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相変わらずSBRは馬ばっかりですみません。次こそは人間書く。リンゴォかジョニジャイを、多分。
擬人化は私の中ではリヴリー以外にするのは邪道なので今回も馬の姿のままで。
スロー・ダンサーがどこかゆるゆるとした口調なのは仕様です。
サードステージをゴールした直後、そのまま止まらずに走り続けていたS・Dの横にぴたりと白い影が寄り添う。一度ちらりとそちらの方を見てから、少し上がり気味の呼吸を落ち着けるように大きく鼻から息を吐いた。そして声をかけようとする。が、その前に、相手の方が口を開いた。どうやら、はじめからこちらに声をかけるつもりで近付いてきたようだ。
「さっきはしてやられた気分だ、スロー・ダンサー。いや、ファーストステージの時も、かな」
S・Bは攻撃的ではなく、どちらかというと友好的な声色で言った。レースが云々ではなく、ただたんに会話をするきっかけが欲しかった、という感じだ。
「ちゃんと話すのは、はじめて、だね。君と、君のマスターの噂は、アメリカまで届いているよ、シルバー・バレット」
イギリスには優秀な騎手と馬がいる、と。言うと、相手はどうも、とそっけないがどこか嬉しげに答えた。
「でも、さっきはそんな俺を抜いてゴールしたあんたも凄いじゃないか。正直、久しぶりに興奮したよ」
「ありがとう。でも、私が君を、超せたのは、マスターの実力と、ヴァルキリーが、君の注意を引いていてくれた、おかげだから」
「謙虚なことだな。しかし、そういうタイプは嫌いじゃないぜ」
言いながら、S・Bは相手に接触しないぎりぎりまでS・Dに体を近付けようとする。しかしその瞬間、茶色い影が無理矢理2匹の間に割って入った。
「スロー・ダンサーに近付くんじゃねぇよ」
睨むようにして、ヴァルキリーはS・Bを見る。
彼の突然の行動に驚いたのは、乗っている人間達の方だった。馬同士の体が接触してしまえば、転倒してしまうことだってある。ジョニィとディエゴは慌てて、自分の馬をヴァルキリーから距離を置かせた。そして乗り手であるジャイロに文句を言う。気を付けろよ馬鹿だの、俺のせいじゃないだの、そんな会話がしばらく続いた。
しかし馬達の方は、主人らのそんな会話は聞こえていない。機会をずっとうかがっていて、ようやくS・Dに声をかけられたというのに邪魔をされ、S・Bはヴァルキリーを睨み返す。
最初はこの初老の馬が気になるなんてことはなかった。しかし、ファーストステージで顔に泥をかけられた時、初めて意識をした。自分になんてことをするのだという屈辱と、久しく感じていなかったレースに対する高揚感。それからはずっと、S・Dのことを目で追っていた。セカンドステージの後、少し近づくことができたが、結局なんやかんやあって…主人が落馬したり、その後でなんか変な生き物になっちゃったりで機会がつかめず、今まで声をかけるのが先送りになっていた。
「無粋なヤツだな。貴様の国では、他人の会話を邪魔するのはマナー違反じゃあないのか?」
「レースの最中にナンパをしてるようなヤツに言われたくねぇよ」
「ナンパをしてるってわかってるなら、余計に邪魔をするなよな」
2匹の会話を聞きながら、S・Dは自分はナンパをされていたのかと、他人事のように思った。正直、自分の主人であるジョニィになにも害がないのなら、ナンパされようが口説かれようが、どうでもいいのだが。
「おい、そこを退け、田舎者」
「誰が退くか、バーカ。お前がどっか行けよ」
「転べ。転んでその鬱陶しい髪の主と一緒に怪我をしろ」
「てめぇが転べ。ジャイロは性格の鬱陶しいDioよりましだっての」
ぎゃいぎゃいと続けざまにお互いを罵り合っている。よく疲れないものだ、とS・Dは思った。やはり若さだろうか。根本的な体力が、自分とは違うのだろうか。そう思いながら、横目で2匹を見た。罵り合ってはいるものの、悪意は感じられない。実は、仲がいいんじゃないかと思う。同い年だし、似たような性格だ。お互いがもうちょっと素直になれば、良い友達になると思うのだが。しかし言ったところで、2匹は否定するだろうから結局、S・Dは口を開かないまま、今度はジャイロとディエゴの方を見た。
馬の言葉がわからない人間は、どうしてか興奮している己の愛馬に悪戦苦闘していた。今のヴァルキリーとS・Bには、落ち着くようにと言う主人の言葉が届いていない。やっぱり子供だね、とS・Dは思った。
この2匹が主人の言うことを聞かず、変にペースを上げるのはジョニィにとっても不本意だろうから、ようやくS・Dは口を開く。
「坊や達、そのぐらいに、しておいたら、どうだい?君達のマスターも、ずいぶんと、困っている、ようだけど」
ぴたりと、2匹の声が止む。そして、ほとんど同時にS・Dの方を見た。
「坊や・・・」
呟くように、S・Bが言う。ヴァルキリーは普段からS・Dに子供扱いをされるのを不本意ながらも慣れているが、彼はそうでもないようだった。頭の中でその言葉を反芻しているかのように、しばらく沈黙する。
「まぁ・・・そういうのも、悪くはない・・・か」
やがて、どこか満足げに呟いた。S・Dから子供扱いをされるというのは、嫌なことではないらしい。むしろ、今の彼はどこか幸せそうだ。おそらく彼の中では、子供扱い=相手に甘えてもいい、ということになっているのだろう。
落ち着きを取り戻してきたS・Bの耳元で、ディエゴが何事かを囁いた。その言葉を理解して、彼は小さく頷く。
「スロー・ダンサー、どうやら主は別ルートを行くらしい。一緒に走れるのもここまでだ」
名残惜しげに、S・Bは言った。
「そう。君も、頑張ってね。ゴール手前で、また、会おう」
「さっさとどっかに行っちまえ!馬鹿!」
「語彙が少ないな。貴様の方が馬鹿丸出しだぞ」
最後にヴァルキリーに吐き捨てるように行ってから、S・Bは2匹から離れていく。ようやく、この場は静かになった。しかし最後の台詞によほど腹を立てたのか、ヴァルキリーは先ほどよりも更に興奮してしまっている。荒っぽく地面を蹴っているため、乗っているジャイロの体がガクンガクンと激しく上下に揺れた。ロデオか、なんて、ジョニィがそんな彼を見ながら慌てるでもなくマイペースに尋ねている。おそらくS・Dのマイペースさは、彼に似たのだろう。
「ほらほら、落ち着いて、坊や。興奮すると、余計、疲れるよ」
「坊やって言うな、オジン!」
S・Dから子供扱いをされることを酷く嫌うヴァルキリーは、キッと相手を睨む。それを見て、ふむ、とS・Dは呟いた。
「シルバー・バレットの方が、可愛げがあって、私は好きだ」
「・・・・・・!」
たったその一言で、急にヴァルキリーは大人しくなった。というか、意気消沈していた。目に見えて、脚の動きが悪くなっている。そんな彼を無視して、S・Dはヴァルキリーの前に出た。
「おいおいヴァルキリー、さっきからなんなんだよ。興奮したり、かと思えば急にテンション下がったり・・・」
「Dioの馬と相性が悪いんじゃないのか?僕の馬は、大丈夫みたいだけど」
どんな会話のやり取りが行われていたのか知らない主人達だけが、ただただ首をかしげるばかりだった。
END
あとがき
甘えたいシルバー・バレットと、対等の立場でいたいヴァルキリー、そしてそんなことはどうでもいいスロー・ダンサーの図。
スロー・ダンサーはジョニィをまず第一に考えます。ジョニィ大好きだから。あとは割りとどうでもいいと思ってます。そういう点ではある意味スロー・ダンサーも酷い子。
次はゲッツ・アップですかね。書くとしたら。ゲッツ・アップは私の中ではメス。
公式で馬の年齢は出てるけど、性別って出てましたっけ?
スロー・ダンサーとヴァルキリー達の歳の差にキュンとする。
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