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やっとアカ鷲が書けました。
やっぱり鷲巣様が猫になってます。注意!

 

 

 

 

 とある場所に寄った帰り、青年はある予感がして、その予感が当たっているのかを確かめるために鷲巣邸へと足を運んだ。
 青年の姿を見て、白服達がわずかに顔を引きつらせる。家には上げたくない、という雰囲気をみんながみんな出していた。いつも歓迎されているわけではないが、ここまで拒絶されることも珍しい。そう思いつつ、そんなことにはまったく気にも留めず、青年は手に先ほどここに来る前に買ってきた、茶色い紙袋に入れられたそれを片腕に抱えながら勝手知ったる鷲巣邸へ上がりこんだ。
 鷲巣の私室は、二階の一番日の当たる部屋。その隣がワシズの部屋。しかしだいたいワシズは鷲巣の私室に来て一緒に仕事をしているので、青年は鷲巣邸に来るとまず真っ先に鷲巣の私室へ足を運んでいた。
 そして今日も、ノックもなしに遠慮なく扉を開ける。
「・・・!」
 いつも鷲巣が仕事をする時に使っているデスクの上に、一匹の白い猫が乗っていた。そのデスクのすぐ後ろに設置されている窓は開け放たれており、白いカーテンが風ではためいている。その窓から見える光景は、いつだって背の高い木々が幾つも植えられた雑木林だ。いつもと同じ光景のはずだった。その白い猫がいること以外は。
 猫は驚いたように大きなアーモンド形の目を更に大きくさせて、赤い瞳でいきなり入ってきた青年を凝視した。だがやがて青年が一歩部屋の中へ入りこんで来たので、慌ててデスクから下り、ベッドの下へ逃げ込もうとする。しかし易々とそんなことをさせてくれる青年でもない。下に下りたところで、青年の大きな手で床に敷かれた絨毯に体を押さえつけられてしまった。
 威嚇するように、猫がふー、と唸り声をあげながら青年を見上げる。それを見て、青年は喉を鳴らして笑った。
「まさかと思って来てみたら、本当にあんたも動物になってたとはな、鷲巣巌」
「黙れっ・・・!」
 白い猫、もとい鷲巣は、あっけなく正体を見破られ、その小さな体からどうやって出すのだと思うほどの怒鳴り声をあげた。容赦とか遠慮とかという言葉を知らない青年が、思い切り体を床に押し付けているので苦しい。
「放さんか、無礼者!」
「なぁ、ワシズの方はどうした?あっちもなにかしらの動物になってると思ってたんだが」
 鷲巣の声が聞こえていないかのようにさらりと彼の言葉を無視しながら、青年は部屋を見渡す。この部屋にはもう他の生き物の気配はしない。だがワシズが自分の部屋にこもっているとも考えられない。ワシズが動物になっても人間のままでも、鷲巣がこうなってしまった以上、どうしてそうなってしまったのか二人で話し合うはずだ。
 俺が来たのを察知して逃げたか。
 青年は開け放たれた窓を見ながらそう考える。しかしここは二階だ。いくらなにかしらの動物になったとはいえ、この高さから飛び降りては無事では済まされない。鷲巣がこの部屋に残っていたのがいい証拠だ。おそらく飛び降りたくても飛び降りられなかったのだろう。ならばワシズは鳥かなにかになったのだろうか。飛んでどこかに逃げたのか。
 いや、それはないな。
 青年はそう結論付ける。他の者ならともかく、鷲巣を置いて彼が逃げるとは考えづらい。自分自身は見捨てない。近くでこちらの様子をうかがっているはずだ。
 青年は窓の外を見る。そして、ふっ、と口端をつり上げた。
「あ、あ奴のことなど知るかっ!」
「・・・そうか。残念」
 ひとまず、ここは鷲巣の言葉に納得したふりをしておく。姿を見せないワシズよりも、今は自分の手の下でもがいている鷲巣でどう遊ぶかが重要だった。
 青年は鷲巣を押さえつけたまま、持っていた荷物を床に置く。その中に手を突っ込んでなにやら探っていた。嫌な予感しかしない鷲巣は、キーキー喚きながらもしっかりと目で青年の動きを追う。
「お、あったあった」
 取り出したのは、黒い皮で作られたやたらと高級そうな首輪とリード。つまり青年が鷲巣邸を訪れる前に寄った場所というのが、ペットショップなわけで。
「な、なにを・・・!」
 ここまで来たらなにをされるかなんてわかっている。しかし叫ばずにはいられない。
「本当はじじいのために買ったんだが、鷲巣にやるよ」
「馬鹿、やめろ!そんなものをわしにはめるなんて・・・!」
 鷲巣が必死に青年の手の下から抜け出そうとする。興奮しきって毛は膨らみ、目じりに涙が浮かんでいた。それでも青年は楽しげに、鷲巣を片手で抑えながらもう片方の手で器用に首輪をその首にはめていく。
「ぐっ・・・!」
 首が絞まるぐらい、きつくきつくはめられた。犬用の首輪だったため、猫の首には少し大きかったのが幸いした。これでもし猫用の小さなものだったら、この悪魔は容赦なく更にきつく絞めてきただろう。そして苦しみもがいている鷲巣を見て喜んでいたはずだ。
「やっぱりちょっとサイズがでかいな。後でまた新しいのを買ってやろう」
 首輪とリードを繋ぎながら青年が言う。そして、立ち上がった。
「せっかくの晴天だ。散歩に行くか、鷲巣」
 悪魔はそう宣言し、思い切りリードを引っ張った。更に首が絞まり、呼吸が上手くできない。しかし鷲巣は満身の力を込めて絨毯に爪を立て、抵抗した。
「誰が貴様に連れられて歩くかぁぁぁ!!」
 猫の姿になったというだけでも屈辱だったのに、その上この世で一番嫌いな男から首輪をはめられ、すでに鷲巣の自尊心はボロボロだった。しかしだからこそ、ここだけは譲れない。これ以上惨めな気持ちにはなりたくなかった。
 しばらく青年と鷲巣の攻防が続く。だがもちろん青年の方は遊んでいるだけだ。人間の力の前では、小さな猫の力など微々たるもの。猫は本気を出せば人間を殺せるというが、鷲巣が口でなんだかんだ言いつつ自分を殺さないということをよく知っていた。万人の前では鷲巣は文句なく殺す側の人間だろうが、青年の前では所詮殺される側だった。鷲巣も気が付いていない心の奥底に、青年への恐怖があるから手を出せない。いかに王であれど、悪魔には敵わない。
「知ってるか、鷲巣」
 十分に無意味な鷲巣の抵抗を楽しんだ青年は、不意に今思い出した、というふうに口を開く。
「あ゛ぁ?!」
「猫はアワビを喰うと耳が落ちるそうだ」
 そう言われた瞬間、鷲巣の体がびくりと揺れる。そして、恐る恐る青年を見上げた。笑っている。悪魔が、笑っている。
「試してみるか?」
 猫がアワビを食べると耳が落ちるというのは、ただの迷信ではない。ちゃんとした科学的根拠がある。今この姿で青年に無理やりにアワビを食べさせられたら…。
 そう思い、鷲巣はゾッとした。彼なら確実に、嬉々としてアワビを食べさせようとしてくるだろう。プライドを取るか、耳を取るか。
「・・・・・・」
 意識して、鷲巣は絨毯に立てていた爪を引っ込めるとゆっくりと前足を前に出した。怒りで体が震える。そんな鷲巣を見下ろしながら、やはり青年は機嫌良さそうにしていた。
「それじゃあ行くか」
 ククク、と青年が喉を鳴らす。
 結局この日、鷲巣は半ば引きずられるようにしながら青年に一日歩き回らせられていた。


END

 

 

 


鬼っ子から鬼になるんじゃなくて、悪魔に昇格するところがアカギのすごいところだよなぁ、って思います。
13はいじめっ子。19はドS。二人の一番の違いはたぶんそこです。神域はそのどっちも兼ね備えてると思います。

次回は引き続き狐な神域と鷲なワシズ・・・かな。

ところで家猫って自分のおっぱいを吸う癖がついちゃう子がいるそうですよ。いるそうですよ、鷲巣様っ!(やめろ)
 

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シノハ
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女性
自己紹介:
1月14日生まれの新潟県民。

ジョジョラーでケモナーでおっさん&おじいちゃんスキーでSHK国民。
最近はfkmt作品に手を出してます。
乙一作品と三原ミツカズ作品と藤田和日郎作品も好き。
節操なしの浮気性です。
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