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以前に書いたドッキリ食事会トリディア(…)の続きです。多分。
ジョルノとトリッシュは5部のSコンビ。・・・だと勝手に思ってます。
トリッシュとディアボロが一緒に住み始めてから一ヶ月ほどが経った。最初はぎくしゃくしていた二人も、最近ではこの生活に慣れつつあるらしい。しかしそうなってくると面白くないのがジョルノだった。なにか面白いことが起こると期待して、わざわざ家まで建てたというのに、何事もなく日々がすぎていくなんて。
「つまらないです」
「別に私達はあんたを楽しませるために生きてるわけじゃないから」
不満げに言うジョルノに対し、トリッシュは手元に広げている本から目を逸らさずに冷え冷えとした口調で言う。そもそも普通に生活するだけなのになにか面白いことが起こるとか、ありえないだろう。もしそんな頻繁になにかが起こるようならば、泣いて頼まれてもディアボロとは一緒には住まない。自分がいきなり一人暮らしをしたいと言い出したらあの男は本当に泣きそうだな、とトリッシュは本をめくりながら思った。彼と暮らすのに不満はないが、多少過保護すぎる気がする。他の家庭の父親が、どうなのかは知らないが。
「さっきからなにをそんな熱心に読んでるんですか?・・・ワイン?」
ジョルノがトリッシュの手元を覗き込む。彼女が読んでいた本には、ワインについてなにやら事細かに書かれていた。意外、といえば意外だ。彼女は普段、酒など飲まない。というよりも、自分の気に入ったミネラルウォーター意外は積極的には飲もうとしない。どういう心境の変化かと、ジョルノはトリッシュを見る。彼の視線に気が付いたトリッシュは、一度本から目を上げると、小さくため息を付いた。
「・・・あの人、ワインが好きみたいだから、少し勉強をしてみようと思って」
その言葉に、ジョルノはなるほど、という顔をする。
「ボスと仲が良いみたいで大変結構です。ホント、嫉妬する」
「せめて口に出して言うのは本音か建前かのどっちかにしてくれる?」
やはり冷え冷えとした口調で言いながら、トリッシュは本を閉じた。この変人の相手をするのは疲れる。このぐらい変人でなければ、巨大な組織であるパッショーネのボスなんてやってられないのだろうが。ということは、以前のボスだったディアボロも変人なのだろうか。そう思って、トリッシュは自分の考えを否定できなかった。ボスという立場を維持するためだけに引きこもりになっていたのだ。十分、変人の域だろう。
彼はしばらく前まではジョルノの能力によって永遠に死に続けていたが、組織に優秀な人材が欲しいというジョルノ自身の願いでまたパッショーネに戻ってきていた。というよりも、無理やり戻されていた。本人はジョルノの下で働くなど嫌だと散々渋っていたが、結局トリッシュに説得されたりジョルノに脅されたりして、今に至っている。
もちろん、ほとんどの人間は以前のボスがまだ組織にいるなんて知らない。ディアボロの存在は隠されていて、彼もまたそれを望んでいる。デスクワークのような自宅で出来る仕事を押し付けているため、今も昔も引きこもりということに変わりはなかった。彼のスタンド能力が必要な任務がある時は、トリッシュとコンビを組ませているが、そんなこともほとんどない。
「ボスは家ではどんな感じですか?相変わらず、アルコールの力を借りないと娘とまともに会話ができないとか」
「流石にもうそれはないわね。普通に会話する程度は慣れたみたい。気を使われるとこっちも気を使っちゃうから助かるわ」
「あなたに気を使うなんていう神経があったんですか?初対面の男に服を脱がせて、それで手を拭いたあなたが」
「・・・そうね。とりあえずジョルノは人の振り見て我が振り直せ、という言葉を辞書で調べることをお勧めするわ」
「さぁ?なんのことでしょう」
白々しい。トリッシュはジョルノを睨む。しかし相手は涼しい顔をしたままそれを流した。馬が合わないと思う、この男とは。以前ミスタから自分とジョルノは性格…というか、行動パターンが似ていると言われたことがあるが、それはタチの悪い冗談だとトリッシュは思っていた。実際はあながち冗談ともいえないのだが。
ジョルノは自分がボスとなった今も、ディアボロのことをボスと呼んでいる。トリッシュは嫌がらせてそう呼んでいるのだと思っていたが、以前に本人自身が違うと否定していた。
『別に名前で呼んでもいいんです。でも、彼の名前ってなんか舌を噛みそうですよね。だから、ボスって呼んでるんですよ』
イタリア人ってなんでこんなめんどくさい名前なんですかね、なんて、本当にそう思っているのか疑問に思うくらいいつもと変わらない口調で言っていた。それを聞いて、トリッシュは彼の本名はハルノという名前なのだと以前聞かされたのを思い出す。彼は半分日本人の血が入っているらしい。日本人の名前の方は舌を噛むことはなさそうだが、言いづらい。これが文化の違いかと、トリッシュは思った。ともかく彼の言い分は、ディアボロなんかのために万が一にでも舌を噛みたくない、ということなのだ。そんな理由だと、逆に嫌味でボスと呼んでいた方がまだましのような気がする。
「今日、家に帰る時にワインを買って帰ろうと思うんだけど、なにかお勧めとかはないの?」
「ボスのために買うんですか?」
気を取り直して尋ねると、逆にジョルノが尋ね返してくる。なんとなく、面白くなさそうな顔だ。自分とディアボロが一緒に住むのを前面バックアップすると言ったのはどこの誰だと、トリッシュは内心で相手を罵った。自分に嫉妬するぐらいなら初めからあんなことをしなければよかったものを。以前にレストランで大衆の面前で恥をかいたことを思い出し、無意識にジョルノを睨んでしまう。それに気が付いて、トリッシュは一度目を閉じた。自分に落ち着くように言い聞かせる。ここで彼を責めてもしょうがない。
「家事とか家のことはすべて任せてるから、少しは労わってやってもいいでしょう?そうじゃなくてもただでさえあんたからたっぷり仕事を押し付けられてるのに」
後半は嫌味っぽく言ってやる。本当ならジョルノが処理しなければいけない重要な書類の類も、ディアボロは押し付けられていた。本人は今まで自分がやっていたことなので、あまり苦に思ってはいないようだが。
「家事?あの人、料理とかも作ったりするんですか?」
妙な所に食いついてきたジョルノを不審に思いながらも、トリッシュは頷く。元々人を寄せ付けずに一人で引きこもっていたため、自然とそんな家事をこなす能力が身についたのだろう。正直、彼の料理はそこら辺の店で出てくる料理よりも美味しい。
「僕のよく行くお店に、良いワインが置いてあるんです。そこでワインを買ったら、行きましょう」
「どこに?」
「もちろん、トリッシュの家にですけど」
あまりにも自然に言われ、一瞬あぁそうか、と納得してしまいそうになった。一言だって、家に来いと誘ってはいないのに。
「ジョルノも来るの?」
「もちろんです」
「誘ってないけど」
「僕が勝手に行くだけなので、気を使わないでください。夕食をご馳走してくれるだけで結構です」
なんて図々しい男だ。トリッシュはディアボロが料理を作ってくれるのだと言ったことを後悔した。よく考えれば、自由奔放でディアボロ大好きなジョルノがその話を聞いて黙っているはずがない。なんとかこの男を諦めさせる方法はないかと、トリッシュは頭を捻った。
「聞いて、ジョルノ。あの人は凄くあなたのことが嫌いなのよ。もう顔も見たくないと、いつものように言っているわ」
「ボスが僕のことを嫌いなのと、僕がトリッシュの家に行くのとに、なんの関係があるんですか?」
心底不思議そうな顔で言われてしまう。この男にはなにを言っても駄目なのだ。トリッシュはそう思った。
もう一度、今度は深いため息を吐く。自分にこの状況は回避できそうにない。トリッシュは心の中で自分の帰りを待っているであろう父に、ジョルノを家に連れて帰ってごめんと謝った。
「お帰り、とり・・・」
出迎えてくれたディアボロは、最後まで言い終わる前に、玄関にいた人物を見て固まる。
「チャオ、ボス」
ジョルノに挨拶を返さずに、数秒間固まっていたディアボロは、ぎこちなく視線を動かしてワインボトルを抱えているトリッシュを見た。
「トリッシュ、なんだ、コレは」
「たぶん、見ての通りだと思うわ」
娘からそう返され、ディアボロはもう一度ジョルノを見る。そして、頷いた。
「わかった。塩を取ってくるからそこで待っていろ」
「えぇ。出来れば粗塩でお願い」
「粗塩か・・・うちにあっただろうか」
「もう、お二人とも冗談がきついですね」
親子の会話を意に介した風もなく聞きながら、ジョルノは他人事のように言う。結局、このあと本当にディアボロが粗塩を持ってきてジョルノに投げつけていたが、彼はそれをすべてG・Eでテントウムシに変えていた。
END
主夫キャラが大好きです。料理とか出来る男の人って良いですよね。
ちなみに普通の塩より粗塩の方が魔よけに効果があるそうです。
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