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ミュウ×ミュウツーはどうやって略すのが普通なんでしょうか。とりあえずミュウミュツと略してますが・・・。
相変わらずうちのミュウは黒い子のようです。精神的にも肉体的にもミュウはミュウツーを追い詰めていて欲しい。
http://nandemonai000.b.to/sonota/7を読んでおくとうちのミュウがどんな子なのかわかりやすいかもしれません。

 

 

 


 自然豊かな森に溶け込むように広がっている広大な牧場。深夜という時間帯のためか、人間の姿はなく、闇の中にぽつりぽつりとポニータやギャロップの鬣が赤く煌いているのが見える。その中に見慣れない白と紫の色をしたポケモンが混じっていた。一匹のギャロップとなにやら話し込んでいる。
「ここでの生活も、ずいぶんと慣れたようだな」
「えぇ、おかげさまで。居心地がいいぐらいです」
 どこか冷たく感じるミュウツーの低い声色と、ギャロップの柔らかな声色が闇に吸い込まれる。彼ら以外に声を発している者がいないため、やけに大きく響いた。
 彼女はコピーギャロップだった。普通のポケモンと同じように生きようと決心し、森をさまよっている所をこの牧場を経営している人間に拾われたらしい。ミュウツーはたびたび、今夜のように彼女の元を訪れては今どんな生活をしているかだとか、周りのポケモンと上手くいっているかだとかを尋ねていた。
 あの日、多くのコピーポケモン達がミュウツーの元から発っていった。普通のポケモンと同じように生きるために。そして、幸せになるために。無意識のうちとはいえ、自分がコピーなのだと劣等感を感じているミュウツーは気が気ではない。だからこのギャロップだけでなく、居場所のわかっているコピーポケモン達とは時折会って話をしていた。今のところ、どのコピーポケモンも上手くやっているようである。
「コピーもオリジナルも、なにも変わりはないんですね」
 静かな声でギャロップが言う。その表情は、なにかに深く感動しているようだった。
「普通に自然の中で生きたり、私のように人間と共にいたり。そしてなにより、コピーである私も、子供を授かることが出来た。私はコピーだけど、新しい命を生みだせるんです」
 突然の告白に驚いて、ミュウツーは彼女の腹を見る。そういえば、以前会った時よりも腹が丸みを帯びている気がする。生まれる前からずっと人工的な液体の中で生かされていたミュウツーにとって、彼女の腹の中にもう一つの命があるというのは、なにかとても不思議な感じがした。
 視線を外さないミュウツーを見ながら、ギャロップはふわりと笑う。それはすでに、母親の慈愛の込められたものだった。
「子供が産まれたら、ぜひ見に来てくださいね。私の生に大きく関わった方の顔を、子供にも見せたいのです」
「わかった、約束しよう」
 ようやくギャロップの腹から目を離しながら、ミュウツーは噛みしめるように言った。
 どんどんとコピーポケモン達が自分から離れていくように感じる。それは喜ばしいことだ。コピーもオリジナルも変わりはないという証拠なのだから。しかし目の前にいるギャロップを含め、自らが生み出したコピーポケモン達が離れていくというのは、どこか寂しい気もする。これがエゴだというのはわかってる。いい加減、子離れをしなければいけないと思う。
「あなたの手によって生み出されたポケモンは、みな幸せに生きています」
 ミュウツーの思考をこちらに引き戻すように、ギャロップは言う。その声は、どこか切実だった。
「だからもう、あなたも幸せになってもいいんです。いいえ、幸せになってください。それだけが、今の私と、全てのコピーポケモン達の願いです」
 一匹の小さくて白いポケモンがミュウツーの脳裏に浮かぶ。考えただけで、胃の辺りが重くなるように感じた。愛くるしい姿をした、ミュウツーがこの世で唯一恐れているポケモン。
「それは・・・無理だ」
 どうしてそんな言葉が出てくるのか知っているギャロップは、悲しげに目を伏せると、それ以上はなにも言わなかった。

 

 雲よりも高い所を飛行していた。さえぎるものがなにもないため、月の柔らかい光が煌々とミュウツーを照らしている。
 やがて目的のポケモンの背中を見つけると、ぴたりと止まった。相手はこちらに気が付いているのかいないのかは知らないが、雲の上に座りながら月を眺めている。今夜は満月よりも微妙に欠けている月、居待月だった。
「満月もいいけど、僕はこんな歪な形をした月も好きだよ」
 独り言のように、しかしミュウツーに聞こえるぐらいの声の大きさでミュウは言った。
「だって、きみみたいに出来損ないみたいだから」
 振り向きざまに言う。その表情はどこか楽しげだ。ミュウツーはなにも言わずに、ただ奥歯を噛みしめる。
 ミュウはいつだって、こちらが傷付く言葉を選んでくる。自分がミュウのコピーだと知らしめるように。気にしなければいいというのはわかってる。コピーもオリジナルもみな生きていて、なにも変わりはないのだと知っている。しかし昔から心の底に根強くある劣等感のせいで、一々ミュウの言葉に傷付いてしまうのが嫌だった。
「僕、そんなきみの傷付いた顔大好き。もっと虐めてやろう、って思うよ」
 ミュウツーの真正面に浮かびながら楽しげな声で言う。月の逆光のせいで表情はわからないが、その顔は笑っていることだろう。
「私はお前なんか、嫌いだ」
「別にそれでもいいよ。誰もきみの意見なんて聞いてないもの」
 まったくもって、その通りだった。彼はいつだってミュウツーの意見など聞かずにやりたいようにやっている。その上ミュウツーを自分の所有物かなにかだと思っているから性質が悪い。自分が甘えたい時は子供のように甘えてきたり、逆にそれこそ父親のように可愛がってくれる。しかし機嫌の悪い時や、ミュウツーがなにか気に入らないことをすればたちまち性格が豹変してしまう。何度、殺されるかもしれないと思ったことだろう。
 そんな彼が、心底から嫌いだとミュウツーは思う。ミュウがいる限り、自分に自由は訪れないし、劣等感も消えない。
 逃げれば彼は追ってくるだろう。そして酷く怒るはずだ。自分の所有物が勝手にいなくなろうとしたのだから。だから逃げることも出来ない。彼が自分に飽きるか、自分が彼が殺すか。その二つしか、道はないように思える。
「出来もしないことを考えるのはやめておきなよ」
 言われ、ミュウツーはハッとして意識をミュウの方へ向ける。嘲るような笑みで、彼はこちらを見ていた。考えていることを読まれていたらしい。そんなことは日常茶飯事なのでもう驚かない。ただ一つ思うことは、いったい誰がこんな凶悪な奴に数多くの能力を与えたのだろうということだけだ。
「僕はこう見えてずいぶんと情が深い方だ。一度気に入ったら、絶対にそれを手放さない」
「・・・・・・」
「それに、僕から作られたきみが、僕に敵うわけないでしょ?僕の劣化品のきみが」
 思わずミュウを睨みつける。だがそんなことは無意味だと知っているため、ミュウツーは目を伏せると疲れたようにため息を付いた。
「そんな劣化品の私に執着しているお前はなんなんだ。なにがお前をそうさせる」
 相手の方を見ながら尋ねると、ミュウはしばらく考えるように沈黙する。そして、可愛らしい笑みを見せた。
「変人だから、かな」
 答えを聞いて、ミュウツーは安堵する。ここで親子だからとか言われたら、ぞっとするところだった。こんな歪んだ形の親子愛が、あっていいはずがない。
 ミュウがくつくつとおかしそうに喉を鳴らして笑う。またミュウツーの考えを読んだようだった。しかし結局なにも言わずに、浮遊したまま動き出す。その後ろを、やはりなにも言わずにミュウツーが続いた。
 いつまで彼とこんな関係が続くのだろうと考えるのはもうやめた。きっと、いつまでも続くのだから。ミュウツーの作ったコピーポケモン達はもう完全に自分の道を歩み、オリジナルとなっている。しかし自分はいつまでもコピーのままなのだろう。柔らかく月の光に照らされているミュウの背中を見つめながら、ミュウツーはそう思った。

 


END

 

 


映画とか見てるとミュウツーって物凄く自分がコピーだ、っていう劣等感が強そうに思えます。そんな劣等感の塊なミュウツーが大好きです。
でもミュウツーとミュウの関係は初代派です。初代のミュウツーは正真正銘ミュウの子供。卵産んだからミュウって雌なんじゃ、とか言っちゃ駄目です。
ミュウはなんでも出来る子(技的にも)
やろうと思えばたまごうみも朝飯前。

書く(描く)機会はないけど、一応私の中ではミュウツーを擬人化させたらマ王のグウェンみたいな美丈夫なイメージです。
ミュウは普通にお子様。10歳ぐらい。
 

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1月14日生まれの新潟県民。

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