忍者ブログ
おっさんと人外を中心によろずっぽく。凄くフリーダム。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


二日遅れですが成瀬様に捧げます。
ミュウツーは私と成瀬様の嫁。

 

 

 

 コピーポケモンであるギャロップが卵を産み、それが無事に孵化をして元気な男のポニータが産まれた。かねてより母親に当たるギャロップと約束していたとおり、ミュウツーはポニータと会った。するとなぜか懐かれてしまい、たびたび彼の遊び相手になっていた。子供を相手にするというのは初めてで戸惑うことも多かったが、普段相手にしているポケモンを思えばはるかに楽しいことだった。ミュウ本人にそのことがばれるまでは。
「浮気だ・・・」
 悲しげな声で、ポツリとミュウが言う。ポニータの遊び相手をしていたミュウツーは、内心でしまった、と思った。この桃色のポケモンがなにをしでかすかわからないから、ポニータと会っていることを隠していたというのに。
 突然現れた知らないポケモンに目を丸くしているポニータをさり気無く自分の後ろに隠しながら、ミュウツーはミュウと対峙する。それが気に入らないのか、ミュウはキッと睨んできた。
「最近一人でこそこそどこかへ行っていると思ったら、そんな子供と浮気してたなんて・・・!」
 浮気もなにも自分達は付き合っていないし、このポニータともそういう関係ではないし。
 ミュウツーはその言葉を飲み込む。言ったら言ったで更に大変なことになりそうだったから。ただなにも言わずに、相手の出方をうかがう。
「そういえばきみが仲良くしていた人間も、幼い女の子だったね」
 アイのことを出され、わずかに緊張する。いったいなにを言うつもりだろうか。
「この幼児好き!ペド野郎!こんなに可愛い僕がいるのに酷いよっ・・・!」
「なっ・・・!?」
 的外れな罵倒に流石に言い返そうとしたが、その前にミュウがこちらに向かって破壊光線を放ってくる。ミュウツーは慌ててバリアーを張った。エネルギーの塊が見えない壁にぶつかり、大きな音を立てて空気を震わせる。びりびりと振動が伝わってきた。
 土煙があがり、それはしばらく視界をさえぎっていた。やがてそれが収まってくると、ミュウツーはバリアーを解除して辺りを見渡す。ポニータも恐る恐る辺りを見渡した。ミュウの姿がなくなっている。不貞腐れてどこかへ行ってしまったのだろう。そう思い、ミュウツーは深いため息をついた。本当に、面倒くさいポケモンだ。
「さ、さっきのなんだったの?いきなりきて、攻撃して、どこかへ行っちゃったけど、ミュウツーの知り合い?」
「気にするな。病気なんだ、あいつは」
「え、どこが?」
「頭のだ」
 ミュウツーは再びため息をつくと、ポニータに別れを告げた。気は進まないが、どこかに行ってしまったミュウを探しにいかなければいけない。他のポケモンに八つ当たりでもしていたらいい迷惑だ。
 ミュウツーは空高く浮かぶと、ミュウの気配を探り始めた。


 一方その頃、当のミュウはセレビィとエンテイのいるウバメの森に来ていた。今はセレビィは時間のはざまに行っているのでこの森にはいない。時折時間のはざまに人間が紛れ込んでくるので、その対応をしなければいけない時があった。
「それでね、ミュウツーなんて酷いんだよ。僕という可愛いパパがいながら、他のポケモンとイチャイチャしてるんだから」
 セレビィがいないのをいいことに、ミュウはエンテイに延々と愚痴を言っていた。基本優しいエンテイは、これ以上ミュウが興奮しないように大人しく時折相槌を打ったり、慰めたりしながら付き合っている。だがしかし、先ほどから彼に首を絞められているような気がしてならない。
 ミュウはエンテイの太い首に腕と長い尾を回して抱きついていた。興奮しているからなのかは知らないが、腕と尾に力が入りすぎている。息苦しくてしょうがなかった。
 話の腰を折って少し力を緩めて欲しいと言っても大丈夫だろうか、とエンテイは思ってしまう。でも彼は本当に悲しんでいて、無意識に力を込めているのだったらここは我慢をするべきだ。そんな考えがぐるぐると頭の中を巡る。
「こんなことになるんだったらもっと厳しく躾ておくべきだった」
 低い声で言うと、一層絞めつける力が強くなる。躾、という言葉を聞いてエンテイは悪寒を覚えた。このポケモンに限って、普通の躾なんてするわけがない。ミュウツーのことを思って、エンテイは内心で合掌した。
 ミュウとセレビィは基本的に似ているとエンテイは思っている。ミュウツーもそう感じていることだろう。しかし決定的な違いがある。セレビィは自分が酷いことをしていると自覚して、それをプレイの一種として楽しんでエンテイを痛めつけるが、ミュウはその自覚がない。自覚がないからブレーキが利かないし、相手のことなど考えない。
 ミュウツーはセレビィが苦手だというが、エンテイはミュウが苦手だった。早くセレビィに帰ってきて欲しいと、内心で切実に願う。
 これ以上経つと本当に絞め殺されそうな気がしてきたため、エンテイはようやく口を開いた。
「ミュウ、一ついいだろうか」
「なに?僕の話を中断させるほど、それは重要な話?」
 大きな瞳がこちらを見据える。その瞳は、人が話してんのに邪魔をするんじゃねぇよ、と言っていた。それに気が付いて一瞬心が折れそうになるが、ここで口ごもっても彼は不機嫌になるだろうからエンテイはなんとか続きを口にする。
「その・・・苦しいから、少し力を緩めて欲しいのだが」
 エンテイの言葉にミュウは驚いたように目を丸くする。なにを言うんだ、とでも言いたげな表情だった。それを見て、やはり力を込めていたのは無意識だったのだろうか、と思ってしまう。ミュウの次の言葉を聞くまでは。
「だってきみ、痛いのや苦しいの好きでしょう?」
 なんという誤解だ、と思った。別に好きなわけではない。ただセレビィのそういうプレイに体が慣れただけだ。しかし言ったところで彼には通じないだろう。彼は人の話を聞くようなタイプではない。そして身の危険を感じずにはいられなかった。
 そろそろ本気で逃げるか、セレビィに助けを求めたくなった。このポケモンの相手は自分では無理だ、と思う。いつも相手をしているミュウツーを尊敬せざるを得ない。
 不意に、ミュウがなにかに気が付いたように耳を小さく動かした。何事かと思っていると、エンテイの大きな体がミュウのエスパーの力で浮き上がる。かと思うと、体が北側を向いた。目の前にソーラービームが迫ってきていた。ミュウが自分を盾にしようとしていることに気が付いた時にはもう遅く、太陽の力を宿したそれがエンテイに直撃した。
「ぐっ・・・!」
 呻き声があがる。エンテイの体はソーラービームの威力に負けて後方に吹っ飛んでしまった。何本もの木々にぶつかりながら、ようやく止まり地面に落ちる。そのまま気を失ってしまった。しっかりとエンテイをクッションにして受身を取り、無傷で生還したミュウはソーラービームが飛んできた方に向かって飛んだ。
「このガキィ!私がいない間になに人のものに手をだしてんのよ!」
 そこにいたのは時間のはざまから戻ってきたセレビィだった。目じりをつり上げ、可愛らしい顔を歪めている。
「しかもあの子をあんなにボロボロにして・・・許さないんだから!」
「いや、どう考えてもああなったのはあんたのせいだよね」
 ただ攻撃を受けたから盾にしただけなのだ。自分に非はないとミュウは主張する。しかしそんな言葉などセレビィの耳には入らなかった。再び攻撃態勢に入る。ミュウもまた、先ほどのことでいらついていたためセレビィの喧嘩を買った。
 こうして、伝説VS伝説の戦いが幕を開けた。


 戦っている小さな二匹のポケモンを見て、ミュウツーはやっぱりこなければ良かったと後悔した。ミュウを見つけたのはいいが、一足来るのが遅かったようだ。このままではウバメの森が消滅しかねないが、このまま帰っちゃおうかな、とか考えてしまう。
 きびすを返そうとした時、ふと視界の端に茶色い獣が映った。ぴくりとも動かないそれに慌てて近寄り、体を揺する。
「おい、大丈夫か?」
 エンテイはかなりダメージを受けているようだった。ミュウに八つ当たりをされたのだとミュウツーは考える。自分は悪くないはずなのだが、なんだかとても申し訳ないことをしてしまった気がした。
「うぅ・・・」
 小さく呻き声をあげ、エンテイが目を覚ます。最初にミュウツーを見て、その次に背後で戦っているミュウとセレビィを見てギョッとしたような表情になった。ふらつきながらも、なんとか体を起こす。
「すまない、あの馬鹿がこんなことをしてしまって」
 ミュウツーが謝罪を口にする。一瞬誰のことだ、と思い、エンテイはすぐに理解した。彼はどうやらミュウのせいで自分がこんなにボロボロになったと思っているらしい。
「いや、この傷は・・・」
「ミュウツー!」
「エンテイ!」
 言い終わる前に、こちらに気が付いた二匹が跳びついてきた。ミュウはミュウツーの首に抱きつくと、その頬に頬擦りやキスを繰り返す。
「僕のこと探してくれたんだね。やっぱりあんな子供より僕がいいよね」
 機嫌が回復しているミュウをスルーしながら、ミュウツーは表情を変えないままセレビィとエンテイに向き直る。どうやらミュウにこのようにベタベタされるのは慣れているらしい。
「坊や、本当にミュウを追ってきたの?」
 セレビィもセレビィでエンテイにベタベタしながら、胡散臭そうに尋ねた。
「ミュウはどうでもいいんだが、他のポケモンに迷惑をかけてると思うと放っておくわけにもいかないだろう」
 フン、とセレビィはつまらなそうに鼻を鳴らす。
「本当に迷惑だわ。エンテイもこの森もボロボロだし」
「すまない・・・」
 なぜ自分が謝らなければいけないのだと思いつつ、ミュウツーはセレビィに謝る。未だにミュウはミュウツーにへばりついていて、そろそろうざくなってきた。
 ミュウをなんとか引き剥がそうとしているミュウツーを面白くなさげに眺めていたセレビィは、やがて口端を引いて笑った。それに気が付いて、ミュウツーは動きを止める。それはミュウがよく見せる笑い方と似ていた。大抵この笑い方の時は、悪いことしか起きない。
「謝られたくらいじゃ、私の気は治まらないわね」
「・・・というと?」
「土下座をしてくれたら許してあげないこともないわ」
 どげざ、という言葉をミュウツーは頭の中で反芻する。土下座というのはあれか、とある島国で最大限の誠意を見せる時に行うポーズか。
「地に額を擦り付けて、哀れみを誘う声で許しを請いなさい」
「セレビィ、流石にそれは言いすぎじゃ・・・。というか、俺の傷はミュウは関係な・・・」
 最後まで言い終わる前に、エンテイの上顎と下顎がくっついて動かなくなってしまう。セレビィもまた、エスパーの力を持っていた。
 なんとか口を開こうとエンテイがもがいている横で、ミュウツーが渾身の力でミュウを自分から引き剥がしてから口を開く。
「どうして私がそこまでする必要がある!?土下座をするならミュウの方だろう!」
「僕が土下座なんてするわけないじゃない」
「そうよ。だから息子のあなたがしなきゃ」
「普通逆だろう!」
 本来ならば父親が息子の尻拭いをしなければいけないのではないのか。というか自分とミュウが親子だというのも面白くないというのに、なにが悲しくて彼のためにこの女王様に土下座をしなければいけないのか。
 ミュウツーはこの状況を楽しんでいるであろう二人を睨む。この場から去ろう、と思った。付き合っていられない。だがテレポートを使おうとした瞬間、ミュウと目が合った。するとこの場から去ろうにも、それができなくなる。やられた、と思った。黒い眼差しを使われてしまった。
「私は絶対に土下座なんてしないからな!」
「じゃあずーっとこの森で私と一緒に暮らしましょうねぇ」
 セレビィの言葉に、エンテイが反応する。鼻先で彼女の肩を突付き、なにかを訴えるようにセレビィを見た。彼の意図を察したセレビィは、喋れるように口を解放してやる。
「ミュウツーが嫌だというのなら、俺が土下座をしよう」
 この場にいる全員の頭にクエスチョンマークが浮かぶ。話の趣旨がずれてきてないかとか、どうして被害者であるエンテイがそんなことをするんだとか、やっぱMなんじゃないかとか、いろいろ考えてしまう。
 だがすぐにセレビィはエンテイの真意に気が付く。先ほど自分はミュウツーに一緒に森で暮らそうと言った。だからエンテイはあのようなことを言ったのだろう。
「エンテイは、私と二人っきりがいいのね」
 蕩けるような笑みでセレビィが言う。
「ミュウツーが土下座をするまで森から出さないと私が言ったから、代わりに自分がすると言ったのね」
 頷くエンテイをセレビィは抱きしめる。ふさふさな毛に顔をうずめた。
「もう、可愛いんだから」
 彼女はすっかりとご機嫌になっていた。それどころかもうすでにミュウとミュウツーの存在を忘れてしまっている。取り残された二匹は軽くデジャヴを感じていた。以前にも、こんなことがあったような気がする。
「おーい、僕達を無視しないでー」
 ミュウが声をかけると、セレビィは振り向いてこちらを見た。まだいたの、という顔をしていた。
「あぁ、もういいわ。一刻も速くこの森から出て行ってちょうだい」
 しっしと、手で動物を追い払うような仕草をする。それを見てミュウは額に青筋を立てた。このわがまま女め、と自分を棚に上げて思う。こういう時は、この鬱憤をミュウツーにぶつけるに限る。
 そう思いミュウはミュウツーを見た。同時に黒い眼差しを解除する。それに気が付いたミュウツーは急いでテレポートで逃げようとした。だが尻尾でがっちりと体をホールドされてしまう。
「帰るよ、ミュウツー。そして土下座もまともにできないきみのために、たっぷりと教えてあげよう」
「おかしい、その理屈はおかしい・・・!」
「煩い!元はといえばきみがポニータなんかと浮気してたせいじゃない」
「浮気もなにもあるか!」
 ミュウツーの言葉も虚しく、ミュウによってずるずると引きずられていく。そんな二匹をすでに意識の隅に追いやっていたセレビィとエンテイは、この後珍しく穏やかな時間を過ごした。


END

 

 


いくらダメージ半減でもエンテイは特防ないんだから手加減してあげて><

そんなわけで成瀬様に捧げます。
改めましてお誕生日おめでとうございました!

PR

Comment
Name
Title
Mail
URL
Comment
Pass   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
[363] [362] [361] [360] [359] [358] [357] [356] [355] [354] [353
«  Back :   HOME   : Next  »
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

メール(☆を@に)
リンク
当サイトは同人サイト様のみ、リンクフリーとなってます。
管理人>>シノハ。 または篠葉 零
サイト名>>なんでもない


BKM
Na-2
風人インク
ROAM青
Nonsense
SAVA味噌
Red field
Caucasia
△デルタ▽
Beneath the Surface
Curtain-fall
Ng
無断とか本当にすみません…

その他
なんでもない
管理人の創作サイトです。
おっさん・人外・幼女中心で携帯観覧推薦。
現在こちらをメインに更新中。
プロフィール
HN:
シノハ
性別:
女性
自己紹介:
1月14日生まれの新潟県民。

ジョジョラーでケモナーでおっさん&おじいちゃんスキーでSHK国民。
最近はfkmt作品に手を出してます。
乙一作品と三原ミツカズ作品と藤田和日郎作品も好き。
節操なしの浮気性です。
忍者ブログ [PR]