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陽気なギャングの日常と襲撃を読み終えて、テンションが上がってきたので。
久遠君と響野さんと慎一君です。慎一→響野らしいです。
なんでこの三人が連れ立って歩いてるんだとか、あまり深く考えちゃ駄目だと思います。あと、慎一君がちょっと変な子です。響野さんはノンケ、つーか愛妻家。久遠君は動物と成瀬さん愛してる。
住宅地を三人で歩いていると、慎一は塀の上に丸くてもこもこしたそれを見つけて、横にいる響野の服の裾を引っ張った。
「響野さん、見てよ。猫がいる」
響野と久遠が同時にそこを見ると、確かに三毛猫が塀の上でうずくまっていた。視線に気が付いたのか、猫は伏せていた目を開けてわずらわしそうに男達を見る。
「本当だ。おい、久遠。お前の大好きな猫がいるぞ」
揶揄するように言う響野に、久遠はなにを言っているんだとばかりにわざとらしく息をついた。
「勘違いしないでよね、響野さん。僕は猫が好きなんじゃなくて、地球に存在する全ての動物を愛してるんだよ」
「あぁ、そう」
大体ね、猫好きとか犬好きとか、僕には意味がわからないんだよ。猫も犬も、みんな平等に愛せばいいじゃない。同じ動物なんだからさ。
以下淡々と動物の素晴らしさについて、その愛しい動物を人間がどう虐げているかを語り始める久遠に、響野はまた始まった、と内心でため息をつきながらなおざりに対応する。彼は自分が語り始めた時、まさに周囲がこんな対応なのだが、他人の振り見て我が振りを直せない人間なので、そんなことは知らない。
「人間はちょっと……いや、大分増えすぎだよね。なにさ、60億以上とか。そんなに増えるから、住む場所も畑も足りなくて、海を埋め立てたり森林を切り開かなきゃいけないんだよ。動物を見てごらんよ。ちゃんと適度に死んで個体数を保ってる。減りもしないし、増えもしないのが一番なんだよ。人間も見習うべきだね。そうすれば、動物の住処を奪わずに生きていけるのに。あーあ、明日になったら地球全体の人口が半分くらいに減ってないかな」
「久遠さんは、たまに過激なことを言うね」
「過激じゃないよ。地球に必要なことだ」
「本当に人口が半分になるなら、間違いなく久遠はいなくなってるな」
「それは間違いなく間違ってるね。どうして僕ほど動物を愛してる、いい人間が死ぬのさ。むしろ響野さんでしょ。銀行強盗してたり、不味いコーヒーを淹れ続けたりばっかりして、響野さんは地球になにか貢献してんの?」
「いい人間ほど早死にするものだ」
「なら、二人とも長生きするね」
そんな会話をしながら、三人は三毛猫に近づく。慎一は恐る恐る猫に手を伸ばした。猫は相変わらず無愛想にわずらわしそうな顔はしているが、逃げる気配はなかった。どうやら人間に慣れているらしい。かわいー、と久遠も手を伸ばして猫を撫でた。整った彼の顔が緩む。
猫の体を撫で回している二人を見て、これだと抱けそうだな、と響野がひとりごちた。そして両腕を伸ばし、猫のわきの下に手を入れる。グッと力を入れて、その体を持ち上げた。
「猫というのは、どうしてこんなに胴体が長いんだろうな。邪魔じゃないのか」
びよーんと、猫の体が伸びる。いや、実際には伸びてはいないのだろうが、丸まっていた姿から考えると伸びたように見える。宙でゆらゆらと猫の体を揺らして遊んでいると、久遠が声をあげた。
「ちょっと!響野さんなにやってんのさ!」
そこには揶揄するような響きはなく、真剣そのものだった。ともすれば怒号にも聞こえる。普段温厚な青年の豹変に、響野と慎一は目を丸くして彼を見た。
「な、なんだ?」
「犬猫をそんな持ち方したら駄目じゃないか!持つ時はちゃんとお尻も支えてあげるんだよ!」
言い終わるか終わらないかのうちに、久遠は響野から猫をひったくる。響野のようにわきの下に手を入れるのではなく、両腕でそのしなやかな体を包むように抱いた。
「そんな持ち方するとね、腰に負担がかかるんだよ。椎間板ヘルニアとかになっちゃうんだから。僕は響野さんがヘルニアになろうと知ったこっちゃないけど、動物がなるのは許さないから!」
キッと相手を睨みながら、久遠はまくし立てた。
「す、すまない……」
あまりの青年の剣幕に、響野は思わず謝ってしまう。その謝罪を聞いているのかいないのか、久遠は猫を抱いたまま自分の世界に入ってしまった。猫をまさに猫可愛がりしている。
そんな彼の姿を見ながら、響野は改めて思った。自分はそんな、怒鳴られるようなことをしたのか、と。猫を抱いただけなのに、あんなふうに本気で怒られると流石にちょっとへこんでしまう。
「響野さん」
そんな響野の服の裾を、慎一は再び引っ張った。響野は少年を見る。すると、彼は落ち込まないでと、母親いわく「もてる」顔で笑顔を見せた。
「そんなに抱っこしたいなら、僕を抱っこするといいよ」
「は?」
一瞬、理解が遅れる。
「大丈夫。僕、そう簡単には椎間板ヘルニアにはならないと思うんだ」
「いや、私は別になにかを抱きたいわけではなく……」
「いいから、遠慮しないで」
さぁ、と慎一は期待に満ちた顔で両腕を広げた。思わず、響野は一歩退く。しかしそこには久遠がいるので、それ以上さがれない。
前門のいい顔をした慎一。後門の猫を抱いている久遠。
響野はなんでも友人に頼っているようで癪だが、それでも言わずにはいられなかった。
「成瀬、私はどうしたらいいんだ……」
前進も後退もできずにいる中、響野は「ここにロマンはない」と呟いた。
END
この場に成瀬さんがいたら、涼しい顔で「慎一君を抱いてやればいいだろう」って言うよ。もちろんいやらしい意味ではなく。
日常と襲撃を読んでますます響野さんが愛しくなりました。
無駄に自信たっぷりで、でもそれが空回って、本当に演説以外いいところがなくて、なにげにみんなの弄られキャラな響野さんかわゆす。
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