさか、でしょ?そんなもの、はじめからないよ」
 彼の手を振り解きながら、中途半端になっていたネクタイをちゃんと結んでやる。几帳面な彼のために、まっすぐに美しく。こうやってコミュニケーションの時間を増やすためだけに、ネクタイの結び方を覚えたのだと知ったら、彼はどんな顔をするだろうか。きっと、嫌そうな顔をするに違いない。それを思って、僕は気分がよくなった。
 結び終わると、ちょうど母が僕達を呼ぶ声が聞こえた。どうやら、朝食の用意ができたようだ。それに返事を返しながら、僕は彼の手を引く。
「朝ごはんができたみたいだよ、『父さん』」
「そうだな、『早人』」
「次の日曜日は、猫草を連れて一緒にピクニックにでもいかない?少しは日に当ててやったほうがいいと思うんだ」
「あぁ」
 そんな会話をしながらリビングまで行く。仲がいいのね、と母はにこにこと機嫌良さそうに言った。そんな彼女に、僕は意味深な笑みを向ける。
 僕達の腹の探りあいと、親子の演技はまだまだ続きそうだった。

 

END

 


ある意味仲のいい擬似親子。
需要・・・あるの?

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女性
自己紹介:
1月14日生まれの新潟県民。

ジョジョラーでケモナーでおっさん&おじいちゃんスキーでSHK国民。
最近はfkmt作品に手を出してます。
乙一作品と三原ミツカズ作品と藤田和日郎作品も好き。
節操なしの浮気性です。
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