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なんか電波を受信したような気がしたのでミュウミュツを。
たまには唯一人外の嫁も書かないと(←…)
今回はわりと報われている感じです(当社比で)
「僕は時々、きみの不完全さが羨ましくなる時がある」
唐突に、ミュウは独り言のように、しかし確かにミュウツーに聞こえるように呟いた。今回は何事かと、ミュウツーは相手を見据える。その目には、若干の驚きが含まれていた。今まで散々、コピーだの出来損ないだのと言われ続けていたので、そんなふうに言われるのは以外だった。だがそうくると逆に、なにかされるのではないかと身構えてしまう。
「珍しいな、お前がそんなことを言うなんて」
率直な感想だった。常に自分本位で他人の事になどほとんど目をくれないポケモンだというのに。しかも不完全なのが羨ましいときた。普通、誰もが完全を望むものだ。なにも欠けているものがない、それ以上でも以下でもない究極的なもの。そしてそれがミュウだ。
なにも言わずに、ミュウはふわふわと浮遊しながらミュウツーに近づいてきた。長い尻尾を動かして、ミュウツーの体を撫でる。一瞬、ミュウツーは体を強張らせた。いつかされた、その尻尾で首を絞められた記憶が蘇る。しかしミュウにはそんなつもりはなかったようで、ただゆるゆると尻尾で体を撫で続けた。こんなふうに優しくされるのも稀なので、ミュウツーは逆に戸惑ってしまう。
「どうした」
「きみは、壊しがいがないんだ」
抑揚のない口調でミュウが言った。
「きみは不完全なのに美しい。でもきっと、壊しても美しいままなんだ」
なんのことだ、とミュウツーは思う。生み出されてこの方、自分が美しいと思ったことはなかった。どこか人工的な体の作り、決して自然のものではない。性格はともかくとして、その丸みを帯びたフォルムと柔らかい色をしたミュウの方が、ずっと美しく見える。
「私から見れば、お前の方が美しく見えるがな」
言うと、ミュウは小さく微笑んだ。珍しく、邪気を孕んでいない笑みだ。本当に今日はどうしたのだろうかと、いつもと違いすぎて、そろそろミュウツーは心配になってくる。
「体の調子でも悪いのか?」
「ちょっと、それどういう意味?」
「いや・・・いつもと様子が違うから」
「いつもより優しいって言いたいの?」
酷いなぁ、とミュウはくすくすと喉を鳴らして笑った。いつもの笑い方だった。しかしすぐに、その笑いも引っ込んでしまう。
「人間は不完全なものに美を感じるそうだよ」
ミュウの意図が読めずに、ミュウツーは口を出すのをやめてただ彼の言葉を聞いた。
「きっと不完全だからこそ、きみは美しいんだろうね。壊れてしまってもまた、そこに美がある」
でも、とミュウは続けた。
「完全なものは、あとはもう壊れるしかないんだ。元が完全だっただけに、壊れてしまえばそれでおしまい。見向きもされなくなる」
ここまできて、ミュウツーはようやく彼の言葉の意味を理解した。
完全なものの美しさは、完全であるが故なのだ。壊れてしまえば、歪なものにしかならない。歪なものには、誰もが目をそむける。
ミュウはこの世でただ一つの個体だ。今は珍しいポケモンとして、人間が目を向けている。しかしそうでなくなった場合、この広い世界でそれはどれほどの孤独となるだろうか。周りのものとは明らかに違う存在。押し寄せるのは、孤独感と疎外感。そんなものは気にしないような性格に見える彼も、心のどこかではそれを拒んでいる。
なにを今更、とミュウツーは思った。
「心配しなくとも・・・」
そうだ。そんなこと、今更心配することではない。なぜなら、
「お前はもう、とっくの昔に壊れている」
これ以上ないほど、歪になっている。その性格も、存在も。
「だがお前の傍には、私がいるだろう」
たとえこれ以上壊れたところで、もうどうということはない。
ミュウツーの言葉が意外だったのか、ミュウは面食らったような顔をした。しかしすぐに、唇を歪めて笑う。先ほどの笑みとは、まったく異なる笑い方。これでこそ、ミュウツーの知っているミュウだった。
「熱烈な言葉、嬉しいなぁ」
「・・・いつも自分だけを見ろと言っている奴は誰だ」
「もちろん僕だよ。物分りのいい息子を持って、お父さんは幸せ者だね」
「誰が息子だ、誰がお父さんだ」
ようやく自分が客観的に見て恥ずかしい台詞を言ったということに気が付いたため、ぶっきらぼうに答えながら照れ隠しに顔をそむける。そんなミュウツーの反応に、ミュウは楽しそうにまた喉を鳴らして笑った。体を撫でていた尻尾を動かし、今度は相手の頬に添えてこちらに顔を向かせる。案外すんなりとこちらを向いたミュウツーに、ミュウは幾度もその顔中にキスを落とした。
「可愛い可愛い僕のミュウツー。僕をその瞳に映さなくなったら、その時は殺すよ」
無邪気な声で、物騒なことを口にする。だが彼はすると言えば、絶対にそうするのだ。
「わかってる」
いつになく機嫌の良さそうなミュウの好きなようにさせながら、ミュウツーは答える。そして気が付いた。今まで自分はミュウに対する恐怖から、彼の傍にいるのだと思っていた。彼から離れれば酷い折檻が待っていたから。しかし違ったのだ。この時ミュウツーは心底から、ミュウが哀れで仕方がないと思った。世界でたった一匹のポケモン。その完全さゆえに、ほんの少しの歪みで狂ってしまったポケモン。いったい誰がそんな彼の傍にいられるだろうか。彼の狂気に中てられずにいられるだろうか。おそらくミュウツー自身も例外ではない。長くミュウと共にいれば、確実に狂ってくるという確信がある。しかしこの哀れなポケモンを、世界中でただ一人にはしていられなかった。
きっとミュウが望む限り、自分は彼の傍を離れないのだろう。ミュウが先に完全に狂ってしまうのか、それとも自分が彼の狂気に染まってしまうのか、それはわからない。しかしそれでも良いと思いはじめている自分がいて、この感情はどこからくるのだろうとミュウツーは不思議に思った。
END
初めてまともな扱いを受けているミュウツーを書きました。
ミュウツーはどんな扱いを受けても最終的にはミュウを見捨てないって思ってます。
セレビィ×エンテイとかも書いてみたい今日この頃です。まずは映画を見て予習しなきゃなぁ、って思います。もう完璧オリジナルでもいいんですけどね。
セレビィは私の中では擬人化すると10代半ばの女の子。ミュウに似てアレな性格だけど、ミュウとの決定的な違いは酷いことを酷いとわかってやっている、ということ。つまりSです、ドSです。常にどうやったらエンテイが嫌がるか、苦しむかを考えてそう。でも愛はある。
ミュウは自分が酷いことをしているという自覚なく酷いことをしちゃう子だけど、セレビィは酷いことを酷いとわかった上でしてます。どっちがまともなのか・・・。
エンテイは40代後半ぐらい。擬人化するときっといい体。セレビィにいろいろ酷いことをされるけど、愛情の裏返しだとわかっているから甘やかしちゃう。体が丈夫そうなのでいろいろやっても大丈夫だよ・・・!
以前も書いたけど赤い子+青い子×ダークライもいい(いい加減名前を覚えてあげて!)
この三人はほのぼの要因。ショタとおじいちゃん。ダークライは50代半ばほど。よく赤い子と青い子が喧嘩して、ダークライに怒られる。そしてダークライは毎回厳しく怒ろうとするんだけど、二人に泣きながら謝られて結局ほだされる。
特定のカプはないけどルカリオとルギアも好きです。ルカリオは20代後半、ルギアは40代前半。ちなみにミュウツーは30代半ば。
伝説以外だとキュウコン×ウインディとか、ペルシアン×ウインディとか、リザードン受けとか。
リザードン受けは相手が見つからなくて困る。ヒトカゲは違うんです。ヒトカゲとリザードンはカプじゃなくて親子なんです。
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節操なしの浮気性です。