おっさんと人外を中心によろずっぽく。凄くフリーダム。
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前回のアカギ(19)×猫な鷲巣様の続きです。
ワシズが鷲になっているので注意。
パタンと、静かに扉が閉められる。部屋の窓からちょうど死角になるところで様子を観察していたワシズは、小さく息を吐いた。もちろんその姿は人間のものではない。青年の予想した通り鳥の…鷲の姿をしていた。黒っぽい色をしたそれは、鋭い鉤爪の生えた足で太い木の枝をしっかりと掴んでいる。体もずいぶんと大きい。翼を広げれば、2メートルを超えるだろう。
どうしたものか、とワシズは思った。朝起きてみたらもうすでに動物の姿になっていて、どうしてこうなったのか、そしてこれからどうするか、鷲巣と話し合っていた時に突然の青年の来訪。本当は鷲巣も連れて外に出たかったのだが、鳥が獲物を運ぶようにして足で掴んでプライドの高い老王を運んでもいいのかと一瞬ためらってしまった。そうしている間にも足音は部屋に近付いて来ていて、結局鷲巣にお前だけでも早く逃げろと目で訴えられ、今この場にいる。
しかし青年と老王のやり取りを見ていた限りでは、やはり無理にでも外に連れ出してやった方がよかったのではないかと思う。もし自分があの場にいたかと思うと、寒気がした。あの悪魔になにをされたかわかったものではない。
ワシズは羽を膨らませ、一つ体を震わせた。
「動くな」
「・・・!」
突然、首に生暖かい息遣いを感じた。徐々になにかとがったものが皮膚に喰い込んでいく。視線だけを動かし、見れば自分の首に噛みついている銀色の狐がいた。
どうして狐がこんな木の上に、と思う前に、ワシズはその声にハッとする。
「お前、赤木か?」
少し間があって、狐もとい、神域はワシズから口を放した。その様子はどこか不満げだ。
「驚かないんだな」
つまらない、というニュアンスがその言葉に含まれている。ワシズにしてみれば、自分も彼と同じような境遇にあるのでそれどころではない。
解放され、ワシズは改めて神域を見た。先ほどの青年の口ぶりから、彼もなにかしらの動物になっているであろうとは思っていたが、狐とは似合いすぎてて笑えない。なんて、人のことを言えないのに思ってしまう。
「いつからそこにいたんだ」
「うちの坊が鷲巣の部屋に入ってくる、少し前ぐらいだな」
鷲巣邸に遊びに来たらちょうど青年がいたので、様子見に雑木林の方に回ったら大きな鳥を見つけた。そして今にいたっているらしい。
神域の存在に気がつかなかった。余程集中して部屋の様子を見ていたらしい。もしくは体が動物になったせいで動揺し、精神に隙ができたか。いや、それ以前に猫ならともかく狐の姿で木に登ってくるとかどれだけ器用なんだ。半ば呆れたような目で神域を見ながら、ワシズは思った。どこまでも予想外の行動をとる男だ。
「俺に首輪をはめようなんて、10年早い。選んだ首輪のセンスは誉めてやるがな」
買った物が無駄にならなくてよかった、と神域は先ほどの光景を思い出しながら喉を鳴らす。
そんなことは知らんとばかりに、ワシズは神域の言葉を無視して口を開く。
「それよりも早く俺達の姿を元に戻せ。仕事にならんだろうが」
猛禽類特有の鋭い瞳で神域を睨みながら言う。まともな神経の人間ならその目で見られただけで、自分がこの鷲に喰い殺される姿が脳裏に浮かんだことだろう。
ワシズの言葉に、神域はわずかに首をかしげる。俺達というのはもちろんワシズと鷲巣のことだ。その言葉はあからさまに、お前が自分達をこんな姿にしたのだろう、と言っている。
「動物になったのは俺が原因だってのか?」
「貴様以外の誰にこんなことができるというんだっ!」
「いくらなんでも俺だってできねぇよ」
人のことを一体なんだと思っているんだ。
内心で神域はツッコミを入れる。神域というだけで、神ではないのだから。
神域の言葉に納得がいかないのか、ワシズはまだジトリとこちらを睨んでいる。下手なことを言ったら、その肉をついばむために発達した嘴をなんのためらいもなく瞳に突っ込み、眼球をえぐってきそうだ。彼ならやる。絶対に。
果たして戦闘能力というのは、狐と鷲、どちらが高いのだろうか。ふとそんなことを思う。
「俺だってどうしてこんな姿になったのかなんて知らねぇさ。朝起きたらすでに狐だったんだからな」
尻尾を一つ振りながら、やれやれという感じで神域が言った。
まぁこの姿を楽しんではいるが。
その言葉は呑み込む。言ってしまえば、更に疑われかねない。狐の姿になったのは別にいいのだが、なんの根拠もなく疑われるのは面白くなかった。
胡散臭げなワシズの視線を無視しながら、神域は口を開く。
「それよりも鷲巣を追わなくていいのか?」
「ふん、言われなくともこれから行く」
やはり老王が心配なのだろう。ワシズは飛ぶ意思を示すように、小さく翼を羽ばたかせる。
なにせ相手は青年だ。トップクラスで超危険人物である。こっそり後を追って、青年の隙をついて鷲巣を回収しなければいけない。最早プライドとかそんなことを言っていられない状況だ。
こんな街中に鷲というのも違和感があるが、空高くを飛んでいれば鳶に見えなくもないだろう。
飛び立とうとするワシズを見て、神域が喉を鳴らして笑う。どこか楽しげだ。普段のワシズだったら、この場での彼の笑いに不審なものを感じとったかもしれない。しかしそれどころではないワシズは、ついに気がつかなかった。
「貴様はどうするんだ?」
付いて来て自分達を観察するつもりだと思ったワシズは、牽制するように軽く睨んだ。確かに彼等に付いて行きたいのは山々だ。さぞかし面白いことになるだろう。だが、わざわざ悪魔の懐に飛び込むこともない。
「期待にそえられないで悪いが、これから行くところがあるんでな」
これは本当だ。この狐の姿を見せていない人物が、まだ幾人かいる。
「悪趣味だ」
神域の意図を感じ取ったワシズは、吐き捨てるように言う。そして大きく翼を広げると飛び立った。
見る見る空に昇ってゆく一羽の鷲を見ながら、神域はもう一度喉を鳴らす。
「鼻が鈍ったな、ワシズ」
笑いを噛み殺しながら言う。青年はワシズが近くにいるということに、もちろん気がついた。そして鷲巣の後を追ってくるということも、当然予想しているだだろう。遠くへは行かずに、まだこの屋敷の近辺で待ち伏せしているはずだ。自分の傍へ来るようにと、おそらくは鷲巣を使って脅されるのだろう。それを思うと、おかしくてしょうがない。
別にそのことを教えてやってもよかったのだが、わざわざ青年の楽しみを取ることもないし、今回の騒動で真先に自分を疑ってきたので止めた。存分に、青年にいじられるといい。
本当はその光景を自分の目で見たいのだが、先ほども言ったとおり今日はまだ行くところがある。今、鷲巣のように青年に捕まるわけにはいかない。流石に神域がこの場にいることまで、青年は予想していないだろう。
よって、青年達がこの近辺からいなくなるまで、神域はしばらく木の上で待機する。機嫌良さそうに尻尾を左右に緩く揺らしながら。
悔しげなワシズの怒号が聞こえるまで、あと数分。
END
掛け算にならなかったのが残念です。
ワシズは鷲巣様に頭が上がらないと萌え。
次はたぶん銀さんと犬な森田です。
この二人はどっちかが擬獣化しても、両方一緒に擬獣化しても美味しいけど、今回は森田で。
ワシズが鷲になっているので注意。
パタンと、静かに扉が閉められる。部屋の窓からちょうど死角になるところで様子を観察していたワシズは、小さく息を吐いた。もちろんその姿は人間のものではない。青年の予想した通り鳥の…鷲の姿をしていた。黒っぽい色をしたそれは、鋭い鉤爪の生えた足で太い木の枝をしっかりと掴んでいる。体もずいぶんと大きい。翼を広げれば、2メートルを超えるだろう。
どうしたものか、とワシズは思った。朝起きてみたらもうすでに動物の姿になっていて、どうしてこうなったのか、そしてこれからどうするか、鷲巣と話し合っていた時に突然の青年の来訪。本当は鷲巣も連れて外に出たかったのだが、鳥が獲物を運ぶようにして足で掴んでプライドの高い老王を運んでもいいのかと一瞬ためらってしまった。そうしている間にも足音は部屋に近付いて来ていて、結局鷲巣にお前だけでも早く逃げろと目で訴えられ、今この場にいる。
しかし青年と老王のやり取りを見ていた限りでは、やはり無理にでも外に連れ出してやった方がよかったのではないかと思う。もし自分があの場にいたかと思うと、寒気がした。あの悪魔になにをされたかわかったものではない。
ワシズは羽を膨らませ、一つ体を震わせた。
「動くな」
「・・・!」
突然、首に生暖かい息遣いを感じた。徐々になにかとがったものが皮膚に喰い込んでいく。視線だけを動かし、見れば自分の首に噛みついている銀色の狐がいた。
どうして狐がこんな木の上に、と思う前に、ワシズはその声にハッとする。
「お前、赤木か?」
少し間があって、狐もとい、神域はワシズから口を放した。その様子はどこか不満げだ。
「驚かないんだな」
つまらない、というニュアンスがその言葉に含まれている。ワシズにしてみれば、自分も彼と同じような境遇にあるのでそれどころではない。
解放され、ワシズは改めて神域を見た。先ほどの青年の口ぶりから、彼もなにかしらの動物になっているであろうとは思っていたが、狐とは似合いすぎてて笑えない。なんて、人のことを言えないのに思ってしまう。
「いつからそこにいたんだ」
「うちの坊が鷲巣の部屋に入ってくる、少し前ぐらいだな」
鷲巣邸に遊びに来たらちょうど青年がいたので、様子見に雑木林の方に回ったら大きな鳥を見つけた。そして今にいたっているらしい。
神域の存在に気がつかなかった。余程集中して部屋の様子を見ていたらしい。もしくは体が動物になったせいで動揺し、精神に隙ができたか。いや、それ以前に猫ならともかく狐の姿で木に登ってくるとかどれだけ器用なんだ。半ば呆れたような目で神域を見ながら、ワシズは思った。どこまでも予想外の行動をとる男だ。
「俺に首輪をはめようなんて、10年早い。選んだ首輪のセンスは誉めてやるがな」
買った物が無駄にならなくてよかった、と神域は先ほどの光景を思い出しながら喉を鳴らす。
そんなことは知らんとばかりに、ワシズは神域の言葉を無視して口を開く。
「それよりも早く俺達の姿を元に戻せ。仕事にならんだろうが」
猛禽類特有の鋭い瞳で神域を睨みながら言う。まともな神経の人間ならその目で見られただけで、自分がこの鷲に喰い殺される姿が脳裏に浮かんだことだろう。
ワシズの言葉に、神域はわずかに首をかしげる。俺達というのはもちろんワシズと鷲巣のことだ。その言葉はあからさまに、お前が自分達をこんな姿にしたのだろう、と言っている。
「動物になったのは俺が原因だってのか?」
「貴様以外の誰にこんなことができるというんだっ!」
「いくらなんでも俺だってできねぇよ」
人のことを一体なんだと思っているんだ。
内心で神域はツッコミを入れる。神域というだけで、神ではないのだから。
神域の言葉に納得がいかないのか、ワシズはまだジトリとこちらを睨んでいる。下手なことを言ったら、その肉をついばむために発達した嘴をなんのためらいもなく瞳に突っ込み、眼球をえぐってきそうだ。彼ならやる。絶対に。
果たして戦闘能力というのは、狐と鷲、どちらが高いのだろうか。ふとそんなことを思う。
「俺だってどうしてこんな姿になったのかなんて知らねぇさ。朝起きたらすでに狐だったんだからな」
尻尾を一つ振りながら、やれやれという感じで神域が言った。
まぁこの姿を楽しんではいるが。
その言葉は呑み込む。言ってしまえば、更に疑われかねない。狐の姿になったのは別にいいのだが、なんの根拠もなく疑われるのは面白くなかった。
胡散臭げなワシズの視線を無視しながら、神域は口を開く。
「それよりも鷲巣を追わなくていいのか?」
「ふん、言われなくともこれから行く」
やはり老王が心配なのだろう。ワシズは飛ぶ意思を示すように、小さく翼を羽ばたかせる。
なにせ相手は青年だ。トップクラスで超危険人物である。こっそり後を追って、青年の隙をついて鷲巣を回収しなければいけない。最早プライドとかそんなことを言っていられない状況だ。
こんな街中に鷲というのも違和感があるが、空高くを飛んでいれば鳶に見えなくもないだろう。
飛び立とうとするワシズを見て、神域が喉を鳴らして笑う。どこか楽しげだ。普段のワシズだったら、この場での彼の笑いに不審なものを感じとったかもしれない。しかしそれどころではないワシズは、ついに気がつかなかった。
「貴様はどうするんだ?」
付いて来て自分達を観察するつもりだと思ったワシズは、牽制するように軽く睨んだ。確かに彼等に付いて行きたいのは山々だ。さぞかし面白いことになるだろう。だが、わざわざ悪魔の懐に飛び込むこともない。
「期待にそえられないで悪いが、これから行くところがあるんでな」
これは本当だ。この狐の姿を見せていない人物が、まだ幾人かいる。
「悪趣味だ」
神域の意図を感じ取ったワシズは、吐き捨てるように言う。そして大きく翼を広げると飛び立った。
見る見る空に昇ってゆく一羽の鷲を見ながら、神域はもう一度喉を鳴らす。
「鼻が鈍ったな、ワシズ」
笑いを噛み殺しながら言う。青年はワシズが近くにいるということに、もちろん気がついた。そして鷲巣の後を追ってくるということも、当然予想しているだだろう。遠くへは行かずに、まだこの屋敷の近辺で待ち伏せしているはずだ。自分の傍へ来るようにと、おそらくは鷲巣を使って脅されるのだろう。それを思うと、おかしくてしょうがない。
別にそのことを教えてやってもよかったのだが、わざわざ青年の楽しみを取ることもないし、今回の騒動で真先に自分を疑ってきたので止めた。存分に、青年にいじられるといい。
本当はその光景を自分の目で見たいのだが、先ほども言ったとおり今日はまだ行くところがある。今、鷲巣のように青年に捕まるわけにはいかない。流石に神域がこの場にいることまで、青年は予想していないだろう。
よって、青年達がこの近辺からいなくなるまで、神域はしばらく木の上で待機する。機嫌良さそうに尻尾を左右に緩く揺らしながら。
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女性
自己紹介:
1月14日生まれの新潟県民。
ジョジョラーでケモナーでおっさん&おじいちゃんスキーでSHK国民。
最近はfkmt作品に手を出してます。
乙一作品と三原ミツカズ作品と藤田和日郎作品も好き。
節操なしの浮気性です。
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