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うちのスロー・ダンサーはジョニィが大好きだけど、ジョニィはどうなのかという話。
さり気無くジョニジャイも目指してみたけどただたんにジョニィがジャイロを虐めてるだけになりました。うちのジョニィは三大S主人公のうちの一人だからしょうがない(残りの二人はジョルノとジョナサン)

 

 

 

 頬に冷たいなにかが軽く押し当てられた。かと思えば生暖かい風が吹いたように感じる。ジョニィはしばらく瞳を閉じたまままどろんでいたが、長いことそれが続いて、ようやくうっすらと目を開けた。もうすでに見慣れてしまった緑色をした優しげな瞳と目が合う。頬に押し当てられていたのはどうやら彼の鼻先のようだ。
「おはよう、スロー・ダンサー」
 まだ半分眠っているようなゆるゆるとした口調で言うと、相手は挨拶を返すように長い舌を出して頬を舐めてきた。
「くすぐったいよ」
 そう言いつつも、自分に甘えてくる初老の馬に思わず頬が緩んだ。上半身を起こしながらS・Dの頬を撫でてやる。馬をあやしてやりながら辺りを見渡せば、すでにジャイロが起きて朝食の支度をしていた。一緒にレースをしているうえで、国が違うというのに互いの食の好みがそれほど違っていないというのは非常に助かる。
「ジャイロ、そこの泉まで顔を洗ってくる」
「俺には挨拶なしかよ」
 彼の言葉を無視しながら車椅子に乗り、すぐ傍にある泉まで向かう。するとなにも言っていないのにその横に寄り添うようにしてS・Dが付いてきた。
 車椅子を動かしながら、この辺りの水辺は今向かっている泉だけだから他の選手も近くにいるかもしれないな、とジョニィは思った。ディエゴにさえ出会わなければそんなことは別に気にすることもないのだが。どうもジャイロの馬とディエゴの馬は仲が悪いらしく、出会うといつもお互い興奮してしまっている。それは馬にとって無駄な体力を消費することになるので、極力ディエゴとは鉢合わせしないようにしていた。しかしジョニィの見る限りではS・DとS・Bは仲が良いように見える。というか、S・Dはレース中に出会ったどの馬とも相性が良いようだった。今まで多くの馬を見てきたが、そういう馬も珍しいな、とジョニィはS・Dの方を見ながら思った。
 結局、泉では誰とも会うことはなく、ジョニィはジャイロのいるところへ戻る。その頃には、すっかり朝食の準備は済んでいた。用意された朝食をジャイロと一緒にとる。馬達の方は少し離れたところで地面に自生している草を食んでいた。
「お前の馬、ずいぶんと懐いてるよな。毎朝起こしてくれるし。俺なんて四年も一緒にいるヴァルキリーからは一度も起こされたことなんてないってのに」
 横目でヴァルキリーの方を見ながら言う。しかし相手はまったく主人の言葉を無視して、S・Dとともに朝食をとっていた。その態度にジャイロは面白くなさそうに鼻を鳴らす。
「あいつ絶対俺のこと主人だと思ってないぜ。敬いってものが見えない。せいぜい友達かなんかだと思ってやがる」
「まぁきみとヴァルキリーの関係はともかく、確かにスロー・ダンサーとはとてもこのレースの直前で出会ったとは思えないよ。まるで昔からずっと一緒に走ってきたみたいだ」
 一度S・Dの方に視線を向けた。こちらの会話を聞いているかのように、時折馬の耳が上下に動いている。
「ここまで懐かれると凄く可愛いよね。少なくともきみの何十倍かは可愛い」
「そもそも俺を引き合いに出すのが間違ってるだろ。お前は俺のことを動物かなんかだとでも思ってるてことか?」
「それは一概には否定できないな」
「いや、否定してくれ」
 朝から疲れたように大きなため息を吐く。ジョニィはそれを無視して黙々と食事を続けた。
「ところでよ、ジョニィはこのレースが終わったらどうするんだ?」
 食事の終わり頃になって、ふと思い出したようにジャイロが尋ねる。漠然とした質問に、ジョニィは少し眉をひそめて彼を見た。
「どうって、なにが?」
「スロー・ダンサーだよ。俺はこの国に来る時はヴァルキリーと一緒だったから、またあいつと一緒に帰るけど、お前はどうするんだ?」
「あぁ、そういうことか」
 納得したようにうなづいてから、ジョニィはS・Dに向かって手招きをする。それに気が付いたS・Dはすぐにこちらに近づいてきた。優しくその額を撫でてやりながらジョニィは口を開く。
「もちろん連れて帰るさ。これほど過酷なレースを一緒に走ってきたんだ、情なんていくらでも移る。故郷に戻って、しばらくゆっくり休んだらまたスロー・ダンサーと一緒に走りたいと思うよ。レースに出るかどうかはまだわからないけどね」
「そうか。馬にとってもその方がいいのかもな」
 大人しくジョニィに撫でられているS・Dを見ながらジャイロが言った。S・Dの表情は心なしか嬉しがっているように見える。
「スロー・ダンサーだけじゃなく、きみも一緒に連れて帰ってもいいんだけど」
「・・・冗談だろ」
「残念、本気なのに」
 本当に残念そうな顔をするジョニィに、ジャイロは顔を引きつらせた。それを見てジョニィは微かに唇をつり上げて笑う。
「さて、そろそろ出発しようか。この辺りには他の選手もいるかもしれないから、動き出すのは早い方がいいだろう?」
「・・・あぁ」
 また泉まで行き、使った食器などを洗う。そして荷物をまとめてそれぞれの馬に積んだ。最後にジョニィがS・Dに乗り込む。
「今日も頼むよ、スロー・ダンサー」
 その言葉に応えるように、S・Dは一つ大きくいなないた。

 

END

 

 

ジョニィとスロー・ダンサーはお互いのことを大切に思ってるけど、恋愛感情ではないといいです。

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1月14日生まれの新潟県民。

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