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おっさんと人外を中心によろずっぽく。凄くフリーダム。
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神域が狐になってますのでいろいろな意味で注意。
もう開き直っているので反省も後悔もしてない。そして落ちも特にないです。

 

 

 


 三人の中で一番早起きのはずの神域がいつまで経っても起きてこないので、少年と青年は神域の自室に足を運んだ。そしてベッドの上でうずくまって寝ているものを見て、珍しく驚いたようにわずかに目を見開く。
 銀色に近い毛色をした、中型犬より少し大きめのもふもふとした動物がいる。この顔立ちは犬ではない。ならば狐か、もふもふだし。そんなわけのわからない考えが、若者二人の間に駆け巡った。
 青年達の視線に気が付いたのか、気持ち良さそうに寝息を立てていた狐の大きな耳がぴくぴくと揺れる。そしてゆっくりと瞼が開いた。くりくりとした黒い瞳が可愛らしい。狐は数度瞬きをすると、頭を上げて顎が外れるのではないかと思うほど大きく口を開けて欠伸をする。そしてベッドの上でお座りをすると、黙ってこちらを見ている少年と青年を見上げた。
「朝から揃ってどうした」
 二人に電流走る。狐が人の言葉を喋ったとかそれ以前に、その声は確かにいつも聞きなれている神域の声だった。
 つまりこの狐が神域か。少年と青年は同時に納得をする。まぁ生きていれば、こんなこと一度や二度起こるだろう。そんな驚くほどのことでもない。ましてやパラレルワールドなのだ。自分達が一緒に住んでいるように、なにが起きたってまったくおかしくはない。
 二人の強靭な精神は、あっさりとこの状況を受け入れた。基本的に賭け事以外では行き当たりばったりで生きているので、あまり細かいことは気にしないのだ。
「なんか可愛い姿になってんじゃん」
 ベッドサイドに腰掛けながら、未だに自分がどうなっているのか気が付いていないであろう神域に少年が言う。そこでようやく神域は、自分の体を見渡した。鏡がないので顔は見えていないだろうが、毛皮や前足、尻尾は目に入っただろう。驚きなのかどうなのかは知らないが、すっと目が細められる。ぱた、と尻尾が一度動いた。おそらく自分で試しに動かしてみたのだろう。
 しばらくして、神域は横に座っている少年と、立ったまま自分を見下ろしている青年を交互に見た。
「なんか動物になってるな」
「見た限りでは狐だな」
 冷静に自己分析をした神域に、いつの間にか取り出したのか煙草の紫煙を吐き出しながら、はやり青年が冷静に返した。非現実的な物事を前にして誰一人として動揺などしていない。根本的に普通の人間とは精神の図太さが違うのだろう。
「煙草」
 とりあえず、とばかりに神域が自分にも煙草をくれと催促をする。青年は一本箱から出すと、それを神域の口元に持っていった。そして一瞬、逡巡する。
「狐に煙草って大丈夫なのか」
「つーかその口で吸えんの?」
 少年が神域の顎の下を撫でながら尋ねる。もう片方の手はちゃっかり神域の前足を取って肉球をふにふにしていた。
 相手の好きなようにさせながら、神域は首をかしげる。そしてもう一度青年を見上げた。
「駄目か?」
「いや、だからその口じゃ吸えないだろ」
 少年のツッコミに、神域の耳が垂れた。人間の時と違って、その耳は感情がストレートに出るらしい。またまた二人に電流走る。なんだ、この生き物。人間の時も十分可愛らしいが、この姿もこれはこれで可愛らしい。本当ならどうやって人間の姿に戻すか考えるところだが、もう自然の成り行きに任せてこのままでいいんじゃないかと思うほどだった。だいたいいきなり狐の姿になったのだ。だったらまた、いきなり人間の姿に戻ったりするのだろう。楽観的に少年と青年はそう考える。
「煙だけでも口移ししてやろうか?」
 喉を鳴らしながら青年が言う。口元が笑っていた。少年がかばうように神域の首に腕を回してその体を抱き寄せ、青年を睨む。神域はふん、と鼻を鳴らすと、面白くなさそうにそっぽを向いた。
「別にいい」
 声が完全に拗ねている。青年はもう一度喉を鳴らした。神域とは反対にご機嫌だ。これ以上ないほど、ご機嫌だ。
「遠慮すんなって」
 神域の顎をとると、とがった口先を上に向かせる。腰をかがめて、その黒い鼻先にキスをした。不満そうに少年が声をあげ、神域は毛を膨らませる。
 神域は前足で青年の顔を退けようとした。しかしその前にその手を取られてしまい、今度は手の甲にキスを落とされてしまう。
「変態」
「最高の褒め言葉だ。なんならもっと他の場所にもキスしてやろうか?」
 その言葉を聞いた瞬間、少年が重そうに神域の体を抱き上げた。そして立ち上がり、部屋から出て行く。この一匹と一人を一緒に置いてはいけない、とでも思ったのだろう。青年の場合、やると言ったら本当にやるのだ。神域がなにをされるのかわかったものではない。
「重いだろ、自分で歩ける」
「いいから」
 家を出る。青年が追ってくる気配はなかった。
 少年は神域を抱きかかえたまま歩き出す。はっきりいって、銀色の狐を抱いている少年という図は大変に目立った。だがやはり、図太い神経を持っているので一人と一匹は気にしないし気にならない。
「どこへ行く?」
「とりあえず南郷さんの家」
「いい選択だ」
 彼らが知っている人物の中でも、特に普通の人間並みの感性と神経を持っているのが南郷だ。狐に姿を変えた神域を見れば、さぞかし面白い反応をしてくれることだろう。それを思って、神域と少年は喉を鳴らして笑う。
「ついでに朝飯も馳走になるか」
「南郷さんの手料理久しぶりだな」
 勝手なことを言いながら、自由人達は南郷の自宅へと向かった。

 

END

 

 

 

変態!!変態!!変態!!変態!!(AA略)

それはそうとアニメで19が南郷さんと再会した時に言った「あらら」って言葉が凄く可愛らしいと思います。なんか凄く嬉しそうに言ってますよね。

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1月14日生まれの新潟県民。

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