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おっさんと人外を中心によろずっぽく。凄くフリーダム。
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鮮緑様に捧げます。
神域×市川ですが、越境のようで越境じゃない感じになりました。
若干以前に書いた神域追悼話と繋がってる感じです。死んだ後もいちゃいちゃしたいんです。というわけでいちゃいちゃのターン!

 

 


 紫煙を大きく吐き出す。空気にとけていくそれを見ながら、死んでも煙草は吸えるのだな、と思った。これでは生きていた時と大差ない。
「俺は地獄に落ちると思ってたんだがな」
 独りごちる。別に反応を望んでいるわけではないと理解していたため、市川は言葉を返さなかった。
 間違っても天国になんて行けないと思っていた。ではここはどこなのだろうか。地獄ではないが、天国という感じでもない。なにもない大地と雲のない空。風が時折吹いて髪を揺らす。ここがあの世というものか。もしくはこの空間が一番赤木の望んだ死後の世界なのかもしれない。赤木が望んだから、この場に市川がいる。
「まぁあんたのいるところならどこでもいいんが」
 煙草を地面に落とし、靴の裏で消す。その気配がわかったのか市川がこちらを向いた。手を伸ばしてサングラスを取ってやると、見えていないはずの目でこちらを睨んでいる。行儀が悪い、と言いたいらしい。もう生きてるわけじゃないんだから、と赤木は喉を鳴らして笑った。
「相変わらずだな、市川さんも」
 言いながら抱きしめる。子供の頃とまったく変わらない抱き心地だった。強いて言えば、昔よりはこちらの腕が長くなったので余裕を持って抱けるようになったというところか。
「テメェは変わったな、いろいろと」
 体の大きさも、声も、雰囲気も、なにもかもがあの頃と違っていた。でも抱きしめてくる腕だけは相変わらず強く、熱い。
「男前になっただろ?」
「見えねぇよ」
 市川は確かめるように両手で赤木の顔に触れた。若い頃よりも肌にハリがなく、ところどろこ皺があるのがわかる。目元や口元の笑い皺。いい歳のとり方をした、と思った。姿は見えなくてもわかる。きっと赤木は子供の頃より、ずっといい男になった。
 両手を赤木の頬に添えたままこちらに引き寄せ、目元の笑い皺にキスをする。すると彼が笑ったのがわかった。より深く皺が刻まれる。そこに舌を這わせた。
「くすぐってぇよ」
 口ではそう言いながらも、市川の好きなようにさせる。
 赤木は片手で市川の髪を梳いた。歳の割には量も多く、艶々とした髪だ。するとわずかに彼が笑う。赤木は彼がなんと言いたいのかわかった。自分の髪をいじるのが好きなのは変わらないな、と言いたいのだろう。体は大人になってもその子供じみた手癖が変わってないのがおかしかったのかもしれない。
 だって好きなものはしょうがない。昔から子供心にこんなふうに無条件に市川に触らせてくれるのは自分だけだと理解していた。だから余計に彼に触れるのが好きだった。今も変わらずに好きなようにさせてくれるのが嬉しい。
「髪、ずっと切らなかったんだな」
「死んだのに切れるかよ」
「そりゃそうだ」
 喉を鳴らして笑ってから、今度はこちらから市川の目元にキスをした。それから顔中に。ずいぶんと久しぶりに会ったのだ。実に数十年ぶりだ。体中が市川を求めているのがわかる。ずっと会いたかった。やっと会えた。たとえ互いがもう死んでいたとしても、こうやって触れ合って相手の体温がわかるのがたまらない。
 彼の服の中に手を入れて優しく体を撫でる。骨の浮いた鎖骨に軽く噛み付いてやると、彼の体が小さく震えた。それでも気丈に口端を引いて笑みを見せる。
「もうガキじゃねぇんだから、がっつくんじゃねぇよ」
 よく言う、と思った。市川だって、求めているくせに。
「市川さんと違って俺はまだまだ現役だからな。この数十年で磨いたテク、見せてやろうか?」
「テメェはもう少しデリカシーを身に着けるべきだったな」
 他の人間で磨いたテクを見せてやろうなんて、よくも言えたものだ。
 市川の言わんとすることがわかり、赤木はおかしくなる。嫉妬をされてしまった、あの市川に。
「そりゃあすまねぇ。なんせ一人身が寂しかったもんでな」
 そんな軽口を叩き、ひとしきり笑う。それから赤木は真面目な顔をした。
「でもこれからは、もうあんただけだ」
 だからこれからはずっと一緒にいよう。昔のように離れ離れになって悲しい思いはしないように。
 それに応えるように市川が口付けをしてくる。赤木は目を伏せると、再び強く彼を抱きしめた。


END

 

 


シノハにはこれが限界でした。色事ってなんだ。
鮮緑様、こんなものでよければお持ち帰りください。

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プロフィール
HN:
シノハ
性別:
女性
自己紹介:
1月14日生まれの新潟県民。

ジョジョラーでケモナーでおっさん&おじいちゃんスキーでSHK国民。
最近はfkmt作品に手を出してます。
乙一作品と三原ミツカズ作品と藤田和日郎作品も好き。
節操なしの浮気性です。
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